【編集長の視点】ベネフィットジャパンは公開価格水準から反発、初決算の大幅増益業績を見直し割安直近IPO株買いが再燃
- 2016/4/19 09:55
- 編集長の視点
ベネフィットジャパン<3934>(東マ)は、30円高の2010円と5営業日ぶりに反発して始まり、今年3月24日の新規株式公開(IPO)時の公開価格1980円に並ぶ安値水準から出直る動きを強めている。IPO後の初決算となる2016年3月期業績の発表を今年5月中旬に控えており、前期に比べて大幅増益と予想されている同業績を見直し割安直近IPO株買いが再燃している。2017年3月期中にも携帯電話の契約取次事業から撤退し、販売会社から通信事業者への転換をより強めることも、成長可能性を高めるとして買い評価されている。
■独自の「コミュニケーションセール」で差別化し「オンリーオプション」の高加入率を実現
同社の2016年3月期業績は、IPO時に売り上げ42億2000万円(前期比0.7%減)、営業利益4億9000万円(同80.5%増)、経常利益4億6500万円(同67.9%増)、純利益3億3500万円(同71.2%増)と予想された。「格安スマホ」といわれるMVNO(仮想移動体通信事業)に2013年7月に参入し、同事業が売り上げの6割強を占めており、月額900円の「オンリーモバイル」の新規契約件数が、前期比18.0%増の1万508件と伸び、さまざまなサービスやコンテンツを提供する「オンリーオプション」の加入件数も増加し、契約取次事業の減収や天候不順に伴う天然水宅配事業の伸び悩みをカバーして大幅増益となる。
なかでもMVNO事業は、固定店舗を保有せずに全国のショッピングセンターやスーパーマーケットなどの約1万店に達する一般の店頭や催事場で対面販売する「コミュニケーションセール」を独自の差別化販売手法とするほか、パッケージ化して販売し「オンリーオプション」の高い加入率を実現、2015年3月期実績の加入率は63.6%となった。MVNO市場も、2014年12月の総務省のガイドライン改正以来、契約回線が大きく伸び、2015年3月末で前年比88%増の326万回線となり、2017年3月には、770万回線に高成長すると予測されており、つれて同社の続く2017年3月期業績の続伸も有力で、今年5月中旬の初決算発表時の業績開示動向に注目が集まる。
■三角保ち合いに煮詰まり感を強めPER10倍台の出遅れ訂正でまず初値奪回
株価は、公開価格1980円を67%上回る3310円で初値をつけ上場来高値3700円まで買い進まれたが、4月以降は、全般相場の記録的な続落にツレ安して上場来安値1802円まで調整、下げ過ぎとして公開価格水準でもみ合いを続け、この三角保ち合いに煮詰まり感を強めてきた。PERは、10倍台と既上場の類似会社に対して大きく出遅れており、初値抜けから上場来高値奪回とリバウンド幅拡大に再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)