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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】うかいはモミ合いレンジ突破の動き、17年春東京・大手町へ新規出店で収益拡大期待
- 2016/3/21 08:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
うかい<7621>(JQS)は、飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。16年3月期は文化事業が箱根大涌谷周辺の火山活動活発化の影響を受けたため減収営業減益予想だが、17年春には東京・大手町への新規出店を予定している。14年4月「銀座kappou ukai」以来の新店であり、収益拡大期待が高まる。株価は2月の直近安値から切り返して15年10月以降のモミ合いレンジを突破する動きだ。15年8月の戻り高値を目指す展開だろう。
■高級和食・洋食料理店チェーンを展開
飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。
新たな成長ステージに向けた事業戦略としては、商圏1万キロに向けたブランド構築、新業態の定着と新規出店、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の本格稼働、和食店のお土産品強化、物販における販路開拓、海外へのブランド発信、海外企業との業務提携などを推進している。
14年4月には、国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(呼称:割烹うかい)」をオープンした。また15年4月には東京八王子市に、焼菓子製造に特化した「アトリエうかい八王子工房」を新設し、品質向上・量産可能な体制を整えた。
15年8月には、創業50周年記念本「うかい~その料理表現と味覚世界~」の発刊を発表した。15年9月1日~16年3月31日の期間限定でFAX・メールによる通信販売を行う。
15年9月~12月には期間限定で、JR東日本・品川駅構内の商業施設「エキュート品川」に洋菓子店「アトリエうかい」を出店した。これまで「アトリエうかい」店舗とグループ洋食各店舗で商品を販売してきたが、神奈川県横浜市の直営店舗以外で初めての、また商業施設で初めての出店だった。
15年11月には全日本空輸(ANA)とのコラボレーションで、ANAの国際線(台湾発日本路線)ビジネスクラスの機内食サービスに「とうふ屋うかい」監修のスペシャルメニューを、16年1月・4月・10月の期間限定で提供すると発表した。
■17年春、東京・大手町に新規出店予定
2月10日には東京都千代田区大手町に新規出店すると発表した。予定出店面積は48.1坪(159.0㎡)で、営業開始時期は17年春予定としている。
■中期経営計画で18年3月期営業利益6億46百万円目標
中長期経営計画では18年3月期売上高129億51百万円、営業利益6億46百万円を目標値として掲げ、ブランド認知度の向上、圏央道相模原愛川IC~高尾山IC間の開通に伴う商圏拡大などに取り組んでいる。訪日外国人旅行客のインバウンド需要や和食ブームも追い風となる。
海外については13年5月、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定した。16年オープンに向けて準備を進めている。
■第3四半期の構成比が高い収益構造
15年3月期の四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億66百万円、第2四半期(7月~9月)29億30百万円、第3四半期(10月~12月)34億99百万円、第4四半期(1月~3月)27億39百万円で、営業利益は第1四半期84百万円、第2四半期1億23百万円の赤字、第3四半期3億80百万円、第4四半期85百万円の赤字だった。
第3四半期の構成比が高い収益構造だ。15年3月期のROEは0.6%で14年3月期比5.4ポイント低下、自己資本比率は41.7%で同0.5ポイント上昇した。配当性向は273.7%だった。また15年3月期末の有利子負債売上高比率は31.6%まで改善して目標を達成した。
■16年3月期第3四半期累計は減収減益だが飲食事業は堅調
今期(16年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の非連結業績は、売上高が前年同期比1.6%減の93億47百万円、営業利益が同16.3%減の2億85百万円、経常利益が同11.3%減の2億44百万円、そして純利益が同6.5%減の1億33百万円だった。
