【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トーソーは16年3月期減益予想だが、17年3月期は収益改善期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トーソー<5956>(東2)はカーテンレール類・ブラインド類の大手である。中期戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として高付加価値商品拡販などの施策を強化している。16年3月期は住宅市場の回復遅れなどで減益予想だが、17年3月期は収益改善が期待される。株価は安値圏だが0.4倍近辺の低PBRも注目点であり、調整が一巡して出直り展開だろう。なお5月11日に16年3月期決算発表を予定している。

■カーテンレール類・ブラインド類の大手

 カーテンレール類やブラインド類の大手である。室内装飾関連事業を主力として、ステッキなど介護用品事業も展開している。なお国内市場シェアはカーテンレールが約50%、ブラインド類が約15%である。

 中期戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新商品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を強化している。

 円安に伴う原材料価格上昇に対応して、15年7月6日受注分からカーテンレールおよび関連部品の価格改定を実施し、15年10月5日受注分からデザインブラインドおよび関連部品の価格改定を実施した。

 なお16年1月には、フランスの子会社トーソー・ヨーロッパを解散して清算すると発表した。欧州市場の販売戦略を見直し、当社からの直接取引とする。清算結了は16年6月予定としている。

■住宅関連市場の影響受ける収益構造

 15年3月期の四半期別業績の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)53億10百万円、第2四半期(7月~9月)55億38百万円、第3四半期(10月~12月)53億38百万円、第4四半期(1月~3月)62億81百万円で、営業利益は第1四半期9百万円、第2四半期2億25百万円、第3四半期1億04百万円、第4四半期4億67百万円だった。

 新設住宅着工件数やリニューアル需要など住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い収益構造である。15年3月期の売上総利益率は41.0%で14年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は37.5%で同0.3ポイント上昇、ROEは3.2%で同1.2ポイント上昇、自己資本比率は52.7%で同3.0ポイント上昇した。配当性向は30.4%だった。

■16年3月期第3四半期累計は営業減益だが、純利益は増益

 前期(16年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.2%減の158億23百万円、営業利益が同29.8%減の2億28百万円、経常利益が同29.8%減の2億28百万円だった。純利益は法人税等の減少も寄与して同85.5%増の1億05百万円だった。

 住宅関連市場が本格回復に至らず、円安に伴う輸入原材料価格上昇、台風18号の影響による鬼怒川決壊に伴う協力工場の一部生産設備および資材(当社資産)の冠水被害などで減収、営業減益、経常減益だった。売上総利益率は41.2%で同0.1ポイント上昇、販管費比率は39.8%で同0.7ポイント上昇した。営業外収益では為替差益が減少(前期は16百万円計上、今期は9百万円計上)した。特別損失では災害による損失1億13百万円を計上したが、前期計上の厚生年金基金解散損失引当繰入額1億89百万円が一巡した。

 セグメント別の動向を見ると、室内装飾関連事業は住宅市場の回復遅れや水害による販売機会喪失などで、売上高が同2.5%減の155億67百万円、営業利益が同32.3%減の2億23百万円だった。その他事業はステッキを中心とした介護関連用品の販売活動強化で、売上高が同13.4%増の2億56百万円、営業利益が4百万円の黒字(前年同期は5百万円の赤字)だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)48億93百万円、第2四半期(7月~9月)54億73百万円、第3四半期(10月~12月)54億57百万円、営業利益は第1四半期1億69百万円の赤字、第2四半期2億21百万円、第3四半期1億76百万円だった。

■16年3月期減益予想だが、17年3月期は収益改善期待

 前期(16年3月期)通期の連結業績予想(10月30日に減額修正)は、売上高が前々期(15年3月期)比2.4%増の230億円、営業利益が同10.6%減の7億20百万円、経常利益が同10.7%減の7億円、純利益が同13.1%減の3億円としている。

 住宅関連市場の本格回復の遅れや円安による輸入原材料価格の上昇などで減益予想だ。配当予想(5月12日公表)は前々期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。予想配当性向は35.0%となる。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.8%、営業利益が31.7%、経常利益が32.6%、純利益が35.0と低水準である。住宅関連市場の本格回復が遅れているため、第4四半期の構成比が高い収益構造を考慮しても通期下振れに注意が必要となるが、来期(17年3月期)は収益改善が期待される。

■株主優待制度は3月期末に実施

 株主優待制度を実施して積極還元姿勢を示している。毎年3月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上保有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。優待品はギフトカタログに掲載された旬の食材や生活用品等の中から1点を選択する。また環境保全活動の一環として、インドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。

■株価は安値圏だが調整一巡感

 株価の動きを見ると、3月28日の戻り高値(年初来高値)502円から反落して安値圏だが、1月安値463円まで下押すことなく、470円~480円近辺で調整一巡感を強めている。

 4月15日の終値471円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS28円56銭で算出)は16~17倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.1%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1091円41銭で算出)は0.4倍近辺である。なお時価総額は約56億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、460円~470円近辺が下値支持線の形だ。0.4倍近辺の低PBRも注目点であり、調整が一巡して出直り展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る