【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペースは16年9月期第2四半期累計を大幅増額修正、通期も増額の可能性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インタースペース<2122>(東マ)はアフィリエイト型インターネット広告事業を主力としてメディア運営事業も展開している。27日に16年9月期第2四半期累計業績予想の大幅増額修正を発表した。通期予想は据え置いたが増額の可能性が高いだろう。アフィリエイト広告が好調に推移し、新サービス拡販やソーシャルゲーム縮小なども寄与する。株価は15年7月の戻り高値を突破して1000円台を回復した。好業績を評価して続伸展開だろう。なお5月10日に第2四半期累計の業績発表を予定している。

■アフィリエイト型インターネット広告事業とメディア運営事業を展開

 アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、メディア広告などのメディア運営事業も展開している。

 インターネット広告事業では、PC・スマホ向け成果報酬型広告(アフィリエイト)サービス「アクセストレード(AT)」を中心に展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗向け成果報酬型広告(アフィリエイト)サービス「ストアフロントアフィリエイト(SFA)」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。

 15年8月には、ネイティブ広告に対応したコンテンツディスカバリーネットワーク「X-lift(クロスリフト)」のサービス開始を発表した。掲載面のデータを独自アルゴリズムにより解析し、メディア内の関連記事やX-liftによる関連広告を表示させることが可能になる。

 メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」運営、女性向け恋愛ゲームなどのソーシャルアプリ、コンテンツなどを展開している。

 ママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」の月間利用者数は、15年5月に300万人を突破、15年10月に400万人を突破、そして16年2月に500万人を突破した。ママ達が情報交換するコミュニケーション掲示板を主なコンテンツとして、育児の相談、話題のニュース、社会問題などについて、ママ達同士で活発な意見交換が日夜行われている。

■アライアンス戦略を積極展開

 中期成長に向けてアライアンス戦略を積極推進している。13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキ社と戦略的業務提携、13年11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギー社と資本業務提携、13年12月中国の子会社ISUCが中国最大のアフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)社と業務提携した。

 また14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営サイファ社に出資、14年7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズ社と業務提携、14年8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダー社と資本提携、14年12月子会社more gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで業務提携した。

 15年5月にはアイモバイルのふるさと納税専門サイト「ふるなび」と連携し、アドウェイズ<2489>と共同で日本発ふるさと納税アフィリエイトサービス「ふるなび」を開始した。

■海外展開も加速

 海外では14年11月インドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と業務提携、14年12月ベトナム最大級のモバイル広告ネットワークを提供するMWORK社の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。

 15年5月にはベトナムにMWORK社との合弁会社インタースペースベトナム(当社出資比率49%)を設立した。インターネット市場の成長が加速するベトナムでインターネット広告サービスを展開する。

 15年7月にはインドネシア子会社が、インドネシアで最も人気のあるニュースポータルサイト「viva.co.id」を運営するPT Viva Media Baruと独占業務提携した。

 16年1月にはインドネシア子会社が、企業が保有する商品データを配信先(アフィリエイトASP、価格比較サイト、リターゲティング広告など)の各種フォーマットにあわせて作成・自動変換するデータフィード最適化サービス「SimpleDateFeed」を、カカクコム<2371>が展開する東南アジア最大級の購買支援サイト「Priceprice.com-Indonesia」に提供開始した。

 16年2月にはシンガポール現地法人が営業開始した。成長著しい東南アジアのインターネット市場において、インターネット広告サービスならびにアドネットワーク事業展開の重要拠点とする。

 16年3月にはベトナム合弁会社インタースペースベトナムが、ベトナムのオンラインマーケティングの企業として初めてベトナムEコマース協会(VECOM)の正式メンバーとして選ばれた。インタースペースベトナムは15年5月サービス開始後、順調に事業が拡大し、16年3月現在アフィリエイトプラットフォーム企業としては最大の約2万を超える媒体ネットワークを構築し、Eコマース、金融、人材、教育など多岐にわたる広告主にサービスを提供している。

■15年9月期は大幅減益だったが四半期ベースで営業損益改善基調

 15年9月期の連結業績は14年9月期比19.5%増収、同55.4%営業減益、同56.2%経常減益、同21.6%最終減益だった。アフィリエイト広告の好調が牽引して大幅増収だったが、人件費の増加、パートナー支援に向けた広告宣伝費の増加、ゲーム事業の不調などで大幅減益だった。純利益については子会社売却に伴う税効果会計の適用で税負担が減少した。

 売上総利益率は17.0%で同2.7ポイント低下、販管費比率は15.2%で同0.1ポイント上昇、ROEは10.5%で同4.4ポイント低下、自己資本比率は47.6%で同1.5ポイント低下した。なお配当は14年9月期と同額の年間8円(期末一括)で配当性向は17.9%だった。

 インターネット広告事業は売上高が同25.2%増の193億71百万円、営業利益が同45.9%減の4億41百万円、メディア運営事業は売上高が同47.2%減の6億93百万円、営業利益が92百万円の赤字(前年同期は34百万円の赤字)だった。

 15年9月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)42億53百万円、第2四半期(1月~3月)48億53百万円、第3四半期(4月~6月)51億71百万円、第4四半期(7月~9月)57億88百万円、営業利益は第1四半期20百万円、第2四半期91百万円、第3四半期82百万円、第4四半期1億55百万円だった。通期ベースでは大幅減益だったが、四半期ベースでは増収効果やメディア運営事業のコスト減少などで営業損益改善基調だ。

