【アナリスト水田雅展の企業レポート】バルクホールディングスは16年3月期第3四半期累計の進捗率高水準、通期は増額含み

企業レポート

 バルクホールディングス<2467>(名セ)はコンサルティング事業、マーケティング事業、IT事業、住宅関連事業を展開する持株会社である。16年3月期第3四半期累計(4月~12月)の利益は通期会社予想を超過達成している。住宅関連事業における完工・引き渡しの期ズレなど、不確定要素が多いとして通期会社予想を据え置いているが、増額含みだろう。株価は地合い悪化も影響して軟調展開だが、15年1月の昨年来安値を割り込むことなく推移している。調整の最終局面で反発のタイミングだろう。

■コンサルティング事業などを展開する持株会社

 コンサルティング事業、マーケティング事業、IT事業、住宅関連事業を展開する持株会社である。94年9月バルク(旧)設立、05年12月名証セントレックス市場に新規上場、07年3月分社型新設分割によりバルク(旧)が純粋持株会社に移行して現社名に変更した。

 なお2月22日には、2月18日に行われた名古屋証券取引所上場企業交流会において、名古屋証券取引所から「名証市場振興部門」の対象企業として認められ、同取引所の竹田社長より感謝状を拝受したと発表している。同取引所上場企業5社が今回の感謝状贈呈の対象企業となった。

 連結子会社のバルク(新)(コンサルティング事業、マーケティング事業)、マーケティング・システム・サービス(13年3月子会社化、マーケティング事業)、ヴィオ(10年5月子会社化、IT事業)、ハウスバンクインターナショナル(14年1月子会社化、住宅関連事業)を置き、アトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。

■プライバシーマーク・ISO27001認定取得支援に強み

 主力のコンサルティング事業は連結子会社バルクが、個人情報保護などの情報セキュリティマネジメント分野において、プライバシーマーク認定取得支援・ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援を主力としている。

 プライバシーマーク認定取得では大企業から中小企業まで国内トップクラスの1600件超、ISO27001認証取得では500件超の取得支援実績を誇っている。情報セキュリティマネジメント分野のリーディングカンパニーである。

 自社社員によるコンサルタント、ISMS審査員資格保有者の在籍、自社開発の支援ITツールによる作業負担軽減、教育支援メニューや取得後の継続維持・運用サポートメニューの充実などを強みとして、あらゆる業種・業態への対応実績を持つ。このため企業にとっては短期間での取得が可能になる。

 15年6月には業界初の情報セキュリティマネジメントシステム運用支援クラウドサービス「V-Cloud」をリリースした。進捗状況が一目瞭然などで運用スケジュールが簡単に管理できるなどの特徴があり、プライバシーマーク更新やマイナンバー制度対応のセキュリティコンサルティングサービスも含めて、顧客囲い込み戦略を推進する方針だ。

 なお「V-Cloud」リリース後は、更新比率が大幅に上昇して、クラウド利用社数が大幅に増加しているようだ。月額課金型のため顧客囲い込みによってストック収益拡大にも繋がる。

■マーケティング事業は新製品モニター調査などが主力

 マーケティング事業は、連結子会社バルクがマーケティングリサーチ事業、連結子会社マーケティング・システム・サービスがSP(セールスプロモーション)事業や広告代理業を展開している。

 連結子会社バルクのマーケティングリサーチは、大手メーカーの新製品開発時のモニター調査などを主力としている。ネットリサーチ・インタビューなどの調査手法をベースとして、調査の企画・設計・分析・実査から商品企画などのマーケティング戦略支援まで、企業のマーケティング活動における課題を総合的にワンストップで解決・支援する。

 15年7月には店頭調査「Shoppers Direct」をリリースした。実際のお店に来店するお客様の「行動の観察」や「インタビュー」を行うことで、従来の調査では知ることのできない「気付き」を得ることができるなどの特徴を持つ。

 連結子会社マーケティング・システム・サービスのマーケティング事業は、食品関連流通事業者(スーパー、食品卸など)のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティ制作などで、クライアントの課題解決を総合的に支援している。関東の大手スーパー向けを主力としている。

 IT事業は開発リソースをグループ内システム開発にも活用

 IT事業は連結子会社ヴィオが、大手SIベンダーからのビジネスアプリケーションなどの受託開発を主力として、オリジナルのパッケージソフトを活用したITソリューションサービスも展開している。

 企業間ネットワーク業務提携事業では、顧客とヴィオが業務提携し、共同事業でシステム導入に伴う収益を、双方の負担に応じてレベニューシェアする方式を目指している。

 またグループ内にシステム開発会社を持つことで、開発リソースをコンサルティング事業の運用支援ツールなど、グループ内のシステム開発に活用できるメリットがある。

■住宅関連事業は京都で地域密着の事業展開

 住宅関連事業は連結子会社ハウスバンクインターナショナルが、戸建住宅建築請負工事およびリフォーム工事全般を展開している。

 天井やフローリングなどに天然木を使用した「天然木の家」を主力として、地域密着(京都府長岡京市)の事業展開を推進している。25年の歴史を持ちリフォーム実績件数は5000件以上である。

■アライアンス戦略も推進

 15年8月には連結子会社バルクが、IT全般のコンサルティング事業を行うITbook<3742>と、コンサルティング事業分野で業務提携した。相互の顧客紹介、相互の製品・サービスの販売、共同提案やセミナー共催など販売活動における協調、両社の強みを生かした共同事業の創出を推進する。

