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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ASIANSTARは08年以来の高値水準、16年12月期増収増益予想、資本提携先を変更
- 2016/5/24 07:54
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ASIANSTAR(エイシアンスター)<8946>(JQS)(15年4月に陽光都市開発から商号変更)は不動産関連事業を展開している。財務基盤が改善して中国でのワンルーム賃貸事業や国内でのリゾート開発事業も推進する。16年12月期第1四半期は赤字だったが、通期は増収増益予想である。なお5月20日に資本提携先の変更を発表した。株価は強基調の展開だ。08年10月以来の高値水準となった5月16日の年初来高値から一旦反落したが素早く切り返している。財務基盤改善や中期成長に向けた積極投資を評価する流れに変化はなく、08年9月以来の500円台が視野に入る。
■国内と中国で不動産事業を展開
15年4月1日付で陽光都市開発からASIANSTAR(エイシアンスター)に商号変更した。
投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、国内の不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへ事業構造を転換した。そして13年8月にアパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約締結、13年10月にストライダーズ<9816>と資本業務提携した。
11年12月の上海徳威グループとの資本提携効果などで財務基盤が改善し、さらに国内不動産管理・賃貸・仲介事業の安定的な収益体系が構築できたとして、14年2月に中国における不動産関連事業(サービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業)へ進出した。
15年2月には一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した国内不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、新規事業としてリゾート開発事業を開始すると発表した。
■資本提携先を変更
なお5月20日に資本提携先の変更を発表した。
11年12月に上海徳威企業(徳威企業)、思源国際(当社取締役であり徳威企業の薫事長でもある呉文偉氏の個人会社)、およびフィンテックグローバル証券(13年2月に資本提携契約から脱退)の3社と資本提携契約を締結したが、この度、思源国際から資本提携契約解消の申し出があり、徳威企業および思源国際と協議した結果、2社との資本提携契約を解消することとなった。
一方で当社と徳威企業との事業協力関係については変更がないこと、当社の株式を保有しているのは徳威国際(徳威企業の100%子会社)であることを鑑み、新たに徳威企業および徳威国際の2社との資本提携契約を締結することとなった。
■中国でワンルーム賃貸事業を推進
中国における不動産関連事業では、14年2月に香港柏雅および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)などベルグラビアグループ3社を連結子会社化した。このうち上海柏雅投資管理については14年6月に売却した。14年7月には香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立した。
14年11月には15年後半開業予定の世界有数の大型テーマパークから約5km圏内に位置する上海市周浦エリアにおいて、周浦印象春城サービスアパートメント1棟(220戸)の管理受託契約を締結した。14年12月には陽光智寓(香港)が中国上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立した。
15年8月には、連結子会社の柏雅酒店管理と東急不動産上海が中国に合弁会社の上海雅東企業発展有限公司を設立(柏雅酒店管理の出資比率55%)した。柏雅酒店管理が持つ数多くのサービスアパートメント運営管理実績、中国国内の物件情報開発力および許認可取得交渉力と、東急不動産上海が持つ日本人向けサービスアパートメント運営ノウハウ、東急不動産グループの企画・設計力ならびに信用力・知名度を活用し、両社の強みを融合したサービスアパートメント運営管理事業を展開する。
15年9月には、投資用マンション「グリフィンシリーズ」を視察するため、中国・上海のメディア大手である上海文化広播影視集団有限公司傘下の上海東方明珠房地産有限公司の総経理、および開発担当マネージャー等計5名が当社を訪問した。上海東方明珠房地産有限公司は上海市中心部において住宅、ホテル、オフィスビル等の開発を行っており、今後は小規模住宅の開発にも乗り出す予定のため継続して協議を行っていくとしている。
15年11月には中国ワンルーム賃貸事業の進捗状況をリリースした。中国蘇州市人民路所在の中古建物を賃借し、マンション用に内装工事を施して賃貸するワンルーム賃貸事業当該物件の計画(地上4階・地下2階のうち地上2~4階部分を賃貸予定、賃貸部屋数80室予定、投資金額は約56百万円予定)を策定した。
また中国上海市においてもワンルームマンションの賃貸権を購入し、賃貸事業を開始することになった。当該案件は当社の資本提携先である上海徳威企業の連結子会社である上海布科投資管理有限公司からワンルームマンションの賃貸事業を譲り受ける。
■国内リゾート開発事業を開始
一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した国内不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、15年2月には新規事業としてリゾート開発事業を開始すると発表した。
日本国内で約70ヶ所合計約46万坪の事業用地を取得し、ログハウスを開発・建設して日本国内および海外セカンドハウス・移住者向け住宅として販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として賃貸する事業を計画している。事業運営は連結子会社の合同会社TYインベスターズ(15年2月設立)が行う。
