【株式評論家の視点】一蔵は配当・優待取り狙いで一段高に期待
- 2016/3/23 11:08
- 株式評論家の視点
一蔵<6186>(東2)は、昨年12月25日に東京証券取引所市場第二部に上場。呉服等の販売、振袖等の販売・レンタル、成人式の前撮り写真撮影サービス、成人式当日の着付け及びメイクサービス、着物の着方教室の運営等を行っている。
和装事業においては、振袖を中心としたレンタル需要や着方教室をきっかけに呉服販売等が盛んになりつつあることや、ファッションとして『着て』楽しむ消費者層が増加(「所有」から「使用」へと変化)するなどの兆しが見られること、経済産業省が国内和装産業の振興を図るため「きものの日」の導入を検討しており、その一環として同省において一般社団法人全日本きもの振興会が定める「きものの日」にあわせて昨年11月15日に和服で執務を行う取り組みが行われるなど、市場が拡がる中、同社は、積極的な広告宣伝やシルバーウィークに開催した催事が奏功し、特に振袖の販売・レンタル、成人式の前取り写真撮影などの受注が大きく伸長している。
ウエディング事業においては、少子化により結婚適齢期を迎える人口が減少していることや、晩婚化、未婚化などの影響で婚姻組数の減少傾向が続いているが、同社が手がけるゲストハウススタイルでの挙式・披露宴は人気で、積極的な広告宣伝やプロジェクションマッピングなど新サービスが奏功し、挙式・披露宴の成約件数が大きく伸長している。
今2016年3月期第3四半期業績実績は、売上高が105億8600万円、営業利益が10億5100万円、経常利益が10億4400万円、純利益が6億4800万円に着地。
通期業績予想は、売上高が137億9300万円(前期比5.4%増)、営業利益が10億2000万円(同31.1%増)、経常利益が10億0500万円(同33.0%増)、純利益が6億3900万円(同25.6%増)を見込んでいる。配当は期末一括35円を予定している。
株価は、上場日12月25日につけた1259円高値から1月21日に上場後の安値854円まで調整を挟んで2月8日高値1090円と上昇。その後、モミ合っている。同社は、2月15日に株主優待制度を導入すると発表。毎年3月31日現在の株主名簿に記載または記録された100株(1単元)以上を保有している株主に和装事業が展開している店舗、一蔵、オンディーヌ、いち瑠、いち利、アムールで利用可能な優待券か、ウエディング事業が展開している3つの結婚式場のチャペルコンサート&ディナーの割引券を贈呈する予定。16年3月期予想PER8倍台と割安感があり、配当利回り3.6%と利回り妙味はソコソコある。950円割れで下値を固めた感があり、短期的には配当・優待取り狙いで一段高が期待されるほか、17年3月期増収増益が観測されており、高い成長が続くと見込まれることから中長期的な視点でも買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)