【アナリスト水田雅展の銘柄診断】セキドは下値固め完了感、17年3月期収益改善期待で低PBRも見直し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 セキド<9878>(東2)は海外ブランド品などを扱うファッション専門店チェーンを展開している。3月のLEADERS直営1号店(札幌市)に続き、4月15日には「GINZA LoveLove」イオンモール熱田店をオープンした。16年3月20日期(決算期変更に伴い13ヶ月決算)は黒字化予想である。そして17年3月期も収益改善基調が期待される。株価は安値圏モミ合い展開だが、徐々に下値を切り上げて下値固め完了感を強めている。0.5倍近辺の低PBRも見直して反発のタイミングだろう。

■ファッション専門店事業を展開、インバウンド需要対応も強化

 12年10月に家電の店舗販売事業から撤退してファッション専門店事業に経営資源を集中し、海外ブランド品などを扱うファッション専門店「GINZA LoveLove」「スーパーセレクトショップラブラブ」を直営で展開している。15年2月20日期末の店舗数は首都圏中心に23店舗である。

 16年3月には「LEADERS(リーダース)」直営1号店となるLEADERS札幌ノルベサ店(札幌市中央区)をオープンし、続いて4月15日には「GINZA LoveLove」イオンモール熱田店(名古屋市熱田区)をオープンした。

 収益力強化に向けた中期成長戦略として「GINZA LoveLove」のブランディング強化、インバウンド対応の強化、小売法人向け商品供給や販売業務委託事業の強化、EC事業の強化などを推進している。

 14年7月にはラオックス<8202>と業務提携している。当社がラオックスに対して高級ブランド品(バッグ・財布など)を提供し、ラオックスが当社に対して高級時計を中心とした宝飾品を供給する。相互の効率的な商品供給体制を確立して販売増につなげる。ネット通販についてはストリーム<3071>と業務提携している。

 また訪日外国人旅行客のインバウンド需要への取り組みとして、15年6月から既存23店舗すべてで認可を取得して免税販売を開始した。

■第4四半期の構成比が高い収益構造

 前々期(15年2月20日期)の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(2月21日~5月20日)24億円、第2四半期(5月21日~8月20日)21億99百万円、第3四半期(8月21日~11月20日)20億74百万円、第4四半期(11月21日~2月20日)34億95百万円で、営業利益は第1四半期69百万円の赤字、第2四半期1億63百万円の赤字、第3四半期1億91百万円の赤字、第4四半期2億63百万円の赤字だった。

 消費増税の影響などで営業赤字だったが、クリスマス商戦などで第4四半期の売上構成比が高い収益構造である。

 また決算期(事業年度の末日)を毎年2月20日から毎年3月20日に変更したため、前期(16年3月20日期)は経過期間として変則の13ヶ月決算となった。

■16年3月20日期第3四半期累計は増収で赤字幅縮小

 前期(16年3月20日期、13ヶ月決算)第3四半期累計(2月21日~11月20日)の非連結業績は、売上高が前年同期比3.5%増の69億04百万円で、営業利益が2億62百万円の赤字(前年同期は4億23百万円の赤字)、経常利益が3億20百万円の赤字(同4億72百万円の赤字)、純利益が3億38百万円の赤字(同4億48百万円の赤字)だった。

 中・低価格帯の商材開発・投入、インバウンド向け免税店への商品供給、既存店舗における免税販売の強化、輸入総代理店となった韓国・中国のヒット商品「マスク・シート」の拡販などで増収となり、不採算店1店舗の閉鎖、売場面積圧縮による効率化を企図した1店舗の改装、さらに国内顧客向けメルマガや中国向けSNSによる販促など販管費のローコスト化が寄与して各利益とも赤字幅が縮小した。

 セグメント別に見ると、ファッション部門は売上高が同4.3%増の66億63百万円、営業利益(連結調整前)が52百万円(前年同期は51百万円の赤字)だった。賃貸部門は売上高が同1.7%増の1億24百万円で、営業利益が同12.6%増の38百万円、その他は外商部門における大型案件の一巡で売上高が同29.6%減の1億16百万円、営業利益が7百万円の赤字(前年同期は3百万円の黒字)だった。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(2月21日~5月20日)22億68百万円、第2四半期(5月21日~8月20日)25億26百万円、第3四半期(8月21日~11月20日)21億10百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円の赤字、第2四半期56百万円の赤字、第3四半期1億03百万円の赤字だった。

■16年3月20日期(決算期変更13ヶ月決算)は黒字化予想

 前期(16年3月20日期、決算期変更に伴い13ヶ月決算)通期の非連結業績予想(4月3日公表)は、売上高が124億円、営業利益が1億60百万円、経常利益が90百万円、純利益が60百万円としている。前々期(15年2月20日期、12ヶ月決算)は売上高が101億68百万円、営業利益が6億86百万円の赤字、経常利益が7億58百万円の赤字、純利益が8億55百万円の赤字だった。

 不採算1店舗の閉鎖、売場効率向上に向けた3店舗の減面改装、全店舗でのインバウンド免税対応、インバウンド需要対応の免税店小売法人への商品供給拡大、国内顧客向けメルマガや中国向けSNSによる販促推進による販促費ローコスト化効果などで各利益とも黒字化予想だ。なお配当予想は無配継続としている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は低水準だが、クリスマス商戦などで第4四半期の売上構成比が高い収益構造である。また今期は決算期変更で第4四半期(11月21日~3月20日)営業期間が4ヶ月となることも寄与する。収益改善基調だろう。また今期(17年3月20日期、12ヶ月決算)についても、新規出店も寄与して収益改善基調が期待される。

■決算期変更で株主優待の基準日変更

 なお決算期変更(事業年度の末日を毎年2月20日から毎年3月20日に変更)に伴って株主優待制度の基準日変更を発表している。変更後は毎年3月20日および9月20日現在で1000株以上所有株主に対して実施する。ただし前期(16年3月20日期)は経過期間として変則決算(13ヶ月決算)のため、前期に限っては9月20日ではなく8月20日とした。

 優待内容については変更なく、1000株以上所有株主に対して一律「株主ご優待券5%割引券」5枚、3000株以上所有株主に対して「1000株あたり500円のお買い物券+株式数に応じたお買い物券」を贈呈する。2年以上継続保有の株主に対しては「お買い物券」が上乗せされる(詳細は会社ホームページ等で確認)。

■株価は安値圏モミ合い展開だが下値固め完了感

 株価の動きを見ると、2月安値77円からの反発力がやや鈍く、安値圏の90円~100円近辺でモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げている。そして下値固め完了感を強めている。

 4月19日の終値92円を指標面で見ると、前期推定PER(会社予想のEPS4円23銭で算出)は21~22倍近辺、そして前々期実績PBR(前々期実績のBPS199円79銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約13億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。0.5倍近辺の低PBRも見直して反発のタイミングだろう。

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