【銘柄紹介】山加電業の今9月期売上2.1倍に急増、利益も大幅黒字転換、3年前就任の三森社長のストック型経営が奏功、いっそうの飛躍も

 山加電業<1789>(JQ・100株)は、1922年(大正11年)創業の社歴94年の老舗である。電力工事のパイニオア的存在で日本初の500KV、さらに1000KV送電線工事を次々と手掛け、「技術のYAMAKA」としての評価が高い。

 内線工事・電力工事を中心に情報通信分野や新規事業へ積極的に展開している。高度なインテリジェントビルなどの電気設備、計装設備、情報通信設備などの施工、電力の送電線設備工事、地中送電線工事、さらに、これらの技術を生かした移動体無線中継基地建設工事、新規開発塗料によるガラス・コーティング塗装工事、環境美化塗装・環境改善舗装工事などにも展開している。東南アジア中心に海外に力を入れていく。とくに、最近は内線工事において太陽光発電設備施工・メガソーラ発電設備に力を入れている。

 売上は2006~2008年9月期では40億円台で推移していたが、2012年9月期に29億円台後半まで減少、2015年9月期には33億8200万円と回復、今期2016年9月期は73億3600万円の見通しと急向上する。一方、営業利益は比較的安定していたが2015年9月期は労務単価や資材価格のコスト上昇圧力や技術労働力不足などが圧迫して2億700万円の赤字となった。子会社株式の減損処理に伴う特別損失2億1500万円を計上、最終損益では3億7900万円の赤字だった。

 しかし、今9月期は営業利益1億3600万円、最終利益2億4400万円と黒字転換する。今期の1株利益は38.3円、配当は年4円の見通し。

 今期の業績が急向上する背景は、一つには、3年4カ月前に社長に就任した三森 茂社長(写真)の社内の意識改革が大きいと思われる。三森社長は、「歴史のあることと、技術があるからというワナにはまり改革が遅れていた。これを直すために社長としてやっている。保守的な会社を目覚めさせることだ。前職時代から改革には慣れているので成果を出す自信はある」ということだ。

 

 何に力を入れるか。「これまで、工事を取って施工したらそれで終りだった。それで終りではなくストック型のビジネスに力を入れていく。足元では太陽光発電設備関連工事の受注に力を入れている。福島県白河市でパネル11万枚の大規模太陽光発電所の工事とこれに絡む高圧鉄塔工事、さらに、メンテナンスもやる。とくに、大規模発電所は東京ドームの3~4倍規模で清掃にはクレーン車が必要でわれわれの信用と能力が発揮できる。風力発電にも取り組んでいく。東北電力、モンゴルなどから具体的な話がきている。また、電力送電の鉄塔もメンテナンスが必要な時期にありこれからメンテナンスは増えるとみている。現在、従業員数が約130名、1人年間1億円の年商130億円はやりたいしやれると思っている」(三森社長)という。

 株価は、かつて1990年代は4ケタの人気銘柄だった。リーマンショックで75円まで下げたが、新社長に期待して2015年8月には470円まで上昇、「社長に就任したときが180円、今は270円。改革を遂行すれば業績も株価も上向くと思っている」と三森社長は語る。ミャンマーでは、電力工事の技術指導を行ってきたが、そろそろ受注が期待できる段階を迎えているようだ。歴史と技術、信用力のある同社が目覚めれば大いに飛躍が期待できそうで、株価も居場所を大きく変えてくる可能性を含んでいるとみられる。

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