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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トレジャー・ファクトリーは調整一巡して出直り、17年2月期増収営業増益予想
- 2016/4/28 07:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップをチェーン展開している。新業態開発や買い取り強化に向けたアライアンス戦略を積極推進し、タイに合弁で現地法人を設立して海外展開も開始する。16年2月期は計画超の2桁増収増益だった。17年2月期は特別利益が一巡して最終減益だが、増収営業増益・増配予想である。株価は直近安値圏でモミ合う展開だが、中期成長シナリオに変化はなく、調整が一巡して出直り展開だろう。
なお、4月27日に本社を千代田区に移転することと、16年2月期期末配当を7円50銭とし中間配当5円50銭を合わせ年間配当13円とすることも発表した。
■リユースショップを首都圏中心にチェーン展開、関西へもドミナント出店
首都圏を中心として、総合リユース業態「トレジャー・ファクトリー」や服飾専門リユース業態「トレファクスタイル」などのリユースショップを直営店中心にチェーン展開している。
16年2月期末時点の店舗数は8都府県に、直営総合業態「トレジャー・ファクトリー」54店舗、直営服飾業態「トレファクスタイル」27店舗、古着アウトレット業態「ユーズレット」2店舗、スポーツ・アウトドア業態「トレファクスポーツ」2店舗、事業譲り受けた「ブランドコレクト」業態2店舗、およびFC総合業態「トレジャー・ファクトリー」4店舗の合計91店舗である。
中期成長戦略として、既存店強化(店舗移転・リニューアルによる収益力改善、一般買い取り強化による既存店の売上総利益率改善)、多店舗展開(複数の業態を組み合わせて年間10店舗強の新規出店、および関西地域でのドミナント出店)、新業態展開、EC事業強化(宅配買い取りの強化、および自社サイトや楽天サイトなどでの販売強化)を推進している。
関西地域でのドミナント出店については、13年5月に総合業態の関西1号店・神戸新長田店、15年2月には服飾業態の関西旗艦店となるアメリカ村店(大阪市中央区)、15年11月には総合リユース業態・松原店(大阪府松原市)をオープンし、16年2月期末の関西圏の店舗数は合計7店舗となった。
■新業態の開発・出店やEC事業も積極化
新業態では、古着アウトレット専門業態「ユーズレット」1号店の久喜市・久喜店を13年11月、スポーツ・アウトドア用品専門業態「トレファクスポーツ」1号店の横浜市・青葉台店を14年9月にオープンした。また16年1月には新しいコンセプトの店づくりとして服飾業態「トレファクスタイル」で最大の調布市・調布国領店をオープンした。
ネット通販は13年4月に楽天市場へ出店した。また新規事業として10年10月からブランドバッグ&ファッションのオンラインレンタルサービス「Cariru」を運営している。
また14年10月には、ファーストザウェーブ社の「ブランドコレクト」事業(ウェブサイト、フルフィルメントセンター1拠点、ブランドコレクト原宿店)を譲り受けた。そして15年1月原宿2号店をオープンした。ネットでの事業展開を加速するとともに、ハイブランド・高価格帯のブランド古着に特化した都心型店舗の新業態としてファッションカテゴリーを強化する。
15年8月には「ブランドコレクト」が、サイバーエージェント<4751>の運営する国内最大級のユーズドショッププラットフォーム「Ameba古着屋」に出店した。
■アライアンスも活用して出張買い取りサービスを強化
アライアンスも積極活用して出張買い取りサービスを強化している。15年2月に不動産賃貸仲介大手のハウスコム<3275>、8月にミニミニ(東京都)、16年3月に不動産事業を全国展開するハウスドゥ<3457>と業務提携した。
15年6月には、大規模マンションの管理組合を対象にした新サービス「リユースコンシェルジュ for mansion」を開始した。マンション専用リユース品の定期回収システム「シールdeリユース」、特定の日に自宅へ訪問する「不用品買い取りフェア」、高価格アイテム専用の出張査定「ブランドアイテム専用出張査定サービス」を組み合わせたサービスである。
15年9月には、引越と不用品買い取りの一括対応サービス「トレファク引越」について、オフィス移転にも対応し、対象エリアも関東・関西・九州エリアに東海エリアが加わると発表した。
なお15年9月には、東京都内のタワーマンションを中心に進めているマンション専用リユース品の定期回収システム「シールdeリユース」が、2015年度グッドデザイン賞を受賞したと発表している。住民は専用シールを貼って指定の置き場に出すだけで無料かつ複雑な手続きなく、気軽に不用品を再流通させることができる。
