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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】シンプロメンテは戻り歩調で2月高値を目指す、17年2月期も2桁増収増益・増配予想
- 2016/4/26 06:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
シンプロメンテ<6086>(東マ)は、飲食・小売チェーンなどを主要顧客として、店舗設備・機器メンテナンスサービスを展開している。16年2月期は受注の増加や業務効率化の進展で大幅増収増益・増配だった。そして17年2月期も2桁増収増益・増配予想である。株価は地合い悪化の影響を受けた4月の直近安値から切り返して戻り歩調だ。指標面に割高感はなく、好業績を評価して2月の年初来高値を目指す展開だろう。
■店舗設備・機器メンテナンスサービス
居酒屋や回転すしなど大手飲食・小売チェーンなどを主要顧客として、店舗における内外装および各種設備・機器(厨房機器、給排水・衛生設備、空調・給排気・ダクト設備、電機設備、照明機器、ガス設備、看板、自動ドア・ガラス・鍵・シャッターなど)の不具合を解決するメンテナンスサービスを提供している。
全国の店舗から24時間365日、修理・メンテナンスの依頼を受け付け、依頼の種類・地域・内容などに応じて、全国のメンテナンス協力業者(メンテキーパー)から適切な業者を選定・手配し、店舗の設備・機器等の不具合を解決する。
事業区分は、ワンストップメンテナンスサービス、およびメンテナンスアウトソーシングサービスとしている。
ワンストップメンテナンスサービスでは、各種設備・機器の突発的なトラブル発生時に対応する緊急メンテナンスサービスを主力として、各種設備・機器の点検・整備・洗浄・清掃を定期的に行う予防メンテナンスサービスも提供している。
メンテナンスアウトソーシングサービスでは、当社のメンテナンス体制を厨房機器メーカーにOEM的に提供することで、メーカーのメンテナンス業務のサポートを行っている。
■メンテナンス実績が評価されて売上高は順調に拡大
15年2月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)9億80百万円、第2四半期(6月~8月)12億66百万円、第3四半期(9月~11月)10億77百万円、第4四半期(12月~2月)9億84百万円で、営業利益は第1四半期12百万円、第2四半期59百万円、第3四半期14百万円、第4四半期19百万円だった。
また15年2月期の売上総利益率は20.9%で14年2月期比1.8ポイント低下、販管費比率は18.5%で同0.8ポイント上昇、ROEは8.7%で8.1ポイント低下、自己資本比率は52.2%で同2.0ポイント上昇した。配当性向は36.7%だった。
15年2月期は外注費などの原価上昇、新規顧客での早期シェア確保のための営業的な価格政策などで売上総利益率が低下し、将来の受注拡大を見据えた人員確保による販管費の増加などで大幅減益だった。しかしメンテナンス実績が評価されて売上高は順調に拡大している。そしてメンテキーパー網の再整備などで収益改善を進めている。
■16年2月期は大幅増収増益
4月13日に発表した前期(16年2月期)の非連結業績(3月23日に増額修正)は、売上高が前々期(15年2月期)比14.6%増の49億36百万円、営業利益が同2.0倍の2億11百万円、経常利益が同2.0倍の2億11百万円、純利益が同70.6%増の1億20百万円だった。
売上面では主力の緊急メンテナンスサービスが、既存顧客における取引アイテムやエリアの拡大、新規顧客獲得などで受注が順調に増加した。夏期の空調機器関連の受注増加も寄与した。セグメント別売上高は、緊急メンテナンスが同16.2%増の44億71百万円、予防メンテナンスが同10.2%増の3億84百万円、メンテナンスアウトソーシングが同27.6%減の80百万円だった。
利益面では増収効果に加えて、メンテナンス協力業者や部品仕入先の再編、業務効率向上も寄与した。売上総利益は20.5%増加し、売上総利益率は22.0%で同1.1ポイント上昇した。販管費は9.8%増加したが、販管費比率は17.7%で同0.8ポイント低下した。人員1人当たりの売上高は約6%増加、売上総利益は約12%増加した。特別利益では保険解約返戻金12百万円、特別損失では役員退職慰労金引当金繰入額35百万円を計上した。
配当予想は同10円増配の年間25円(期末一括)で配当性向は35.9%となる。配当については長期的かつ総合的な株主利益の向上を図り、持続的に配当を行うことを基本方針としている。なおROEは13.7%で同5.0ポイント上昇、自己資本比率は49.7%で同2.5ポイント低下した。
