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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】松田産業調整一巡して出直り、17年3月期収益改善期待
- 2016/4/15 09:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
松田産業<7456>(東1)は貴金属リサイクル事業を主力として農林水産品販売事業も展開している。16年3月期はエレクトロニクス産業の低迷などで減益予想だが、17年3月期は貴金属相場回復で収益改善が期待される。株価は地合い悪化も影響した直近安値圏から切り返している。出直り展開だろう。
■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開
貴金属リサイクルや産業廃棄物処理の貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。
貴金属リサイクルでは、半導体・電子材料部材・化成品などの貴金属製品をエレクトロニクス業界へ販売するとともに、半導体や電子部品を製造する過程で規格外となった部品(スペックアウト品)などの貴金属含有スクラップを国内外のメーカーから回収・処理・製錬することで、貴金属(金・プラチナ・パラジウムなど)をリサイクルする。
産業廃棄物処理では、写真の感光材料からの銀の回収、廃酸や廃アルカリの無害化中間処理など、産業廃棄物の回収・処理を行っている。無害化処理技術に強みを持ち、全国47都道府県での収集運搬業許可を得ている。
貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充、貴金属原料の確保と化成品などの製品販売強化、および製品・技術開発強化を推進している。海外は中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開し、ベトナムでは貴金属製錬工場の建設を進めている。
なお4月14日に、グループ会社のゼロ・ジャパンが5月24日~27日開催(東京ビックサイト)の「2016NEW環境展(N-EXPO2016TOKYO)に出展すると発表した。低濃度PCB廃棄物のSMCC分解・洗浄法による無害化処理技術を展示する。
食品関連事業では、すりみ・エビ・貝類などの水産品、鶏卵・鶏肉・ポーク・ビーフなどの畜産品、乾燥野菜・冷凍野菜などの農産品を取り扱っている。取扱商品の豊富さとグローバルな調達ネットワークが強みだ。海外は中国、タイに拠点展開している。
なお16年2月にガルフ食品の全株式を取得した。同社は水産品の専門商社として長年の輸入実績とノウハウがあり、当社の水産品販売とのシナジー効果が期待できるとしている。
■エレクトロニクス業界の生産動向や貴金属・食品市況が影響する収益構造
15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)429億40百万円、第2四半期(7月~9月)446億83百万円、第3四半期(10月~12月)469億16百万円、第4四半期(1月~3月)449億84百万円、営業利益は第1四半期9億31百万円、第2四半期10億79百万円、第3四半期16億86百万円、第4四半期17億14百万円だった。
半導体・電子部品などエレクトロニクス業界の生産動向や、貴金属および食品市況の影響を受ける収益構造である。15年3月期の売上総利益率は9.4%で14年3月期比0.1ポイント低下、販管費比率は6.4%で同0.4ポイント低下、ROEは6.8%で同0.1ポイント低下、自己資本比率は69.7%で同1.8ポイント低下した。配当性向は19.9%だった。
■16年3月期第3四半期累計は減収減益
前期(16年3月期)第3四半期累計(4月~12月)連結業績は、売上高が前年同期比6.3%減の1261億35百万円、営業利益が同25.4%減の27億56百万円、経常利益が同17.8%減の32億96百万円、純利益が同19.4%減の22億39百万円だった。
エレクトロニクス産業の低迷や貴金属相場の下落で売上総利益が減少した。売上総利益率は9.4%で同0.3ポイント上昇、販管費比率は7.2%で同0.9ポイント上昇した。営業外収益では持分法投資利益が増加(前期3億13百万円計上、今期4億80百万円計上)した。営業外費用では為替差損が縮小(前期43百万円計上、今期0百万円計上)した。
セグメント別に見ると、貴金属関連事業は売上高が同12.7%減の808億64百万円、営業利益が同32.1%減の18億96百万円だった。貴金属リサイクルおよび産業廃棄物処理の取扱数量が減少し、貴金属製品および電子材料等の販売数量も減少した。金を除いた価格下落も影響して減収減益だった。
食品関連事業は売上高が同7.9%増の453億23百万円、営業利益が同4.6%減の8億59百万円だった。水産品の販売数量や価格上昇で増収だったが、営業減益だった。
四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)450億14百万円、第2四半期(7月~9月)403億52百万円、第3四半期(10月~12月)407億69百万円、営業利益は第1四半期9億68百万円、第2四半期10億79百万円、第3四半期7億09百万円だった。
■16年3月期減益予想だが、17年3月期は改善期待
前期(16年3月期)通期の連結業績予想(2月10日に減額修正)は、売上高が前々期(15年3月期)比9.2%減の1630億円で、営業利益が同44.6%減の30億円、経常利益が同38.3%減の36億円、純利益が同25.2%減の25億円としている。
貴金属関連事業が対象とするエレクトロニクス産業等の低迷、貴金属相場の下落基調などで減益予想だ。なお通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.4%、営業利益が91.9%、経常利益が91.6%、純利益が89.6%である。
配当予想(5月11日公表)は、普通配当26円に株式公開20周年記念配当2円を加えて、15年3月期比3円増配の年間28円(第2四半期末14円、期末14円)としている。連続増配で予想配当性向は29.7%となる。
■株価は直近安値圏から切り返し
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、4月8日の年初来安値1096円から切り返している。14日には1184円まで上伸した。調整が一巡したようだ。
4月14日の終値1184円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS94円32銭で算出)は12~13倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.4%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1923円86銭で算出)は0.6倍近辺である。なお時価総額は約342億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、直近安値圏の下ヒゲ陽線で調整一巡感を強めている。指標面に割安感があり、出直り展開だろう。