【どう見るこの相場】新興マーケットの人気停滞の行方今は、『花より団子の相場』、夢より配当狙い相場の流れに乗れず、成長戦略具体化待ち

東証1部マーケットの好人気とは裏腹に昨年半ば以降、新興マーケットの元気がない。展望を探った。

<Q>最近、新興系銘柄に元気がないようだが。

<A>その通りだ。たとえば、新興マーケットの『マザーズ指数』でみれば、2013年末の959ポイントに対し2015年1月9日では891ポイントと約7.1%の下落となっている。この間、TOPIXは約6.7%、日経平均は約5.6%、それぞれ上昇し明らかに明暗を分けている。

<Q>なぜか。

<A>新興マーケットがすべて不人気ということではなく、最近の新規公開銘柄は好人気となっている。これに対し、既存銘柄の人気盛り上がりに欠けるという状況だ。たとえば、昨年、マザーズで高人気だったCYBERDYNE<7779>は昨年8月につけた高値4265円から1月9日には3140円と約26.3%下げている。同じく人気株のユーグレナ<2931>は昨年12月3日付でマザーズから東証1部上場となったが、マザーズ時代につけた高値3302円に対し1月9日は1490円と半値以下となっている。背景としては、これらの銘柄はアベノミクスの成長戦略を支えに高人気となったが、アベノミクスの成長戦略に新鮮味が薄らいでいることがあるだろう。しかも、今の相場が『夢を買う相場』より、配当などの『現実の果実を買う相場』となっていることから、たとえば上記の2銘柄が無配のように配当取りの流れから外れている。NISA向けに勧めるにしても無配ではリスクが大きいという現場の声も聞かれる。

<Q>希望は持てないのか。

<A>そんなことはない。今は、3月期の配当を取る動きが中心の展開で配当取りが一巡すれば春以降には目が向いてくるだろう。新興系銘柄には外国人投資家、機関投資家などがまったく目を向けないというわけではないが、新興系銘柄買いの中心は個人といえる。中長期狙いの個人は押せば下値買いのスタンスだが、個人の短期マネーは潮が引けば逃げ出して動きのよい銘柄にシフトする。日経平均が2万円を目指す展開となりマザーズに出遅れ感が強まった時、あるいはアベノミクス成長戦略でカジノ構想などが現実化したときなどに再び動きだすものとみられる。人気のないときに仕込んでおくのは有効といえる。ただ、PERや利回りでのメドが立て難いのでチャートでの下値フシで狙うのがよいだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る