文化事業が箱根大涌谷周辺の火山活動活発化の影響を受け、箱根ガラスの森の来館客数が大幅に減少したため、全体として減収減益だった。しかし飲食事業はインバウンド需要の増加、14年4月開業「銀座kappou ukai」のブランド認知向上効果、製菓新商品や期間限定ショップ展開の効果などで堅調に推移した。売上総利益率は53.4%で同0.4ポイント低下、販管費比率は50.4%で同0.2ポイント上昇した。営業外収益では受取保険金が減少し、営業外費用では保険解約損が一巡した。特別損失では固定資産除却損が減少した。
セグメント別に見ると、飲食事業は売上高が同0.9%増の86億16百万円で、営業利益(連結調整前)が同4.5%増の11億48百万円、文化事業は売上高が同23.6%減の7億30百万円で、営業利益が42百万円の赤字(前年同期は53百万円の黒字)だった。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億36百万円、第2四半期(7月~9月)28億71百万円、第3四半期(10月~12月)34億40百万円で、営業利益は第1四半期67百万円、第2四半期77百万円の赤字、第3四半期2億95百万円だった。
■16年3月期通期も営業減益予想だが飲食事業は堅調
今期(16年3月期)通期の非連結業績予想(11月6日に減額修正)は、売上高が前期比1.6%減の120億38百万円、営業利益が同29.5%減の1億80百万円、経常利益が同34.3%減の1億22百万円、純利益が同39.0%増の39百万円としている。
純利益は繰延税金資産取崩に伴う法人税等調整額が一巡して増益予想だ。配当予想(5月19日公表)は前期と同額の年間15円(期末一括)としている。予想配当性向は197.4%となる。
飲食事業の月次売上高(前年比、アトリエうかい店頭販売含む)を見ると、全店および既存店とも、15年4月98.4%、5月106.2%、6月97.3%、7月100.2%、8月101.7%、9月104.4%、10月103.7%、11月97.4%、12月99.6%、16年1月98.4%、2月99.9%と概ね堅調に推移している。16年2月の客単価は10ヶ月連続の前年比プラスとなった。
今期(16年3月期)は文化事業が箱根大涌谷周辺の火山活動活発化の影響を受けたため営業減益予想だが、主力の飲食事業は堅調に推移している。そして通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高77.7%、営業利益158.3%、経常利益200.0%、純利益341.0%で、各利益は通期会社予想を超過達成している。第3四半期の構成比が高い収益構造だが、通期増額余地もありそうだ。
また来期(17年3月期)は、東京・大手町への新規出店準備費用の発生が予想されるが、一方では火山活動活発化という特殊要因の影響が緩和される。飲食事業が堅調に推移して収益改善基調が期待される。
■株主優待制度は毎年9月末に実施
株主優待制度については14年5月に実施時期変更を発表し、毎年3月期末から毎年9月中間期末に変更して14年9月末から実施した。
また15年11月に優待内容の一部変更を発表した。変更前の「株主様お食事優待券」を変更後の「株主様ご優待券」として、利用可能店舗に「アトリエうかい」を追加し、優待内容を「利用可能店舗におけるご飲食代のご優待」から「利用可能店舗におけるご利用代のご優待券」に変更した。15年9月末現在の株主から実施した。
この結果、変更後の優待内容は、(1)100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主様限定お食事付ご入場招待券5枚(1万5000円相当)、(2)所有株式数に応じた「株主様ご優待券」または「うかい特選肉」となった。
■株価は戻り歩調でモミ合いレンジを突破
株価の動きを見ると、2月12日と15日の直近安値2450円から切り返して戻り歩調の展開だ。そして3月18日には2775円まで上伸する場面があった。15年10月以降のモミ合いレンジ2600円~2700円を突破する動きだ。
3月18日の終値2690円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS7円60銭で算出)は354倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.6%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS925円25銭で算出)は2.9倍近辺である。時価総額は約141億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を突破し、25日移動平均線が上向きに転じた。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線を突破した。そして15年10月以降のモミ合いレンジ2600円~2700円を突破する動きだ。15年8月の戻り高値3005円を目指す展開だろう。