【編集長の視点】ヒロセ通商はもみ合いも大幅増収増益業績を見直し割安直近IPO株買いが下値に継続
- 2016/4/1 10:11
- 編集長の視点
ヒロセ通商<7185>(JQS)は、12円高の862円と続伸して始まったあと、26円安と下ぶれるなど前日終値を挟むもみ合いを続けている。きょう1日に日経平均株価が、256円安と4営業日続落してスタートしていることから、今年3月22日につけた上場来安値797円から底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が交錯している。ただ同時に、前日31日に期末となった2016年3月期業績が、大幅増収増益と予想されていることを再評価して、今年3月18日の新規株式公開(IPO)時の公開価格830円水準にある株価は割安として、直近IPO(新規株式公開)株買いも下値に続いている。同社が属するFX(外国為替証拠金取引)業界でも、独自のビジネスモデルを展開していることも手掛かり材料視されている。
■2016年3月期純利益は為替変動で取引高が増加して前期比2.7倍増
同社の2016年3月期業績は、IPO時に営業収益60億4100万円(前期比21.6%増)、営業利益10億600万円(同81.9%増)、経常利益9億3600万円(同92.5%増)、純利益5億3800万円(同2.70倍)と予想されている。FX取引は、一般的に為替変動率が高くなると取引高が増加し、為替変動率が低下すると取引高が低下する傾向があり、2016年3月期は、ギリシャの債務危機、中国・人民元の切り下げ、米国の利上げなどを背景に為替変動率が上昇し、第3四半期までの取引高が、前年同期より18.9%増と増加したことなどが、寄与している。
この取引高増加は、同社のFX取引が、通常は投資単位を1万通貨単位としているのに対して、1000通貨単位と小口化し、初心者を含めた幅広い顧客層に投資環境を提供するとともに、取引手数料を無料化したりB級グルメ食品を贈呈するキャッシュバックキャンペーンを展開し、さらに英国やマレーシアの子会社を通じて海外投資家の取り込みを進めるなど同社の独自ビジネスモデル効果が発揮されていることが要因となっている。
続く2017年3月期業績も、米国FRB(連邦準備制度理事会)が、4月26日~27日や6月14日~15日に開催予定のFOMC(公開市場委員会)で再利上げを決定するかどうか市場予想が分かれ、為替相場の変動率が高まると観測されているだけに、取引高の増加を背景に続伸が有力視される。
■PERは7倍台と既上場FX株に比べて割安で最高値抜けから上値トライも
株価は、初値を公開価格と同値の830円でつけ979円と上ぶれ、上場来安値797円へ突っ込んだが、売られ過ぎとしてストップ高を交えて上場来高値1050円まで買い直され、再度、公開価格を確かめるもみ合いを続けている。PERは7倍台と既上場FX株に比べて割安であり、最高値抜けから上値トライを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)