【株式評論家の視点】アンジェスは革新的医薬品の実用化接近で株価注目度アップ、遺伝子治療薬第1号

株式評論家の視点

 アンジェス MG<4563>(東マ)は、革新的な医薬品の実用化を目指し、遺伝子医薬などの次世代バイオ医薬に関する研究開発を中核とした事業を展開するバイオベンチャー企業。遺伝子医薬や治療ワクチンといった次世代バイオ医薬を創製する先端技術を基盤に、治療法がない疾病分野や難病、希少病などを対象にした革新的な医薬品の開発を通じて、国民生活や医療水準の向上に貢献することを目標に、国際的に通用する革新的な医薬品を少しでも早く患者に届けることを目指している。

 開発プロジェクトとして、NF-κBデコイオリゴを用いた外用剤に関して皮膚疾患適応を対象に全世界における独占的な販売について塩野義製薬と提携。末梢性血管疾患(PAD)を対象としたHGF遺伝子治療薬の、米国および国内における独占的な販売について田辺三菱製薬と提携。NF-κBデコイオリゴ含有PLGA粒子製剤の技術開発に関してホソカワミクロンと共同研究、この製剤技術により、NF-κBデコイオリゴの即効性と持続性を兼ね備えた優れた製剤を開発。NF-κBデコイオリゴをPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新世代医療機器の開発に関して国内の共同開発および製造販売についてメディキットと提携などしている。そのほか、ムコ多糖症 VI 型治療薬NaglazymeRの国内での独占的販売権を取得。子宮頸部上皮内腫瘍性病変(CIN)の治療ワクチン(CIN治療ワクチン)について、国内外の独占的な開発、製造、使用および販売権を取得。がん治療薬 Allovectinのアジア地域での開発販売権を取得している。

 前2015年12月期業績実績は、売上高が4億3000万円(前の期比52.7%減)、営業損益が41億7100万円の赤字(同22億7300万円の赤字)、経常損益が40億8900万円の赤字(同23億9500万円の赤字)、最終損益が41億4300万円の赤字(同23億6900万円の赤字)に着地。

 今16年12月期業績予想は、売上高が4億円(前期比7.0%減)、営業損益が64億円の赤字(同41億7100万円の赤字)、経常損益が64億円の赤字(同40億8900万円の赤字)、最終損益が64億円の赤字(同41億4300万円の赤字)を見込んでいる。

 今期は、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイムR」の販売量増加を計画しているが、提携企業からの契約一時金が減少する見込みのほか、HGF遺伝子治療薬の国際共同第Ⅲ相臨床試験が継続され、NF-κB デコイオリゴDNAのアトピー性皮膚炎を対象とした国内での第Ⅲ相臨床試験が完了し、申請に向けた準備費用等により、研究開発費が増加することから、減収減益となる見込み。

 株価は、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬(一般名はベペルミノゲンペルプラスミド、開発コードはAMG0001)に関して実施されている医師主導型臨床研究について、臨床研究を主導する大阪大学医学部附属病院以外の施設においても被験者への投与開始との発表、メディキットと共同で、詰まった血管を広げるバルーンカテーテル(医療用細管)に薬剤を塗った製品を開発との報道などを手がかりに、4月5日に年初来の高値700円と買い進まれている。同社は、遺伝子医薬のグローバルリーダーとして、世界で認知される遺伝子治療・核酸医薬のスペシャリストとなること、治療法のない病気の新薬を実用化という2025年ビジョンを掲げている。数値目標売上高500億円以上を目指しており、中長期的な成長が期待されている。25日移動平均線をサポートラインに上昇基調を強めており、刺激材料が発表されれば上値を試すと予想される。目先は押し目買い優位に800円の上値フシを目指す可能性もありそうだ。(株式評論家・信濃川)

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