【編集長の視点】イワキポンプは続落も上場来安値を前に下げ渋り連続最高業績を見直し直近割安IPO株買いが再燃余地

編集長の視点

 イワキ(イワキポンプ)<6237>(東2)は、28円安の1892円と続落して始まっている。きょう18日寄り付き前に発表された1~3月のGDP(国内総生産)速報値が、年率1.7%のプラスと市場予想を大きく上回ったことで、逆に全般市場が気迷い感を強め、日経平均株価が135円安と反落してスタートしていることから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ、前日17日の取引時間中につけた上場来安値1850円を前に下げ渋りの動きもみせており底上げトレンド継続も示唆している。今年3月18日の新規株式公開(IPO)後の初決算として5月13日に発表した3月期業績で、前期業績が増収増益を維持して着地し、続く今期業績を連続過去最高更新と予想したことを見直し、下げ過ぎとして直近IPO株買いが再燃するとの期待が背景となっている。

■主力6市場向けにニーズにマッチした新製品を投下し業績が続伸

 同社のIPO後初決算となる2016年3月期業績は、IPO時予想より売り上げが2億8600万円上ぶれ、利益が4200万円~1100万円下ぶれたものの、売り上げ248億3000万円(前々期比8.9%増)、営業利益15億3300万円(同54.8%増)、経常利益19億9100万円(同32.2%増)、純利益15億2700万円(同48.3%増)と大幅続伸し、配当も、上場記念配当11円を含めて78.8円と今年1月14日付けで実施した株式分割(1対10)を勘案した前期実績15円に対して大幅増配する。

 化学薬液を移送するケミカルポンプの国内トップの専業メーカーとして半導体・液晶市場、医療機器市場、表面処理装置市場、水処理市場、化学市場、新エネルギー市場の主力6市場の売り上げが、すべて前々期実績を上回り、なかでも今期に売り上げ計上を見込んでいた化学市場と水処理事業のいくつかの案件が、前期に前倒し計上となって売り上げが上ぶれ、利益はその他経費増などがあって小幅に下ぶれた。

 続く今2017年3月期業績は、売り上げ255億600万円(前期比2.7%増)、営業利益17億2200万円(同12.3%増)、経常利益21億5200万円(同8.0%増)、純利益15億8800万円(同3.9%増)と予想、連続して過去最高を更新する。主力6市場の国内外の足元の状況はさまざまだが、半導体・液晶市場では国内メーカー向け、医療機器市場では、中国の免疫分析装置や国内の人工透析装置向け、水処理市場では、循環用途、滅菌用途、薬液供給用途などが堅調に推移する見込みで、各市場のニーズに合わせた新製品を投下しつつ業績の続伸を図る。配当は、上場記念配当を落として年間67.80円を予定、中間配当も33.9円として初実施する。

■PER8倍台、PBR0.8倍、配当利回り3.5%の修正で底上げ加速

 株価は、公開価格2000円でIPOされ、2050円で初値をつけ、3月末の配当権利取りで上場来高値2624円まで買い進まれたが、配当権利落ちと全般相場の波乱が重なり、さらに今期業績が市場コンセンサスをやや下回るとして上場来安値まで調整した。ただこの安値水準は、PER8倍台、PBR0.8倍、配当利回り3.58%と下げ過ぎであることを示唆している。公開価格抜けから最高値奪回へと底上げが加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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