【編集長の視点】ラクト・ジャパンは株主優待制度の権利取りを1Q好決算がサポートして続伸

編集長の視点

 ラクト・ジャパン<3139>(東2)は、5円高の1275円と続伸して始まり、今年2月12日につけた上場来安値971円からの底上げ幅を拡大させている。今年5月26日の権利付き最終日を控え、同社の株主優待制度の権利を取る買い物が増勢となっている。また、今年4月12日に発表した今11月期第1四半期(1Q)業績が、四半期決算は初作成となるため前年同期との比較はないものの、今期第2四半期(2Q)累計業績に対して順調な利益進捗率を示したことも再評価されサポート材料となって割安修正期待も高めている。

■今期配当の増配と株主優待制度との相乗で実質利回りは3.2%にアップ

 同社の株主優待制度は、今年2月に初導入が発表され、5月31日を基準日に1単元(100株)以上を保有している株主にQUOカード1000円相当分を贈呈する。同社は、今期配当を31円(前期実績30円)へ増配を予定し株主還元策には積極的だが、配当は期末一本となっており、優待制度は、同社株式を中長期に保有してもらうために同社株式の魅力を高めるために実施する。株主優待制度と増配で、実質利回りは3.21%と市場平均を大きく上回る。

 一方、今期1Q業績は、売り上げ223億1500万円、経常利益2億6700万円、純利益1億5800万円で着地した。前年同期対比はないものの、利益は、2Q累計予想業績に対して59~56%と目安を上回る順調な進捗率を示した。目覚しい経済成長を続けるアセアン地域で乳製品の消費が拡大、生産能力を増強している同社のタイ工場などの稼働率が向上しアジア事業が続伸していることなどが要因となった。

 同社の今期業績は、2Q累計業績、11月通期業績とも伸び悩みを予想している。乳原料・チーズ部門では、ロシアへの禁輸継続などから国際乳原料価格が軟調に推移して単価が下落し、食肉加工品部門でも、国内豚肉市況の回復の遅れで販売数量は増加するものの単価が下落すると慎重に見込んでいるもので、今11月期通期業績は、売り上げ851億4000万円(前期比13.1%減)、経常利益10億8000万円(同19.6%減)、純利益7億円(同15.8%減)と予想している。ただ1Q好決算から上ぶれ期待も高まるもので、中期経営計画で目指している来2017年11月期の売り上げ920億円、経常利益14億円の達成も確実になる。

■25日線を下値支持線にPER7倍台、PBR0.5倍の割安修正に弾み

 株価は、昨年8月に公開価格1400円で新規株式公開(IPO)され、昨年10月のTPP(環太平洋経済連携協定)合意で上場来高値1713円をつけたが、その後は公開価格を下限にレンジ相場が続き、今期業績の減収減益予想で上場来安値971円へ調整した。同安値からは、株主優待制度導入をテコに上昇転換した25日移動平均線に支えられて下値を切上げてきた。PERは8倍台、PBRは0.5倍となお評価不足であり、公開価格抜けから上場来高値奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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