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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】パシフィックネットは下値固め完了、今期増額余地も評価して出直り展開
- 2015/1/9 07:36
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開するパシフィックネット<3021>(東マ)の株価は、12月の直近安値505円から切り返しの動きを強めている。1月7日には585円まで上伸する場面があった。下値固めが完了した形であり、今期(15年5月期)業績見通しの増額余地も評価して出直り展開だろう。2%台後半の配当利回りも支援材料だ。
パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収を強化するとともに、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。
ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなどで顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収もスタートした。
また新サービスとして14年8月に、レカム<3323>およびリステック(東京都中央区)との3社協業で中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。
14年10月には企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める。中期的にはソリューション・プラットフォームと位置付けて、リサーチ結果の提供やユーザー間の情報交換など、さまざまなサービスを新たに投入する方針だ。
14年11月には、Windowsクラスルーム協議会の「Windowsクラスルーム包括プログラム」のサービスメニューとして「教育機関のお客様向けECOサービス」を展開すると発表した。教育現場におけるICT機器導入時・処分時のコスト削減サービスや、ICT機器処分時の情報漏洩などセキュリティリスクを軽減するサービスを教育機関向けに提供する。
今期(15年5月期)の連結業績見通しについては、12月11日に第2四半期累計(6月~11月)見通しの増額修正を発表したが、通期見通しについては不透明要因が多いとして前回予想(7月15日公表)を据え置き、売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。
通期見通しを据え置いたが、米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴う入れ替え需要一巡や、消費増税の反動といったマイナス影響が想定よりも限定的であり、スマートフォンやタブレットなど中古モバイル市場が拡大傾向を強めている。収益基盤強化に向けた顧客対応強化の効果でリース会社や一般企業などからの中古情報機器の引取回収が順調に増加し、保守・サポートなど付帯サービス関連も拡大しているようだ。通期見通しにも増額余地があるだろう。
株価の動きを見ると、第2四半期累計業績の増額修正を好感した660円から急反落したが、12月25日と26日の直近安値505円から切り返しの動きを強めている。1月7日には585円まで上伸する場面があった。500円近辺で下値固めが完了したようだ。
1月8日の終値558円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.9%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.6倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。500円近辺に支持線を形成して下値固めが完了した形であり、今期業績見通しの増額余地も評価して出直り展開だろう。2%台後半の配当利回りも支援材料だ。