【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ティムコ調整一巡して出直り、16年11月期第1四半期は営業赤字縮小

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ティムコ<7501>(JQS)はフィッシング用品およびアウトドア用品の企画・販売事業を展開している。4月12日に発表した16年11月期第1四半期業績は増収となり、営業赤字が縮小した。通期は増収増益予想で収益改善基調が期待される。株価は戻り一服でモミ合い展開だが調整一巡感を強めている。0.2倍近辺の低PBRも注目され、調整が一巡して出直り展開だろう。

■フィッシング用品とアウトドア用品の企画・販売

 フィッシング用品とアウトドア用品の企画・開発・販売事業を展開している。そして当社オリジナルアウトドア衣料ブランドである「Foxfire(フォックスファイヤー)」の商品力強化や、直営店舗「Foxfire Store(フォックスファイヤーストア)」の収益力向上に取り組んでいる。

 20年東京夏季五輪開催に向けて、登山・アウトドア・スポーツ関連の需要盛り上がりも期待される。

■15年11月期は減収減益で減損損失も計上

 15年11月期は消費マインド低迷、商品納期遅延の発生、在庫商品の値引き販売などで減収減益だった。差引売上総利益率は45.8%で14年11月期比0.2ポイント上昇、販管費比率は45.0%で同0.2ポイント上昇した。特別損失に本社および商品センター等の土地・建物等の有形固定資産等について減損損失13億96百万円を計上したため純利益は赤字だった。自己資本比率は82.8%で同3.7ポイント低下した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、フィッシング事業は売上高が同8.1%減の8億94百万円、営業利益が同12.1%減の1億06百万円だった。ルアー用品が仕入計画の遅延や取引先小売店での販売低調で苦戦し、円安に伴う輸入商品の原価上昇や在庫品の値下げ販売も影響した。

 アウトドア事業は売上高が同1.3%減の19億12百万円、営業利益が同0.1%減の1億31百万円だった。防虫素材「スコーロン」を使用した衣料品の販売強化で春夏物衣料が堅調だったが、暖冬の影響で防寒商品の販売が苦戦した。その他(不動産賃貸収入など)は売上高が同55.9%増の30百万円、営業利益が同55.0%増の22百万円だった。賃貸面積の増床が寄与した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(12月~2月)6億31百万円、第2四半期(3月~5月)7億62百万円、第3四半期(6月~8月)6億75百万円、第4四半期(9月~11月)7億69百万円、営業利益は第1四半期31百万円の赤字、第2四半期33百万円、第3四半期14百万円の赤字、第4四半期35百万円だった。

■16年11月期第1四半期は増収で営業赤字縮小

 4月12日発表した今期(16年11月期)第1四半期(12月~2月)の非連結業績は、売上高が前年同期比5.0%増の6億63百万円、営業利益が27百万円の赤字(前年同期は31百万円の赤字)、経常利益が24百万円の赤字(同30百万円の赤字)、純利益が21百万円の赤字(同24百万円の赤字)だった。

 個人消費低迷で厳しい事業環境だったが、積極的な営業活動で増収だった。差引売上総利益は1.0%増加した。差引売上総利益率は43.5%で同1.7ポイント低下、販管費比率は47.7%で同2.5ポイント低下した。営業外では為替差益が増加(前期0百万円計上、今期1百万円計上)した。

 セグメント別に見ると、フィッシング事業は売上高が同2.7%増の1億96百万円、営業利益(連結調整前)が同4.2倍の16百万円だった。前期発生したルアー用品の仕入遅延を改善し、フライ用品の新製品投入も寄与して増収となった。利益面では経費削減も寄与した。

 アウトドア事業は売上高が同6.0%増の4億58百万円、営業利益が同43.3%減の10百万円だった。暖冬のため冬物商品販売促進のための早期マークダウン(値引き販売)が影響して大幅減益だった。その他は売上高が同9.8%増の7百万円、営業利益が同4.4%増の6百万円だった。

■16年11月期通期は増収増益予想で収益改善期待

 今期(16年11月期)通期の非連結業績予想は前回予想(1月19日公表)を据え置いて、売上高が前期(15年11月期)比5.0%増の29億80百万円、営業利益が同2.1倍の49百万円、経常利益が同70.6%増の52百万円、純利益が41百万円(前期は14億83百万円の赤字)としている。配当予想は前期と同額の年間12円(期末一括)で予想配当性向は72.5%となる。

 基本戦略としては規模の拡大よりも内容の充実に重点を置き、アウトドア衣料ブランド「フォックスファイヤー」の商品力強化、直営店舗「フォックスファイヤーストア」の収益性向上に努める方針としている。店舗オペレーション効率化や販管費圧縮などの効果も寄与して収益改善が期待される。

■株主優待制度は毎年11月末に実施

 株主優待制度については毎年11月30日現在の株主を対象として実施している。優待内容は100株以上~1000株未満保有株主に対してFoxfire Store20%OFFお買物優待券1枚、1000株以上保有株主に対してFoxfire Store20%OFFお買物優待券2枚贈呈する。株主優待券利用対象店舗は直営店(会社ホームページを参照)となる。

■株価は戻り一服でモミ合い展開だが調整一巡感

 株価の動きを見ると戻り一服となり、470円~490円近辺でのモミ合い展開だが、2月安値446円まで下押すことなく調整一巡感を強めている。

 4月14日の終値478円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS16円56銭で算出)は28~29倍近辺で、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1989円07銭で算出)は0.2倍近辺である。時価総額は約16億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。0.2倍近辺の低PBRも注目され、調整が一巡して出直り展開だろう。

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