【アナリスト水田雅展の銘柄分析】綿半ホールディングスは2月の上場来高値に接近して上値試す、17年3月期も増収増益予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 綿半ホールディングス<3199>(東1)はスーパーセンター事業や建設事業などを展開するグループ持株会社である。スーパーセンター事業が堅調であり、建設事業の利益率改善も進展している。スーパーセンター新店も寄与して16年3月期は大幅営業・経常増益となり、17年3月期も増収増益予想である。中期経営計画では経営目標値として19年3月期の経常利益22億円(16年3月期実績17億16百万円)を掲げた。株価は2月の上場来高値に接近している。自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。

■スーパーセンター事業や建設事業などを展開するグループ持株会社

 1598年(慶長3年)に初代・綿屋半三郎が長野県飯田市で創業した綿商いから400年以上の歴史を有している。現在は持株会社に移行して、事業会社の綿半ホームエイドが長野県中心にチェーン展開するスーパーセンター事業(従来のホームセンター事業を16年3月期第3四半期から名称変更)、綿半鋼機と綿半テクノス(両社は16年4月1日付で合併)が展開する建設事業、10年に子会社化したミツバ貿易が医薬品原料などを輸入販売する貿易事業を展開している。

 16年3月期の売上高構成比は、スーパーセンター事業が56.8%、建設事業が38.8%、貿易事業が4.2%、その他事業(不動産賃貸事業)が0.3%である。

■スーパーセンター事業は長野県中心にスーパーセンター業態を積極展開

 綿半ホームエイドがチェーン展開するスーパーセンター事業は、1977年にホームセンター業態1号店(長池店)をオープンし、07年からは生鮮食品や惣菜など食品の品揃えを強化したスーパーセンター業態の出店を開始して積極展開している。

 長野県内で唯一生鮮食品を扱うホームセンター・スーパーセンターで業態あり、NB商品を中心に地域特性に合わせた豊富な品揃え、価格競争力、ブルーカード(長野県内の主要な小売業やサービス業が加盟するポイントカード)による顧客囲い込みなど、ELP戦略を武器とした個店競争力の高さを強みとしている。サービス面ではカーピットを併設してカー用品取り付け・タイヤ交換やメンテナンスを行っていることも特徴だ。

 品目別売上構成比は、09年2月期には食品30.2%、非食品69.8%だったが、15年3月期には食品50.3%、非食品49.7%で食品が非食品を上回った。スーパーセンター業態の新規出店によって食品の売上構成比が上昇している。

 また15年12月、愛知県一宮市を中心に地域密着型の食品スーパー5店舗、および100円ショップ1店舗を運営しているキシショッピングセンターの全株式を取得して連結子会社化した。愛知県内への店舗網拡大、食品の取り扱い、小型店の運営ノウハウの共有などでホームセンター事業の強化につながるとしている。

 15年5月に綿半スーパーセンター豊科店、15年11月に綿半スーパーセンター塩尻店がオープンし、15年12月に取得したキシショッピングセンターの店舗と合わせて、16年3月期末の店舗数はスーパーセンター業態11店舗、ホームセンター業態7店舗、食品スーパー5店舗の合計23店舗となった。

 なお16年4月、綿半スーパーセンター塩尻店の隣接地(当社所有地)に、大型サッカー施設「綿半フットボールパーク FUTSAL POINT 塩尻」がオープンした。東京建物不動産販売が当社所有地を借り受け、運営会社のJFCに賃貸する。JFCは「FUTSAL POINT」ブランドで全国に40以上のフットサル施設を運営している。塩尻市内初の本格的民間サッカー場であり、松本市や塩尻市などをホームタウンとするJリーグチーム「松本山雅FC」のサッカースクール練習場や各種イベント会場としても使用される予定だ。集客力強化に繋がりそうだ。

 また5月27日には、英国チェルシーで開催された英国王立園芸協会が主催する「チェルシーフラワーショー2016」に出場し、ショーガーデン部門において「シルバーメダル」を獲得したと発表している。

■建設事業は長尺屋根工事や自走式立体駐車場工事に強み

 建設事業は、建築・土木・住宅リフォーム工事、鉄骨・鋼構造物の加工・製造などを展開している。長尺屋根工事などの外装改修工事および自走式立体駐車場工事に強みを持つ。

 長尺屋根工事では、工場の操業を止めずに老朽化した屋根の改修工事を行うWKカバー工法で特許を取得し、企業の工場・倉庫・物流センター、商業施設、駅舎関連などに豊富な工事実績を誇っている。自走式立体駐車場工事では、柱の少ない認定品「ステージダブル」など国土交通省の認定を多数有していることが強みであり、大型SCの立体駐車場などの工事実績が豊富である。

 なお16年4月、建築・土木の設計施工を主体とする綿半鋼機と、鉄構・橋梁構造を主体とする綿半テクノスが合併(存続会社は綿半テクノス)した。経営統合によって事業の効率化を図り、建設事業の収益性向上を目指す。

■貿易事業はジェネリック医薬品向け天然原料などを輸入販売

 10年に子会社化したミツバ貿易は医薬品・化成品向け天然原料の輸入専門商社で、ジェネリック医薬品向けアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)や、メキシコ特産でヘアワックス・口紅などに使用するキャンデリラワックス(取り扱い数量国内1位)など、特定分野に強みを持っている。

 製造部門も有しており、医薬品分野ではHMG(ヒト尿由来の排卵障害治療薬)原薬を製造して医薬品メーカーに販売している。メキシコではキャンデリラワックスの精製工場を保有している。なお宝飾品部門は15年3月に撤退した。

