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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ネットワークバリューコンポネンツは調整一巡して出直り、16年12月期大幅増益予想で収益改善基調
- 2016/3/30 08:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ネットワークバリューコンポネンツ<3394>(東マ)は、ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開し、中期成長に向けてパートナー企業との協業も強化している。16年12月期は大幅増益予想で収益改善基調である。株価は2月安値から切り返している。サイバーセキュリティ関連としても注目され、調整が一巡して出直り展開だろう。
■情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開
情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業(ネットワークソリューション事業およびネットワークサービス事業)を展開している。
クラウド関連、モバイル関連、セキュリティ関連、サービス関連などを重点分野として海外の先端技術を開拓し、国内を代表するIT先進企業へ最適なソリューションとして提供している。
企業内セキュリティ対策チームをバックアップするNVCプライベートSOC運用支援サービスも提供している。ライセンス収入や保守・運用収入などの売上構成比が高く、ストック型の収益構造であることも特徴だ。
15年1月にはユニファイド・セキュリティー・サービス部門を新設した。セキュリティ商材の販売・設計・構築・保守サービス・マネージドサービスなど、従来各部門で個別に行ってきた各種セキュリティサービスを統合し、より質の高いサービスの提供を目指す方針だ。
15年7月にはWebサーバ脆弱性診断サービスWVDSを開始した。Webの脆弱性を利用した悪意のある攻撃に対して「Webサイトの健康診断」を実施するサービスで、セキュリティに対する耐性がいち早く明確化・可視化され、具体的な対応策を素早く検討することが可能になる。
3月1日には、米国エイリアンボルト社が提供するAlienVault製品を利用した「NVC USM(Unified Security Management)運用支援サービス powered by AlienVault」の提供開始を発表した。
■中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進
中期成長に向けて先端的ネットワーク関連商品の投入、パートナー企業との協業推進などで、プロジェクト単位での受注拡大を目指している。13年5月には新日鉄住金ソリューションズ<2327>と資本・業務提携した。
13年8月には米国ニクサン社のネットワーク監視ソリューション製品に関する販売代理店契約、13年10月にはカナダのノビフロー社が開発したオープンフロー関連製品の国内独占販売代理店契約を締結した。
14年9月にはネットワークセキュリティの米国ThreatSTOP社のリアルタイムIPおよびドメインレピュテーションサービスに係る国内販売代理店契約を締結し、15年9月には米国ThreatSTOP社が実施した475万ドルの資金調達に、スタンフォード大学計算機教授のデビッド・チェリントン博士および当社の渡部進代表取締役などが投資した。
15年2月にはネットワークセキュリティ専業メーカーであるNSFOCUS社の日本法人NSFOCUSジャパンと国内販売代理店契約を締結し、15年6月にはNSFOCUS社が提供するWebサイトの脆弱性をスキャニングするソリューション「WVSS」の国内販売を開始した。
15年4月にはファイア・アイ社と同社の標準型マルウェア防御システム製品についてゴールドパートナー契約を締結した。15年10月には米国トムソーヤ・ソフトウェア社と国内販売代理店契約を締結した。同社が開発したデータ可視化ソフトウェア開発キット「トムソーヤ・パースペクティブ」の国内販売を開始する。
また3月3日にはネットワーク・脆弱性分析製品の米国レッドシール社と国内販売代理店契約を締結、3月9日にはデータセンター向け分散セキュリティ・プラットフォーム製品の米国ヴィアーマーネットワークス社と国内販売代理店契約を締結したと発表している。
■15年12月期は計画超の大幅増益
前期(15年12月期)の連結業績は、前々期(14年12月期)比18.5%増収、5.9倍営業増益、経常黒字化、53.1%最終増益だった。期末に計上を見込んでいた中規模案件の失注などで売上高は計画をやや下回ったが2桁増収となり、利益は計画超の大幅増益となった。
セグメント別売上高はネットワークソリューション事業が同26.1%増の23億95百万円、ネットワークサービス事業が同3.9%増の10億20百万円だった。ネットワークソリューション事業では官公庁向け大型案件を含め、セキュリティ関連や無線LAN関連が好調に推移した。ネットワークサービス事業では、保守・構築といった従来型サービスに加えて、マネージドVPNなどの自社サービスが好調に推移した。
利益面では、円安による仕入原価上昇や低採算案件の影響で売上総利益率が低下したが、増収効果やのれん償却減少などが寄与して計画超の大幅増益だった。売上総利益率は32.4%で同4.5ポイント低下、販管費比率は27.4%で同8.5ポイント低下した。営業外収益では保険解約返戻金4百万円を計上した。営業外費用では支払手数料が増加(前々期3百万円計上、前期10百万円計上)したが、為替差損が減少(前々期11百万円計上、前期3百万円計上)した。
特別利益では投資有価証券売却益が減少(前々期66百万円計上、前期0百万円計上)した。特別損失では投資有価証券評価損が拡大(前々期2百万円計上、前期23百万円計上)し、商品評価損25百万円を計上した。また繰延税金資産を新たに30百万円計上した。またROEは38.0%で同6.1ポイント上昇、自己資本比率は23.1%で同8.1ポイント上昇した。配当は無配を継続した。
15年12月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(1~3月)9億39百万円、第2四半期(4~6月)10億01百万円、第3四半期(7~9月)6億83百万円、第4四半期(10~12月)7億92百万円、営業利益は第1四半期48百万円、第2四半期33百万円、第3四半期23百万円、第4四半期66百万円だった。
■16年12月期大幅増益予想で収益改善基調
今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月12日公表)は、売上高が前期(15年12月期)比6.9%増の36億52百万円で、営業利益が同47.2%増の2億51百万円、経常利益が同48.5%増の2億33百万円、そして純利益が同53.4%増の1億55百万円としている。配当予想については第2四半期末を無配継続、期末を未定としている。
引き続き先端的なネットワーク関連商品の投入、パートナーとの協業強化、自社サービスの強化に取り組み、セキュリティ、ネットワーク、クラウドの重点3分野での事業展開に注力するとしている。収益改善基調に変化はないだろう。
■株価は調整一巡して出直り
株価の動きを見ると、2月12日の昨年来安値1700円から切り返している。3月7日には2830円まで上伸する場面があり、その後は2500円近辺で推移している。調整が一巡したようだ。
3月29日の終値2471円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS162円58銭で算出)は15~16倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS342円13銭で算出)は7.2倍近辺である。時価総額は約24億円である。
日足チャートで見ると上向きに転じた25日移動平均線がサポートラインの形だ。また週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。収益改善基調でサイバーセキュリティ関連としても注目され、調整が一巡して出直り展開だろう。