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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ソーバルは下値固め完了して戻り歩調、17年2月期増収増益・増配予想
- 2016/4/27 07:38
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソーバル<2186>(JQS)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開している。16年2月期は計画超の2桁増収増益だった。既存顧客向けが好調であり、新規顧客・新規分野の開拓も寄与して17年2月期増収増益・増配予想である。株価は下値固めが完了して戻り歩調である。3%台の予想配当利回りなど指標面の割安感も評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開
組み込みソフト開発、ウェブ/スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。技術力と経験豊富な人材を合わせ持つ国内有数の独立系組み込みソフト開発企業である。
M&Aも活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、人材の確保を推進している。12年9月にはオムロン<6645>向けを主力とするモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC、16年5月1日付で当社に吸収合併予定)を子会社化した。
15年5月には車載システム開発や生産ライン制御システム開発などに強みを持つアンドールシステムサポートを子会社化した。また同社の大阪支社を当社グループの関西圏進出の拠点と位置付けて積極的な事業展開を推進する。
一方で15年3月にはRFID事業をアートファイネックスに譲渡した。15年2月期にソフトバンク関連の機器置き換え特需が一段落したため、経営資源をエンジニアリング事業に集中する。
■優良な大口顧客と強固な信頼関係、新規顧客開拓も進展
優良な大口顧客を抱えていることも特徴である。16年2月期の主要顧客別売上構成比は、キヤノン<7751>グループ58.4%(15年2月期63.3%)、ソニー<6758>グループ10.8%(同11.9%)、富士通<6702>グループ9.8%(同8.5%)、NTT<9432>グループ3.1%(同)3.7%、その他17.9%(同12.6%)だった。
既存取引先との信頼関係を一層強固なものとしつつ、アンドールシステムサポートを子会社化したことも寄与して、継続的な新規顧客開拓も進展している。また今期(17年2月期)は日立グループとの取引を開始して、自動車業界への展開が期待される。
■15年2月期は本社移転費用が影響したが収益拡大基調
15年2月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億74百万円、第2四半期(6月~8月)16億86百万円、第3四半期(9月~11月)17億65百万円、第4四半期(12月~2月)16億95百万円、営業利益は第1四半期2億01百万円、第2四半期70百万円、第3四半期1億73百万円、第4四半期1億07百万円だった。
第2四半期の営業利益は本社移転費用計上という一時的要因も影響したが、収益は拡大基調である。15年2月期の売上総利益率は20.9%で14年2月期比0.5ポイント上昇、販管費比率は12.9%で同0.4ポイント上昇、ROEは13.5%で同0.5ポイント上昇、自己資本比率は70.8%で同6.0ポイント低下した。配当性向は40.1%だった。
■16年2月期は計画超の2桁増収増益
4月12日発表した前期(16年2月期)連結業績は、売上高が前々期(15年2月期)比11.5%増の77億17百万円、営業利益が同10.7%増の6億10百万円、経常利益が同10.8%増の6億21百万円、純利益が同17.5%増の3億91百万円だった。アンドールシステムサポートを子会社化したことも寄与して計画超の2桁増収増益だった。
積極的な営業活動による受託開発案件の受注拡大や新規顧客開拓、各プロジェクトにおける品質・納期・コスト管理の取り組み徹底、本社移転による作業効率化や各種ノウハウの共有化、新卒・若手エンジニアの育成と技術力底上げなどの施策を推進した。売上総利益は同11.8%増加し、売上総利益率は20.9%で同横ばい、販管費は同12.4%増加し、販管費比率は13.0%で同0.1ポイント上昇した。特別損失では前々期計上の厚生年金基金脱退損失38百万円が一巡した。
なおROEは14.9%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は72.5%で同1.7ポイント上昇した。配当予想は4月12日に期末1円増額修正して同8円増配の年間39円(第2四半期末19円、期末20円)とした。配当性向は41.8%である。利益配分については、将来可能性がある企業買収や設備投資、研究開発のための内部留保の充実を図りながら、安定的かつ継続的に増加させていくことを基本方針としている。
四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億69百万円、第2四半期(6月~8月)19億68百万円、第3四半期(9月~11月)19億63百万円、第4四半期(12月~2月)20億17百万円、営業利益は第1四半期1億79百万円、第2四半期1億53百万円、第3四半期1億56百万円、第4四半期1億22百万円だった。
■17年2月期増収増益・増配予想
今期(17年2月期)通期の連結業績予想(4月12日公表)は、売上高が前期(16年2月期)比3.7%増の80億円、営業利益が同1.6%増の6億20百万円、経常利益が同0.6%増の6億25百万円、そして純利益が同3.4%増の4億05百万円としている。配当予想は同3円増配の年間42円(第2四半期末21円、期末21円)で、予想配当性向は43.6%となる。
既存顧客との取引ボリューム維持・拡大、自動車・航空宇宙・医療関連など新たな業務分野への進出のための営業活動を一層強化する。受託案件の作業効率化、エンジニアの技術力アップとローテーションによる稼働最適化、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーの育成などの施策も積極推進する。期初時点では保守的な計画を示す傾向も強く、通期会社予想に増額余地があるだろう。
■受注環境良好、M&A戦略も寄与して収益拡大基調
製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。受注環境は中期的にも良好だ。
人材やパートナー企業の確保、販路拡大、多角的な収益構造の構築といった課題の解決に向けて、エンジニアのワーク・ライフ・バランスの充実、エンジニアの技術力向上、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーの育成、精度の高いプロジェクト管理、積極的なM&A戦略などの施策を推進している。中期的に収益拡大基調が期待される。
■株主優待制度は8月末に実施
株主優待制度については、毎年8月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株以上~500株未満保有株主に対して500円相当のQUOカード、500株以上保有株主に対して2000円相当のQUOカードを贈呈する。
■株価は下値固めが完了して戻り歩調
株価の動きを見ると、直近安値圏1050円~1100円近辺でのモミ合いから上放れの動きを強めている。下値固めが完了して戻り歩調だ。
4月26日の終値1154円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS96円35銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間42円で算出)は3.6%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS655円52銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約49億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。3%台の予想配当利回りなど指標面の割安感も評価して出直りの動きが本格化しそうだ。