【どう見るこの株】トヨタ自動車の決算と株価・ナンピン買いはできるか

■トヨタの17年3月期は4割減益、株価もアベノミクス高値から4割下げ、政府の景気対策による円安見込めばナンピン買いも可能

 トヨタ自動車<7203>(東1・100株)は、11日15時に3月期決算を発表した。2016年3月期は3.8%の営業増益だったが15年3月期の20.0%増益から伸び率が大きくダウン。さらに、17年3月期は40.4%の営業減益見通し。株価も昨年5月のアベノミクス高値(8783円)から4割の下げ。株価の行方とナンピン買いの可否を探った。

<Q>トヨタ自動車が決算を発表した。2017年3月期はかなりの減益見通しだが、株価には織込んでいるか。

<A>先ず、決算内容だが、2016年3月期は4.3%増収、3.8%営業増益、EPS741.3円(前期688.0円)、配当は10円増配の年210円という内容。15年3月期の20.0%営業増益からみると利益の伸びは大きく鈍化したが全体としては堅調だったといえる。しかし、17年3月期は先進国での車需要は安定推移が見込まれるが、新興国での落ち込みが懸念されることから売上6.7%減の26兆5000億円、営業利益40.4%減の1兆7000億円、EPS490.5円と減収減益の見通し。為替は通期平均で1ドル105円、1ユーロ=120円と想定している。決算は11日15時の発表で11日の株価43円安の5634円は短期的にはまだ十分に織込まれていないように思われる。

<Q>中長期的視点での織り込みはどうか。

<A>17年3月期の減益予想は、既に、昨年秋頃から言われていた。株価でも15年6月の高値8783円から今年4月の5256円まで3527円、下落率で40.1%下げている。今期の減益率40%と、株価の高値からの40%下げと一致していることでも今期減益はかなり織り込んでいるとみられる。もちろん、全般相場が大きく下げればトヨタも今の位置を維持することは難しくなるが。

<Q>実は、8500円の買いで1000株保有している。ナンピン買い(平均買いコストを下げるための買い増し)を考えているが、どの水準で実行したらよいか。

<A>月足チャートでは、下値のフシは14年6月の5205円。このあたりをナンピン買いの目安にすればよいだろう。仮に、5200円で同じ株数1000株を買えば、平均買いコストは6850円となる。この夏、政府の追加量的緩和や財政出動などの景気対策で円安が進むようなら7000円前後まで戻す可能性はあるだろう。その水準で全株手放せば若干でも儲けが出る。もちろん、為替が逆に100円へ向けて円高が進めばナンピン買いは失敗となる可能性はある。やはり、政府の景気対策にかかっているといえる。

<Q>原油価格との関係はどうみておけばよいか。

<A>原油相場の下落はガソリン価格の下落につながるから自動車販売にはプラス。今年2月に26ドル台まで下げていた原油相場はこのところ46ドルていどまで上昇している。さらに、一段高となるようならマイナス材料となるだろう。一方、原油価格が上がれば、水素燃料電池車の普及が期待されるが、水素のテーマで株価がどのていど押し上げられるかは未知数だ。ガソリン車の国内需要は停滞だが、東日本及び九州復興に絡んだ需要が出てくる可能性はあるだろう。

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