なお16年2月末時点で、顧客店舗数は全国合計で15年2月期末比1218店舗増加の2万6215店舗(外食業界が825店舗増加の1万9229店舗、物販・小売業界が93店舗増加の5932店舗、美容・介護業界が258店舗増加の986店舗、その他が42店舗増加の68店舗)となった。対応依頼件数は月平均6750件で同252件増加した。
メンテキーパー数(延べ企業数)は全国合計で312社増加の5054社(厨房機器関連が37社減少の685社、給排水関連が30社増加の882社、空調・ダクト関連が10社減少の638社、電気関連が59社増加の582社、ガス設備・開口部・外構・内外装・その他が270社増加の2267社)となった。
四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)11億12百万円、第2四半期(6月~8月)14億94百万円、第3四半期(9月~11月)12億47百万円、第4四半期(12月~2月)10億83百万円、営業利益は第1四半期46百万円、第2四半期95百万円、第3四半期51百万円、第4四半期19百万円だった。
■17年2月期も2桁増収増益予想
今期(17年2月期)通期の非連結業績予想(4月13日公表)については、売上高が前期(16年2月期)比11.4%増の55億円、営業利益が同18.5%増の2億50百万円、経常利益が同18.1%増の2億50百万円、そして純利益が同24.2%増の1億50百万円としている。
顧客満足度向上に向けて、サービス提供スピードを上げる業務プロセス再構築、メンテナンス道場を軸とした顧客サポートメニューの強化を推進するとともに、売上面では取り組みが限定的な既存顧客への修理・修繕業務のアウトソーシング化推進、新規顧客獲得に向けた継続的な営業活動、メンテナンスサービス提供の対象業界の拡大などに取り組む。
さらに利益率改善に向けて、メンテキーパーのさらなる整備と再編、人材教育プログラム導入による継続的な社員のスキル向上と業務効率向上、既存システムのパフォーマンスアップに向けた継続的な改善を推進する。なお売上総利益は同11.6%増の12億10百万円、売上総利益率は同横ばいの22.0%、販管費は同9.9%増の9億60百万円、販管費比率は同0.2ポイント低下の17.5%を想定している。配当予想は同5円増配の年間30円(期末一括)で予想配当性向は35.4%となる。
■株主優待制度は16年2月期から新設
株主優待制度についてはは16年2月期から新設した。毎年2月末現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として、100株以上300株未満保有株主に対して全国共通食事券「ジェフグルメカード」1000円相当分、300株以上保有株主に対して全国共通食事券「ジェフグルメカード」3000円相当分を贈呈する。
■アウトソーシング化の流れで中期成長期待
中期成長に向けた重点戦略としては、既存サービスの提供手法の多様化、他社との協業による新サービスの開発、メンテナンス研修を軸としたサポートメニューの強化も推進する。
ワンストップメンテナンスサービスでは、外食業界以外の物販・小売、理美容、教育、医療・介護、宿泊・娯楽などの業界にも新規顧客開拓を推進する。メンテナンスアウトソーシングサービスでは、サービスをOEM的に提供する企業の増加を目指すとともに、個人経営店舗向けの提供も視野に入れてシェア拡大を図る方針だ。
外食業界や小売業界などでは、店舗の老朽化や人手不足の深刻化、店舗の衛生環境改善や従業員の労働環境改善に対する意識の高まりも背景として、メンテナンス業務のアウトソーシング化が一段と進展することが予想される。新規サービス開発なども寄与して中期的に収益拡大が期待される。
■株価は調整一巡して2月の昨年来高値目指す
株価の動きを見ると、地合い悪化の影響を受けた4月6日の直近安値1023円から切り返して1200円台まで回復した。調整が一巡して戻り歩調だ。
4月25日の終値1260円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS84円71銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS527円31銭で算出)は2.4倍近辺である。時価総額は約22億円である。
週足チャートで見ると4月の直近安値圏で下ヒゲをつけて切り返し、13週移動平均線と26週移動平均線を回復した。調整が一巡して強基調に転換する動きだ。指標面に割高感はなく、好業績を評価して2月の年初来高値1548円を目指す展開だろう。