【編集長の視点】富士ソフトサービスビューロは最安値水準から小反発、V字回復業績を見直し割安直近IPO株買いが再燃
- 2016/4/28 09:49
- 編集長の視点
富士ソフトサービスビューロ<6188>(JQS)は、1円高の741円と3日ぶりに小反発して始まり、今年4月8日につけた上場来安値730円に並ぶ安値水準から底上げを窺っている。同社株は、今年3月15日に公開価格890円で新規株式公開(IPO)されたばかりで、株価は、公開価格を下回って推移してきたが、目下集計中で今年5月10日に発表予定のIPO後初決算となる2016年3月期業績がV字回復すると見込まれていることを見直し評価不足として直近IPO株買いが再燃している。既上場の類似会社に比較して割り負けていることも、下値買い要因となっている。
■年金基金や臨時福祉給付金などの問い合わせ業務を受注し継続案件も順調に推移
目下集計中の2016年3月期業績は、IPO時に売り上げが、77億9000万円(前期比1.3%増)と続伸し、経常利益が、2億5100万円(同45.7%増)、純利益が1億4300万円(同52.7%増)とそれぞれ増益転換が予想され、配当も20円と予定されていた。同社は、顧客の相談窓口などを受託するコールセンターサービス、企業や官公庁の業務処理を外部受託するBPOサービス、Webサイトや社内ネットワークなどを構築するその他サービスを展開しているが、コールセンターサービスでは、継続案件が順調に推移しているほか、民間向けでは民間厚生年金基金解散に係わる問い合わせ業務、官公庁向けで臨時福祉給付金の問い合わせ業務などをそれぞれ受注し、BPOサービスでは、官公庁向けの事務センター業務やデータ入力業務などが順調に推移し、民間向けも証券関連BPO業務の新規受注やデータ入力業務の取引量が拡大し、原価低減、経費削減に取り組んでいることなどが寄与する。
事業環境も、企業向けBPOサービスでは企業による業務改革や効率化、コスト競争力強化のためにアウトソーシング利用が拡大し、官公庁向けでは市区町村などからのマイナンバー関連業務の引き合いが増加するなど順調であり、続く今2017年3月期業績の続伸も期待され、ゴールデン・ウイーク明けの5月10日に予定されている決算発表での開示が要注目となってくる。
■PERは9倍台と割安で「小さく産んで大きく育てる」投資チャンスを示唆
株価は、公開価格890円を120円、13%超上回る1010円で初値をつけ上場来高値1170円まで上値を伸ばし、880円と下ぶれたが、期末の配当権利取りで930円と買い直された。配当権利落ち後は、全般相場の記録的な続落も波及して上場来安値730円まで調整し、底固めを続けてきた。PERは9倍台、PBRは1.18倍と既上場のコールセンター株に比べて割り負けており、IPO株の投資セオリー通りに「小さく産んで大きく育てる」チャンスを示唆している。公開価格回復で弾みをつけ初値抜け、最高値奪回と上昇トレンドを鮮明化しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)