【編集長の視点】富士ソフトサービスビューロはもみ合いも連続増収増益業績をテコに割安直近IPO株買いの再燃が有力

編集長の視点

 富士ソフトサービスビューロ<6188>(JQS)は、15円安の870円と5営業日ぶりに反落して始まったあと、3円高と切り返すなど前日18日終値を挟んでもみ合っている。今年5月2日につけた上場来安値698円から全般相場が波乱展開するなか大きく底上げしてきただけに、目先の利益を確定する売り物が出ている。ただ下値には、今年3月15日の新規株式公開(IPO)後に初決算として発表した前2016年3月期業績の上ぶれ着地、次いで今2017年3月期業績も続伸すると予想したことをテコに割安直近IPO株買いも続いている。テクニカル的にも上場来高値1170円から同安値までの調整幅の半値戻しをクリアしており、相場格言通りに「半値戻しは全値戻し」の期待を高めている。

■年金相談業務が通期フル寄与し電力自由化関連の入力業務も増加

 同社のIPO後の初決算となった前2016年3月期業績は、売り上げと経常利益、純利益がIPO時予想をやや上ぶれ前々期比2.2%増収、52.1%営業増益、46.1%経常増益、74.5%純益増益で着地し、営業利益と経常利益はそれぞれV字回復した。コールセンターサービスとBPO(業務処理外部の受託)サービス、IT(ウェブコンテンツ開発受託)サービスなどをフルパッケージで提供するトータル・アウトソーシング企業として、昨年12月に会津BPO第2センターを開設して記帳データ入力業務の増加に対応し、今年1月には幕張コンタクトセンターを開設し年金相談関連の新規業務を受注、開始し、内部体制の強化向けや上場関連の費用などの増加があったが、原価低減、経費削減などに取り組んだことなどが要因となった。

 今2017年3月期業績は、売り上げ80億円(前期比1.7%増)、営業利益2億7000万円(同7.8%増)、経常利益2億7000万円(同6.9%増)、純利益1億7200万円(同5.5%増)と続伸を見込んでいる。企業向けBPO業界では、業務改革や効率化、人材不足やコスト競争力のためにアウトソーシングの利用や自治体のマイナンバー関連業務や付随の民間からの業務が増加しており、今年1月に開始した年金相談業務の通期フル寄与やBPOサービスの記帳データ入力業務や電力自由化関連の各種入力業務の増加などが寄与する。

■PERは11倍台となお割安で相場格言の「半値戻しは全値戻し」に弾み

 株価は、公開価格890円でIPOされ1010円で初値をつけ直後に上場来高値1170円まで買い進まれたあと、公開価格を試す880円と売られ、期末の配当権利取りで930円と買い直されが、配当権利落ちとともに全般相場下落も響いて上場来安値698円へ突っ込んだ。同安値から好決算発表を手掛かりに、公開価格水準まで底上げした。この水準は、最高値から最安値までの調整幅の半値戻しとなる。PERは11倍台となお割安であり、格言通りに「半値戻しは全値戻し」へ弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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