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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソーバルは17年2月期も増収増益基調、指標面にも割安感
- 2016/3/29 07:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソーバル<2186>(JQS)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開している。受注環境は良好であり、16年2月期に続いて17年2月期も増収増益基調が予想される。株価は安値圏でモミ合う展開だが、指標面に割安感があり、調整が一巡して出直り展開だろう。なお4月12日に16年2月期の決算発表を予定している。
■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開
組み込みソフト開発、ウェブ/スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。技術力と経験豊富な人材を合わせ持つ国内有数の独立系組み込みソフト開発企業であり、優良な大口顧客を抱えていることも特徴だ。
15年2月期の主要顧客別売上構成比を見ると、キヤノン<7751>グループが63.3%、ソニー<6758>グループが11.9%、富士通<6702>グループが8.5%、NTT<9432>グループが3.7%だった。
M&Aも積極活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、人材の確保を推進している。12年9月にはオムロン<6645>向けを主力とするモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC、16年5月1日付で当社に吸収合併予定)を子会社化した。
15年5月にはアンドールシステムサポート(東京都)を子会社化した。同社は車載システム開発、生産ラインや物流搬送設備などの制御システム開発に強みを持ち、子会社化することで組み込み用ソフトウェア・ハードウェア受託開発分野の業容拡大に繋がる。また同社の大阪支社を当社グループの関西圏進出の拠点と位置付けて積極的な事業展開を推進する。
一方では15年3月にRFID事業をアートファイネックス(福井県)に譲渡した。15年2月期にソフトバンク関連の機器置き換え特需が一段落したため、RFID事業を売却して経営資源をエンジニアリング事業に集中する。
なお2月22日に、16年5月1日を効力発生日(予定)として100%子会社のMCTECを吸収合併すると発表した。グループ経営の効率化、グループ管理体制の迅速化を図るとしている。
■15年2月期は本社移転費用が影響したが収益拡大基調
15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億74百万円、第2四半期(6月~8月)16億86百万円、第3四半期(9月~11月)17億65百万円、第4四半期(12月~2月)16億95百万円、営業利益は第1四半期2億01百万円、第2四半期70百万円、第3四半期1億73百万円、第4四半期1億07百万円だった。
第2四半期の営業利益は本社移転費用計上という一時的要因も影響したが、収益は拡大基調である。15年2月期の売上総利益率は20.9%で14年2月期比0.5ポイント上昇、販管費比率は12.9%で同0.4ポイント上昇、ROEは13.5%で同0.5ポイント上昇、自己資本比率は70.8%で同6.0ポイント低下した。配当性向は40.1%だった。
■16年2月期第3四半期累計は増収増益
前期(16年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.1%増の57億円、営業利益が同9.9%増の4億88百万円、経常利益が同11.0%増の4億99百万円、純利益が同15.1%増の2億96百万円だった。
きめ細かな提案活動、積極的な営業活動による受託開発案件の受注拡大、各プロジェクトにおける品質・納期・コスト管理の取り組み徹底、本社移転による作業効率化や各種ノウハウの共有化、新卒・若手エンジニアの育成と技術力底上げなどの効果で増収・増益だった。売上総利益率は22.0%で同0.3ポイント上昇、販管費比率は13.5%で同0.3ポイント上昇した。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億69百万円、第2四半期(6月~8月)19億68百万円、第3四半期(9月~11月)19億63百万円、営業利益は第1四半期1億79百万円、第2四半期1億53百万円、第3四半期1億56百万円だった。
■16年2月期増収増益予想で増額の可能性
前期(16年2月期)通期の連結業績予想(4月10日公表)は、売上高が前々期(15年2月期)比2.6%増の71億円、営業利益が同5.1%増の5億80百万円、経常利益が同3.5%増の5億80百万円、そして純利益が同5.0%増の3億50百万円としている。配当予想は同7円増配の年間38円(第2四半期末19円、期末19円)としている。大幅連続増配で予想配当性向は45.6%となる。
エンジニアリング事業の受注が増加基調であり、新規顧客の開拓、受託案件の作業効率化、エンジニアの技術力アップとローテーションによる稼働最適化などの施策も積極推進する。本社移転費用や厚生年金基金脱退損失といった一時的費用一巡も寄与して増収増益予想だ。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が80.3%、営業利益が84.1%、経常利益が86.0%、純利益が84.6%と高水準である。パートナー確保難航などを要因として通期会社予想を据え置いたが、新規連結のアンドールシステムサポートの業績を織り込んでいないことも考慮すると、通期会社予想は増額の可能性が高いだろう。
■受注環境良好、M&A戦略も寄与して収益拡大基調
製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。受注環境は中期的にも良好だ。
人材やパートナー企業の確保が課題だが、エンジニアのワーク・ライフ・バランスの充実、エンジニアの技術力向上、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーの育成、精度の高いプロジェクト管理、そして積極的なM&A戦略などの効果で、中期的に収益拡大基調が期待される。
■株主優待制度は8月末に実施
株主優待制度については、毎年8月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株以上~500株未満保有株主に対して500円相当のQUOカード、500株以上保有株主に対して2000円相当のQUOカードを贈呈する。
■株価は調整一巡感
株価の動きを見ると、地合い悪化の影響で急落した2月の直近安値948円から反発したが、その後は安値圏1050円~1100円近辺でモミ合う展開だ。ただし調整一巡感を強めている。
3月28日の終値1091円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS83円32銭で算出)は13倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は3.5%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS599円57銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約46億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線に接近した。17年2月期も増収増益基調が予想され、3%近辺の予想配当利回りなど指標面の割安感も注目点だ。調整が一巡して出直り展開だろう。