【編集長の視点】イーレックスは反落もファイナンス安を織り込み電力小売完全自由化を先取りして下げ過ぎ訂正余地

編集長の視点

 イーレックス<9517>(東1)は、19円安の1243円と反落して始まっている。同社株は、今年2月22日にファイナンスを発表、希薄化懸念で1201円安値まで突っ込み、公募増資の払い込みを3月8日、株式売出しの受け渡しを3月9日にそれぞれ終了しており、織り込み済みか確かめる売り買いが交錯している。ただ下値では、今年4月1日からスタートする電力小売完全自由化の有望関連株買いが再燃するとの期待も高めている。ファイナンスと同時に発表した今3月期業績の上方修正で、今期純利益が、過去最高更新の更新幅を伸ばすことも、見直されよう。

■今期業績を上方修正し数年後には売り上げ500億円、純利益40億円を目指す

 ファイナンスは、新株式発行を230万株、オーバーアロットメントによる株式売出しを34万5000株として実施、発行済み株式総数の19.4%に達し、希薄化要因となった。発行価格・売出し価格は、1170円で、手取り概算額約38億円は、今年4月からスタートする電力小売完全自由化に備えて進めてきた開発案件の着実な推進に向け、2014年7月設立のイーレックスニューエナジー佐伯(大分県佐伯市)の長期借入金の返済資金に充当する。

 イーレックスは、独立系のPPS(特定規模電気事業者)として2001年から電力小売事業を開始し、他社発電所からの余剰電力買取り、日本卸電力取引所の活用を進め、2013年にはバーム椰子殻を使ったバイオマス発電の開発に取り組み、電力小売完全自由化に対応しては、自由化先進国の米国のスパークエネジー社(米国テキサス州)と合弁の販売子会社を設立し、全国22社のLPG販売会社と業務提携を締結、供給施設が8000カ所を超えるなど販売体制を構築している。中期経営計画では、2018年3月期までの3年間を準備期間に数年後には売り上げ500億円、純利益40億円を目標にしており、電力小売完全自由化により開放される6兆9000億円の低圧・家庭用市場にチャレンジすることが、業績高成長要因となる。

 足元の今3月期業績も、今年2月に電力小売販売が期初想定を上回るとして上方修正、純利益は、期初予想より1400万円引き上げ9億5000万円(前期比1.4%増)と前期の過去最高を連続更新すると見込んでいる。また配当も、昨年12月の東証第1部上場の記念配当5円を上乗せして25円(前期実績20円)に増配を予定している。

■PER17倍台、配当利回り2.0%の割安修正をサポート

 株価は、昨年12月の東証第1部への市場変更で上場来高値2345円をつけ、年初来の全般相場波乱で1261円安値まで急落し、電力小売自由化関連でタニタヘルスリンク(東京都豊島区)などとの業務提携で1770円と反発したものの、ファイナンスによる希薄化懸念でさらに1201円安値まで突っ込んだ。同安値からは、経済産業省・公正取引委員会が、大手電力会社と通信事業者が提携して進めているセット販売で不当な安値販売を禁止する方針を固めたことでややリバウンドした。PERは17倍台、配当利回りは2.01%と相対的に割安であり、一段の下げ過ぎ訂正に進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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