16年1月には、新サービス「リユースコンシェルジュ for mansion」を、東京都江東区の大規模タワーマンションSKYZ TOWER&GARDENに導入した。
引越と不用品買い取りの一括対応「トレファク引越」は提携引越会社数が10社を超え、対応エリアも関東・関西から九州・中部・東北へと広がっている。今後も提携引越会社数を随時増やすとともに、全国へ規模拡大を目指す方針だ。そして提携引越会社300社体制の構築を目指すとしている。なお16年3月、キタザワ引越センターに対して、営業(競合行為)禁止差止請求訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表している。
4月4日にはスポーツ・アウトドア用品専門の買い取りサイトにおけるネット事前査定買い取りサービス、4月12日には総合リユースショップの買い取りサイトにおける家電・家具・小物雑貨などのネット事前査定買い取りサービスの開始を発表している。
■タイに現地法人設立して海外展開開始
16年3月には、タイに合弁で現地法人(出資比率は当社約49%、現地コンサルティング会社3社合計51%)を設立すると発表した。消費市場が成長しているタイにおいてリユースビジネスを展開する。
■第1四半期と第3四半期の売上総利益率が高い季節要因
15年2月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)25億82百万円、第2四半期(6月~8月)23億36百万円、第3四半期(9月~11月)28億85百万円、第4四半期(12月~1月)28億79百万円、営業利益は第1四半期3億51百万円、第2四半期77百万円、第3四半期3億43百万円、第4四半期1億84百万円だった。
既存店の売上総利益率は第1四半期66.8%、第2四半期65.9%、第3四半期66.5%、第4四半期63.4%だった。第1四半期と第3四半期は、引越シーズンなどで利益率の高い家電製品や家具の構成比が高まるため、売上総利益率が高くなるという季節要因があるようだ。また15年2月期のROEは21.0%で14年2月期比2.4ポイント上昇、自己資本比率は58.5%で同0.3ポイント上昇した。配当性向は17.7%だった。
■16年2月期は計画超の2桁増収増益
4月13日発表した前期(16年2月期)の連結業績は、売上高が前々期(15年2月期)比14.3%増の122億16百万円、営業利益が同13.2%増の10億86百万円、経常利益が同15.3%増の11億14百万円、純利益が同42.0増の8億04百万円だった。既存店売上が好調に推移し、計画を上回る2桁増収増益だった。純利益は特別利益計上も寄与した。
売上面では新規出店(9店舗)の効果に加えて、既存店売上高が同5.2%増収と好調に推移し、既存店1件当たり販売単価の上昇(175円上昇の3364円)も寄与した。直営事業の商品別売上高は、主力の衣料が同13.2%増、服飾雑貨が同14.3%増、電化製品が同16.1%増となり、生活雑貨が同13.0%増、家具が同12.8%増、ホビー用品が同17.3%増と全カテゴリーが好調だった。インターネット経由の販売は同53.4%増加した。
新規出店は合計9店舗で、16年2月期末時点の店舗数は直営総合業態「トレジャー・ファクトリー」54店舗、直営服飾業態「トレファクスタイル」27店舗、古着アウトレット業態「ユーズレット」2店舗、スポーツ・アウトドア業態「トレファクスポーツ」2店舗、事業譲り受けた「ブランドコレクト」業態2店舗、およびFC総合業態「トレジャー・ファクトリー」4店舗の合計91店舗となった。
また商品仕入高は同16.7%増加した。経路別の仕入実績の構成比は、一般買い取りが76.8%(前々期74.3%)で、新品・中古品取扱業者等が23.2%(同25.7%)だった。既存店の買い取りは同9.1%増加した。インターネット経由で申し込みを受けて全国から買い取りを行う宅配買い取りは同75.8%増加した。
利益面では、人件費や賃借料が増加し、移転リニューアル3店舗の一時費用も発生したが、増収効果で吸収した。差引売上総利益は同13.0%増加した。差引売上総利益率は64.6%で同0.8ポイント低下した。販管費は同13.0%増加したが、販管費比率は55.8%で同0.6ポイント低下した。営業外費用では前々期計上の上場関連費用16百万円が一巡した。特別利益にはフルフィルメントセンターの移転に伴う受取補償金1億34百万円を計上した。
既存店の売上総利益率は65.3%で同1.2ポイント低下した。出張買い取りの配送の外部委託を本格化したため、配送費用(仕入副費として売上原価に算入)が増加した。ただし配送の外部委託によって出張買い取りを安定的にこなす体制が整ったため、家電や家具の買い取り・販売増加に繋がっている。
