【株式評論家の視点】科研製薬の16年3月期は7割増益、今期減益見通しも利益高水準、年150円配当に魅力、押し目買い
- 2016/5/13 09:36
- 株式評論家の視点
科研製薬<4521>(東1)は、医薬品、医薬部外品、医療機器、動物用医薬品、農業薬品、飼料添加物の製造販売及び不動産の賃貸を行っている。主力の医薬品では、関節機能改善剤「アルツ」をはじめ、爪白癬治療剤「クレナフィン」、高脂血症治療剤「リピディル」、創傷治癒促進剤「フィブラストスプレー」、後発医薬品。医療機器では、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」の製造販売を行っている。
5月12日午後1時30分に発表した前2016年3月期業績実績は、売上高が1097億3000万円(前の期比16.9%増)、営業利益が351億4600万円(同70.4%増)、経常利益が353億6500万円(同73.4%増)、純利益が211億4300万円(同74.4%増)に着地。
今17年3月期業績予想は、売上高が1061億円(前期比3.3%減)、営業利益が289億円(同17.8%減)、経常利益が291億円(同17.7%減)、純利益が208億円(同1.6%減)を見込んでいる。配当は150円(第2四半期末75円、期末75円)と実質増配(昨年10月末に株式併合を実施済み)を予定している。
前期は、医薬品・医療機器では、「クレナフィン」が順調に売上を伸ばしたほか、関節機能改善剤「アルツ」、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」や後発医薬品も伸長、また、爪白癬治療剤「クレナフィン」の海外導出先からの収入も増加したことなどが寄与し最高益を更新したが、今期は、「クレナフィン」「セプラフィルム」の売上は引き続き伸長するものの、薬価改定の影響を吸収するまでには至らず、減収減益を見込んでいる。
株価は、1月4日の年初来高値8330円から5月6日に年初来の安値5700円と調整。同社は経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を行うため、60万株(自己株式を除く発行済み株式の1.4%)・35億円を上限に自社株買いを5月13日から12月29日まで実施すると発表。今期は減収減益を見込むが、今期予想PER11倍台と割安感があり、配当利回り2.5%と利回り妙味もソコソコある水準に加え、自社株買いが需給面で下支え底値固めに入ると予想する。多汗症薬が臨床1相開始。折に触れ材料の発表も期待されることから、ここから下押す場面があれば、待ち伏せ狙いで買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)