 15年12月には連結子会社バルクがブーメランイット・ジャパン(BIJ社)と情報セキュリティ分野で業務提携した。BIJ社の紛失物回収サービス「マイブーメラン」をバルク社で販売するとともに、情報セキュリティ市場における共同提案やセミナー共催など販売活動における協調、情報セキュリティ市場における共同事業の創出を推進する。

 BIJ社は米国ブーメランイット社との独占ライセンス契約に基づいて、国内初の国際的紛失物回収サービス「マイブーメラン」を提供している。スマートフォン、パソコン、入退室カードなどに貼付・装着するためのシリアルナンバー(番号)を記載したラベル等を提供し、紛失物の回収を代行するサービスである。MDM(モバイルデバイス管理)システムを補完して情報セキュリティ対策の完成度を高めるサービスのため、バルク(新)の情報セキュリティコンサルティングサービスとの高い親和性も有している。

 15年12月にはパイプドHD<3919>グループのパイプドビッツと、マイナンバー対応が求められる企業の役員および担当者を対象に、マイナンバー対応セミナーを共催した。

 16年1月には連結子会社バルクがPICC社(東京都)と業務提携した。PICC社は個人情報保護に関する中小企業向けの第三者認証制度JAPHIC(ジャフィック)マークの認定審査機関として付与審査業務を行っている。今回の提携によってバルクが、PICC社の提携コンサルタント企業として、プライバシーマーク認定やISO27001(ISMS)認証では負担が過大となっていた小規模事業者向けに、JAPHICマーク認証取得支援サービスを提供する。

■営業損益改善基調

 15年3月期四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)4億23百万円、第2四半期(7月~9月)5億29百万円、第3四半期(10月~12月)5億56百万円、第4四半期(1月~3月)5億52百万円、営業利益は第1四半期26百万円の赤字、第2四半期25百万円、第3四半期32百万円、第4四半期11百万円だった。

 また15年3月期の売上総利益率は26.8%で14年3月期比0.4ポイント上昇、販管費比率は24.8%で同横ばいだった。マーケティング・システム・サービスの株式取得時に発生したのれん減損損失42百万円を計上したため純利益は15百万円の赤字だったが、営業損益は改善基調のようだ。自己資本比率は44.0%で同4.6ポイント低下した。

■16年3月期第3四半期累計は計画超の大幅増益

 今期(16年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比17.5%増の17億72百万円、営業利益が同2.3倍の72百万円、経常利益が同2.0倍の73百万円、純利益が同2.7倍の54百万円だった。

 既存顧客および新規顧客への積極的な営業活動、新サービスの提供などが奏功し、販管費の抑制も寄与して計画超の大幅増益だった。売上総利益率は25.1%%で同2.4ポイント低下したが、販管費比率は21.0%で同4.4ポイント低下した。

 セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、コンサルティング事業は売上高が同22.9%増の1億53百万円で営業利益が同69.2%増の55百万円、マーケティング事業は売上高が同14.1%増の5億84百万円で営業利益が同16.6%増の52百万円、IT事業は売上高が同7.4%減の1億24百万円だが営業利益が同9.2%増の12百万円、住宅関連事業は売上高が同22.8%増の9億15百万円で営業利益が同2.2倍の31百万円だった。

 コンサルティング事業は、マイナンバー対応や情報セキュリティ対策に関するニーズの高まりも背景として好調に推移した。15年6月開始した業界初の情報セキュリティマネジメントシステム運用支援クラウドサービス「V-Cloud」の受注も想定以上だった。マーケティング事業は、既存顧客である大手スーパーマーケットや大手食品メーカーのリピート案件、スポット案件が好調だった。住宅関連事業は継続開催のリフォームイベントなど積極的な広告宣伝活動が奏功した。なお足元の受注の伸び悩みや一部工事計画の前倒しの影響で受注残高はやや減少しているようだ。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)6億39百万円、第2四半期(7月~9月)5億86百万円、第3四半期(10月~12月)5億47百万円、営業利益は第1四半期9百万円、第2四半期33百万円、第3四半期30百万円だった。

■16年3月期増収営業増益予想で増額含み

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想は前回予想(5月15日公表)を据え置いて、売上高が前期(15年3月期)比1.9%増の21億円、営業利益が同6.6%増の45百万円、経常利益が同6.3%減の46百万円、純利益が30百万円(前期は15百万円の赤字)としている。配当予想は無配継続としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が84.4%、営業利益が160.0%、経常利益が158.7%、純利益が180.0%である。売上高の進捗率が高水準で、各利益は通期会社予想を超過達成している。競合激化、仕入・外注コスト上昇、さらに住宅関連事業における完工・引き渡しの期ズレなど、不確定要素が多いとして通期会社予想を据え置いているが、増額含みだろう。

■株価は調整の最終局面

 なお15年12月7日に主要株主の異動(異動日15年11月30日)を発表している。SHcapitalの所有株式数が79万7400株(総株主の議決権の数に対する割合10.64%、大株主順位5位)から42万7000株に減少した。なお42万7000株のうち37万4600株を株式消費貸借契約に基づきDAWNCAPITALに貸与している。

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げ、3月1日には155円まで調整する場面があった。ただし15年1月の昨年来安値137円まで下押すことなく、終値ベースでは160円台を維持している。調整の最終局面だろう。

 3月4日の終値167円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円00銭で算出)は42倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS82円79銭で算出)は2.0倍近辺である。時価総額は約13億円である。

 週足チャートで見ると軟調展開が続いたが、15年9月急伸前水準に回帰して調整の最終局面と考えられる。反発のタイミングだろう。

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