配当(2月10日に増額修正)は年間13円(第2四半期末5円50銭、期末7円50銭)とした。15年6月1日付の株式2分割を考慮して15年2月期の年間18円を年間9円に換算すると実質的に4円増配となる。配当性向は18.0%となる。なお16年2月期から中間配当を開始した。ROEは25.2%で同4.2ポイント上昇、自己資本比率は61.3%で同2.8ポイント上昇した。
四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)30億11百万円、第2四半期(6月~8月)27億08百万円、第3四半期(9月~11月)32億75百万円、第4四半期(12月~2月)32億22百万円、営業利益は第1四半期3億95百万円、第2四半期37百万円、第3四半期4億10百万円、第4四半期2億44百万円だった。既存店の売上総利益率は第1四半期66.0%、第2四半期64.2%、第3四半期65.6%、第4四半期63.2%だった。低下傾向だった既存店の売上総利益率は第4四半期に前年同期並みに改善した。
■17年2月期増収営業増益・増配予想
今期(17年2月期)通期の非連結業績予想(4月13日公表)は、売上高が前期(16年2月期)比8.7%増の132億81百万円、営業利益が同4.7%増の11億37百万円、経常利益が同4.8%増の11億68百万円、そして純利益が同10.0%減の7億24百万円としている。
特別利益が一巡して純利益は減益だが、既存店売上が堅調に推移し、16年7月予定の本社移転費用なども吸収して増収・営業増益予想である。既存店は前期並みの増収率(5.2%増)と売上総利益率(65.3%)の達成を目指している。新規出店は12店舗前後の計画で、名古屋や福岡など新規エリアへの出店も目指すようだ。配当予想は同3円増配の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)で予想配当性向は24.5%となる。配当性向は25%を当面の目標としている。
■16年3月の既存店売上は4ヶ月ぶりに前年比マイナス
なお月次売上(直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、16年3月は全店106.1%、既存店98.3%だった。既存店売上は4ヶ月ぶりに前年比マイナスだった。前年好調に推移したAV家電が前年を下回った。新規出店は0店舗だった。
■中期成長シナリオに変化なし
リユース市場は拡大基調であり、中期成長に向けて国内主要都市への新規出店や業態の多様化を加速させる方針だ。首都圏や関西圏を中心に年間10店舗強の新規出店で100店舗体制構築を当面の目標としている。
中期経営目標としては、2桁増収ペース継続と売上高経常利益率10%の実現を当面の目標としている。知名度上昇、国内主要都市への出店加速、新業態開発、大口仕入や出張買い取りの強化、ネット事業の強化などによる中期成長シナリオに変化はないだろう。
■株主優待制度は毎年2月末に実施、16年2月期は抽選券の当選本数増加
株主優待制度は毎年2月28日時点の1単元(100株)以上保有株主に対して「トレジャーチケット」を贈呈している。「トレジャーチケット」の内容は「トレジャー・ファクトリーオリジナルクオカード1000円分」、プレゼント抽選券「トレジャーロト」、および当社の店舗および宅配買い取りサービスで利用できる「買い取り金額アップクーポン」をセットにしている。
16年2月期の株主優待プレゼント抽選券「トレジャーロト」の賞品は、1等がJCBギフトカード3万円分を抽選で5名、2等が食事券ジェフグルメカード1万円分を抽選で20名、3等がクオ・カード2000円分を抽選で100名に贈呈するとした。16年2月期の当選本数の合計は125本で、15年2月期の50本に対して75本増加した。
■株価は直近安値圏モミ合いだが、調整一巡して出直り
株価の動きを見ると、直近安値圏1100円台でモミ合う展開だ。17年2月期増収営業増益・増配予想に対する反応も限定的のようだ。ただし大きく下押す動きは見られず、モミ合い煮詰まり感も強めている。
4月27日の終値1107円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS65円37銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS310円81銭で算出)は3.6倍近辺である。時価総額は約124億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、26週移動平均線が下向きから横向きに転じてきた。中期成長シナリオに変化はなく、調整が一巡して出直り展開だろう。