【鈴木雅光の投信Now】50歳から始める投資信託の積み立て
- 2016/4/5 09:54
- 株式投資News
50歳で貯蓄ゼロ円という世帯がどの程度の比率を占めるのか、ご存じでしょうか。
フィデリティ退職・投資教育研究所のアンケート調査によると、男女ともに50歳以上で、老後生活準備金がゼロ円という世帯は、3割以上いるということです。
これ、本当に大変なことだと思います。お金の事情は人それぞれですが、50歳で貯蓄がゼロ円だと、定年後の生活に大変苦労することになります。
定年はいずれ、徐々に65歳まで延長されるでしょう。ただ、本当にそこまで勤め上げる人は、恐らく少数だと思います。たとえば高給取りと世間で思われている銀行員は、役員コースに乗っている人以外、50歳を過ぎると片道キップの出向が待ち構えています。そして、出向先で55歳を迎えたところで、銀行員の籍を抜かれ、名実ともに出向先の社員になります。銀行員の時に比べれば、当然のことですが給料は激減でするでしょう。
銀行員に限らず、55歳になると、役職定年になる企業は、少なくないようです。役職定年になったら、それまで部長だったとしても、平社員になるわけです。当然、給料も減額されるでしょう。これから公的年金を受給する人は、支給開始年齢が65歳からです。もし、60歳の時点で勤めるのが嫌になり、退職すると、そこから5年間は無収入状態になります。この間の生活費をカバーするためにも、何らかの形で資産を築いておく必要があります。
では、どのくらいの金額を貯めれば良いのでしょうか。
老後の生活に必要な金額は、3000万円とも5000万円ともいわれますが、ちょっと計算してみましょう。
たとえば60歳の時点で3000万円の貯蓄があったとしましょう。これを年平均3%で運用しながら、毎月15万円ずつ引き出していきます。この場合、どの程度資金が持つのかというと、23年2か月です。つまり、83歳の時点で資金が底を尽くことになります。
自分自身は、いくつまで長生きすると思っていますか。仮に90歳まで生きながらえた場合、83歳から90歳までの7年の余生は、すでに自分の手持ち資金が底を尽いているわけですから、公的年金のみに頼るしかありません。しかも、この時点で夫が亡くなっていたとしたら、妻に支給される公的年金の額は、大幅に減額されます。そう考えると50歳以降、仮に貯蓄が0円だとしたら、何が何でも60歳までには、ひと塊の資産を築いておく必要があります。
もちろん、それにはかなりハードな倹約生活が必要です。50歳から積立投資を始めて、60歳までの10年間で3000万円を作ろうとしたら、毎月21万円程度の積み立てが必要になります。ちなみに、この計算における運用利回りは、年平均3%を想定しています。
年平均3%の利回りで運用できるのでしょうか。答えはイエスです。そういう運用をするために存在しているのが投資信託です。モーニングスターのサイトには、さまざまな条件でファンドを検索するサービスがあります。これを活用することによって、たとえば過去10年の騰落率を年平均に換算した数字などが見られます。この手のサイトを有効活用することによって、年平均3%リターンを着実に実現しているファンドを探せば良いのです。
そして、この手のファンドが見つかったら、あとは積立投資をするのみです。このような「お金を貯めるための仕掛け」を抜かりなくできる人こそが、将来、大きな果実を手にするのです。
(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)