■16年9月期第1四半期は大幅増収増益

 今期(16年9月期)第1四半期(10月~12月)連結業績は、売上高が前年同期比26.4%増の53億76百万円、営業利益が同8.9倍の1億84百万円、経常利益が同7.2倍の1億89百万円、純利益が1億24百万円(前年同期は22百万円の赤字)だった。アフィリエイト広告の好調推移、ゲーム子会社売却によるメディア事業の黒字化などで大幅増収増益だった。

 売上総利益は同31.4%増加し、売上総利益率は17.9%で同0.7ポイント上昇した。1人当たり生産性向上などで広告事業の利益率が改善傾向であり、メディア事業におけるゲーム子会社売却も寄与した。販管費は同9.2%増加したが、販管費比率は14.4%で同2.3ポイント低下した。今期は人員採用を抑えて育成に注力し、1人当たり売上・利益の改善に取り組んでいる。

 インターネット広告事業は売上高が同28.9%増の52億23百万円、営業利益が同3.3倍の1億80百万円だった。売上高の内訳はAT(アクセストレード)が同31.8%増の39億51百万円、SFA(ストアフロントアフィリエウト)が同47.9%増の10億66百万円、その他が同35.2%減の2億06百万円だった。アフィリエイト広告のサービスやEコマース分野が好調だった。ネイティブ広告に対応した新サービスのコンテンツディスカバリーネットワーク「X-lift」は大手メディアとの連携開拓に注力し、1月から順次販売を開始している。ストアフロントアフィリエイトは店舗シェアが回復し、月額高額コンテンツ(音楽系)の販売が大幅に増加した。

 メディア運営事業は売上高が同23.4%減の1億54百万円、営業利益が4百万円(前年同期は33百万円の赤字)だった。ゲーム子会社を売却して収益が改善した。ママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」は15年12月の月間ユニークユーザー数が440万人と堅調に推移した。インターネット広告事業との連携を一段と強化している。

■16年9月期第2四半期累計を大幅増額修正

 4月27日に今期(16年9月期)第2四半期累計(10月~3月)連結業績予想の増額修正を発表した。アフィリエイトサービスにおいてeコマースやサービス分野が好調に推移した。店舗向けアフィリエイトサービスでは稼働店舗数が増加した。またメディア運営事業ではママスタジアムの利用ユーザー数が堅調に推移した。

 前回予想(11月10日公表)に対して売上高を4億68百万円、営業利益を1億46百万円、経常利益を1億43百万円、純利益を99百万円増額し、修正後の予想を売上高が前年同期比21.7%増の110億77百万円、営業利益が同3.7倍の4億12百万円、経常利益が同3.5倍の4億09百万円、純利益が同242倍の2億42百万円とした。

■16年9月期は大幅営業増益予想で増額の可能性

 今期(16年9月期)通期の連結業績予想(11月10日公表)は、売上高が前期(15年9月期)比8.8%増の218億26百万円、営業利益が同72.2%増の6億円、経常利益が同73.1%増の6億円、純利益が同8.3%増の3億28百万円としている。配当予想は前期と同額の年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は16.6%となる。

 事業別営業利益の計画は、インターネット広告事業が8億30百万円(前期は5億93百万円)、メディア運営事業が10百万円(同1億円の赤字)、そして海外事業が2億40百万円の赤字(同2億50百万円の赤字)としている。

 税負担正常化で純利益の伸び率は小幅にとどまるが、インターネット広告事業において主力のアフィリエイト広告が引き続き好調に推移する。ネイティブアドに対応したコンテンツディスカバリーネットワーク「X-lift(クロスリフト)」など新サービス拡販による利益率改善、人件費増加の抑制、メディア運営事業におけるソーシャルゲーム縮小および子会社more games株式売却による収益改善、低コストで広告収益効果が期待できるキュレーションメディアのリリースなども寄与して全体収益が大幅に改善する見込みだ。

 通期会社予想に対する修正後の第2四半期累計の進捗率は売上高50.8%、営業利益68.7%、経常利益68.2%、純利益73.8%と高水準である。通期会社予想を据え置いたが、通期も増額の可能性が高いだろう。

■中期目標で営業利益15億円目指す

 中期経営目標数値として売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としては、インターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業ではメディア広告の強化と収益性向上、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針を掲げている。

 なお15年9月にメディア運営事業の子会社more gamesの株式を売却した。ソーシャルメディア事業を取り巻く事業環境が厳しいため、同社の一部事業を当社へ譲り受けた後、同社と協業事業を行っているアルファストリームに当社が保有する全株式を譲渡した。メディア運営事業は利益貢献が高いメディア広告に体制変更を進め、投資バランスを見直してアフィリエイト事業を中心に収益改善を図る。

■株価は15年7月の戻り高値を突破して1000円台回復

 株価の動きを見ると、15年7月の戻り高値990円を突破して1000円台を回復した。好業績を評価する動きだろう。

 4月27日の終値985円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円36銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS445円51銭で算出)は2.2倍近辺である。時価総額は約69億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調だ。好業績を評価して続伸展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る