なお5月13日にはTYインベスターズの増資引き受けを発表した。開発計画の進捗に伴って開発資金の必要性が高まったため、新たに1億55百万円に出資する。
■15年12月期は大型の竣工・販売物件がなく大幅減益
前期(15年12月期)連結業績は、不動産販売事業において大型の竣工・販売物件がなかったため大幅減収減益だった。売上総利益率は37.2%で同14.6ポイント上昇、販管費比率は32.3%で同16.6ポイント上昇、ROEは3.1%で同21.1ポイント低下、自己資本比率は60.0%で同12.3ポイント上昇した。
セグメント別に見ると、不動産販売事業は売上高が同84.3%減の1億70百万円、営業利益(連結調整前)が同81.8%減の19百万円、不動産管理事業は売上高が同0.7%減の5億25百万円、営業利益が同2.5%増の2億15百万円、不動産賃貸事業は売上高が同9.8%減の3億31百万円、営業利益が同16.4%減の38百万円、不動産仲介事業は売上高が同9.9%増の1億62百万円、営業利益が同3.4倍の40百万円だった。不動産ファンド事業は休止状態のため売上高、営業利益とも0百万円、その他事業は売上高がなく、営業利益が0百万円の赤字だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)2億77百万円、第2四半期(4月~6月)3億26百万円、第3四半期(7月~9月)2億37百万円、第4四半期(10月~12月)3億48百万円、営業利益は第1四半期22百万円、第2四半期15百万円、第3四半期7百万円の赤字、第4四半期26百万円だった。
■16年12月期第1四半期は赤字
5月13日に発表した今期(16年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.0%増の2億93百万円で、営業利益が2百万円の赤字(前年同期は22百万円の黒字)、経常利益が21百万円の赤字(同6百万円の黒字)、純利益が21百万円の赤字(同2百万円黒字)だった。売上総利益率は改善したが、販管費の増加で赤字だった。
売上総利益は10.4%増加し、売上総利益率は41.9%で同1.7ポイント上昇した。販管費は同40.8%増加し、販管費比率は42.8%で同10.6ポイント上昇した。営業外では為替差損益が悪化(前期は差益0百万円計上、今期は差損20百万円計上)した。
セグメント別動向を見ると、不動産販売事業は売上高が15百万円(前年同期はなし)、営業利益(連結調整前)が3百万円の赤字(同1百万円の赤字)だった。中古マンション、土地などの引き渡しを完了したが、販売に係る業務委託費用が膨らんだため赤字だった。不動産管理事業は売上高が同5.6%増の1億39百万円、営業利益が同1.5%減の55百万円だった。中国におけるサービスアパートメント管理事業が増収だったが、費用も増加した。
不動産賃貸事業は売上高が同6.5%減の84百万円、営業利益が同97.9%減の0百万円だった。中国のワンルームマンション賃貸事業に係る先行費用が影響した。不動産仲介事業は売上高が同1.3%減の53百万円、営業利益が同16.3%増の16百万円だった。その他事業は売上高がなく、経費計上で営業利益が0百万円の赤字(同0百万円の赤字)だった。
■16年12月期通期は増収増益予想、中期的に収益改善基調
今期(16年12月期)通期の連結業績予想は前回予想(2月16日公表)を据え置いて、売上高が前期(15年12月期)比26.2%増の15億円、営業利益が同11.0%増の65百万円、経常利益が同9.7%増の60百万円、そして純利益が同20.7%増の50百万円としている。配当は無配を継続する。
不動産販売事業は全国リゾート地における土地の販売および首都圏の戸建開発によって収益の積み上げを目指す。安定した収益が見込める不動産管理事業は日本国内および中国においてサービスの向上や管理戸数の増加による収益拡大を図る。不動産賃貸事業は現状の稼働率維持によって収益を確保する。不動産仲介事業は国内顧客および海外投資家に向けた物件斡旋等を積極的に展開して収益拡大を図る。
中期的には不動産管理事業の安定収益に加えて、中国ワンルーム賃貸事業や国内新規リゾート開発事業も寄与して収益改善基調が期待される。
■財務基盤改善も進展
新株予約権行使、第三者割当増資、そして利益の積み上げで財務基盤改善も進展している。自己資本比率は13年12月期末9.0%、14年12月期末46.7%から、15年12月期末60.0%に改善した。また1株当たり純資産(BPS)は13年12月期末19円92銭、14年12月期末72円12銭から、15年12月期末104円45銭に改善した。
13年10月21日に第三者割当により発行した第1回新株予約権については、15年10月7日に行った行使指定に基づき、徳威国際発展有限公司が15年10月16日付で本新株予約権10個(交付株式数50万株)の権利を行使し、本新株予約権の行使が完了した。
14年7月14日に第三者割当により発行した第3回新株予約権については、ストライダーズが16年2月1日付で本新株予約権1個(10万株)の権利を行使し、Hong Kong Wealthy Future Investmentが16年2月8日付で本新株予約権9個(90万株)の権利を行使して、本新株予約権の権利行使が完了した。
■株価は強基調、08年9月以来の500円台視野
株価の動きを見ると、強基調の展開で5月16日の年初来高値430円まで上伸した。08年10月440円以来の高値水準である。その後は利益確定売りで一旦反落したが、5月18日の327円から素早く切り返している。強基調に変化はないようだ。
5月23日の終値382円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円78銭で算出)は137倍近辺、実績連結PBR(前期実績の連結BPS104円45銭で算出)は3.7倍近辺である。なお時価総額は約69億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドである。財務基盤改善や中期成長に向けた積極投資を評価する流れに変化はなく、08年9月以来の500円台が視野に入る。