【今日の言葉】日米両国の引上げという難題

 『日米両国の引上げという難題』=日米両国とも、「引上げ」という悩ましい難題を抱えている。アメリカは「追加利上げ」、日本は「追加の消費税引上げ」。内容は異なるが、共に、景気に対しマイナスに作用することだけに両国とも引上げに躊躇している。アメリカは、4月時点での追加利上げを見送ったが、6月についても利上げは難しそうであるし、日本についても、どうやら来年4月実施予定の消費税10%への引上げを断念したようである。

 足元の景気はまだ堅調が続いているアメリカだが、先頃発表された4月の雇用増は16万人増に留まり、景気の先行きに楽観のできない状況。中国、新興国の先行きにも楽観できない状況だ。日本の景気はアメリカとは対照的にGDPの減少など芳しくない状況が続いている。そこへ、今回の熊本大地震で好調だったインバウンドにも陰りがみられ景気下押し懸念となっている。こういう状況下で消費税引上げは困難だろうし、仮に、実施すれば夏の選挙に影響が予想される。消費税引上げは延期というのは妥当だろう。引上げ延期は国際公約に反することになるが、大災害発生ということで言い訳としては十分通用するだろう。ただ、財政再建が遅れることから外国人投資家が日本株を売ってくる可能性は否定できないだろう。

 アメリカの追加利上げ問題は6月まで待つことになるが、日本の消費税引上げ問題と景気テコ入れは急いで決定しなくてはならない。まもなく、今年1~3月のGDP発表、伊勢志摩サミット、参議院選挙、九州の復旧・復興などを考えるとマイナス金利の効果が出るまで待っている余裕はなさそうだ。とくに、サミット後には、日本の経常収支大幅黒字から再び円高(ドル安)観測も囁かれている。マーケットは政策当局の動きを見守っている。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る