【編集長の視点】フェニックスバイオは公開価格水準から続急伸、大幅増益業績を見直し既上場類似会社との比較で直近IPO株買いが増勢

編集長の視点

 フェニックスバイオ<6190>(東マ)は、158円高の2698円と続急伸して始まり、今年3月18日の新規株式公開(IPO)時の公開価格2400円に並ぶ株価ポジションから出直る動きを強めている。IPO後の初決算で目下集計中の2016年3月期業績が、大幅増益と予想されていることを見直し、下げ過ぎとして直近IPO株買いが増勢となっている。医薬品開発の実験用動物を提供している既上場の類似会社とは業績実態面に違いが明らかなことにも比較感が働き、買い手掛かりとなっている。

■大量生産のPXBマウスが大手製薬会社向けに伸び純利益は前期比2.3倍増

 同社は、肝細胞の70%以上がヒト肝細胞に置換された「ヒト肝細胞キメラマウス(PXBマウス)」を安定的に日本、米国合計で年間約4500匹生産し、大手製薬会社の創薬過程の前臨床段階向けに提供、ヒトの領域の試験の一部をキメラマウスで行うことを可能として、製薬会社が、その後の臨床試験段階で開発をドロップアウトするリスクを低減し医薬品の開発費を軽減させるとともに、新薬候補の安全性や有効性を検証する受託試験サービスも展開している。大手製薬会社の売上高研究開発費比率は、非臨床比率が約24%を占めると推定されており、この非臨床段階で同社のPXBマウスが、海外製薬会社の抗B型肝炎薬の薬効試験評価試験などに伸びるなど肝炎関連売り上げが拡大している。

 このためPXBマウスの大量生産が軌道に乗った2014年3月期以降、売り上げが拡大するとともに利益もプラス転換、2016年3月期業績は、売り上げ11億8400万円(前期比34.4%増)、営業利益1億5100万円(同2.98倍)、経常利益1億6000万円(同2.55倍)、純利益1億3500万円(同2.38倍)と大幅増収増益と見込んでいる。

■PERは50倍台だが類似会社に比べ相対的に割安で最高値奪回に再発進

 株価は、IPO時に6社が同時上場したIPOラッシュが響いて初値を公開価格を下回る2350円でつけたが、即ストップ高し、上場来高値3285円まで買い進まれたが、セカンダリーでは定石通りに下値を探って上場来安値2290円と下げ、売られ過ぎとして2564円とリバウンドして公開価格水準固めを続けてきた。カイコ、マウス、サルなどの実験用動物事業を展開している新興市場の類似既上場会社には、なお業績的に水面下にある銘柄もあるのに比べ業績面で優位にあり、PERは50倍台となるが、相対的に割安とも評価され最高値奪回に向け再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る