■スーパーセンター事業は既存店好調

 スーパーセンター事業では既存店売上高と新規出店戦略が注目される。15年3月期の既存店売上高は14年3月期比94.5%、既存店客数は97.9%、既存店客単価は96.5%、16年3月期の既存店売上高は15年3月期比100.6%、既存店客数は98.9%、既存店客単価は101.7%だった。建設事業は基本的には第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造だが、大型案件の動向や個別案件の工事採算動向で利益率が変動する。

 なお15年3月期のROEは15.4%で14年3月期比1.6ポイント上昇、自己資本比率は22.1%で同4.5ポイント上昇した。そして配当性向は9.6%だった。配当についてはグループの業績や内部留保の充実などを勘案したうえで、安定的な配当を継続して実施することを基本方針としている。

■16年3月期は大幅営業増益で増配

 5月13日発表した前期(16年3月期)の連結業績は、売上高が前々期(15年3月期)比6.2%増の887億92百万円、営業利益が同54.0%増の15億69百万円、経常利益が同50.6%増の17億16百万円、純利益が同5.2%減の12億63百万円だった。

 スーパーセンター事業と建設事業の好調が牽引して大幅営業・経常増益だった。売上総利益は同14.6%増加し、売上総利益率は18.9%で同1.4ポイント上昇した。販管費は同11.6%増加し、販管費比率は17.1%で同0.8ポイント上昇した。なお税効果会計上の会社区分見直しの影響で、繰延税金資産計上効果が減少して税金費用が増加したため、純利益は減益だった。

 配当は同10円増配の年間25円(期末一括)で配当性向は19.5%だった。ROEは12.1%で同3.3ポイント低下、自己資本比率は22.4%で同0.3ポイント上昇した。

 スーパーセンター事業は売上高が同10.3%増の504億15百万円、営業利益(連結調整前)が同50.1%増の4億52百万円だった。売上面では既存店の好調、スーパーセンター2店舗の新規出店、15年12月取得したキシショッピングセンターなどが寄与した。利益面ではスーパーセンター2店舗新規出店コストが発生したが、食品ロス率改善など原価低減策による利益率改善効果で大幅増益だった。

 なお15年5月に綿半スーパーセンター豊科店、15年11月に綿半スーパーセンター塩尻店がオープンし、15年12月に取得したキシショッピングセンターの店舗と合わせて、16年3月期末の店舗数はスーパーセンター業態11店舗、ホームセンター業態7店舗、食品スーパー5店舗の合計23店舗となった。また16年3月期の既存店売上高は15年3月期比100.6%、既存店客数は98.9%、既存店客単価は101.7%だった。

 建設事業は売上高が同1.6%増の344億07百万円、営業利益が同56.3%増の18億48百万円だった。前々期から繰り越しの大型案件の施工が順調に進捗した。採算性を重視した効率的な営業活動や、工程管理と原価管理の徹底による原価低減などの効果も寄与した。特に建築鉄骨を中心とした一部工事における効率的な材料調達が利益を押し上げた。

 貿易事業は15年3月に宝飾品部門から撤退した影響で、売上高が同1.5%減の37億15百万円、営業利益が同3.8%減の3億66百万円だった。その他は売上高が同1.9%減の2億53百万円、営業利益が同13.4%増の95百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)208億22百万円、第2四半期(7月~9月)218億39百万円、第3四半期(10月~12月)242億26百万円、第4四半期(1月~3月)219億05百万円、営業利益は第1四半期2億98百万円、第2四半期4億80百万円、第3四半期6億47百万円、第4四半期1億44百万円だった。

■17年3月期も増収増益予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月13日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比8.5%増の963億77百万円、営業利益が同8.8%増の18億69百万円、経常利益が同9.6%増の18億81百万円、そして純利益が同0.3%増の12億67百万円としている。前期オープンしたスーパーセンター2店舗および連結子会社化したキシショッピングセンターの通期寄与など、スーパーセンター事業が牽引して増収増益予想である。

 配当予想は前期と同額の年間25円(期末一括)で予想配当性向は19.5%となる。なお従来、営業外収益として表示していたスーパーセンター事業における物流センター利用料収入について、17年3月期から販売費および一般管理費へ表示方法を変更する。組み換え後の16年3月期の営業利益は第2四半期累計が8億50百万円、通期が17億17百万円(スーパーセンター事業の営業利益は通期6億01百万円)である。

 セグメント別計画は、スーパーセンター事業の売上高が同10.8%増の558億72百万円で営業利益が同34.4%増の8億07百万円、建設事業の売上高が同5.6%増の363億30百万円で営業利益が同0.5%増の18億57百万円、貿易事業の売上高が同5.2%増の39億07百万円で営業利益が同19.5%増の4億38百万円としている。

 スーパーセンター事業の月次売上状況(前年同月比、速報値)を見ると、16年4月は全店118.7%、既存店98.4%だった。既存店売上は6ヶ月連続の前年割れだった。月前半は好転に恵まれて園芸用品やレジャー用品などが順調だったが、月後半に気温が低下したことが影響した。なおキシショッピングセンターについては16年1月から全店データに含まれている。

■景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を目指す

 中期ビジョンでは基本方針に「時代の変化に対応し、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げる」を掲げ、多様性のある経営人財の育成、IT化推進による経営改革、M&A推進のための財務体質強化、長期を見据えた海外展開の準備に取り組んでいる。

 スーパーセンター事業では、近隣県への進出も含めて本格的な多店舗展開(当面の目標100店舗体制)に向けた体制作りの期間として、出店スピード加速のための体制整備や新フォーマット店舗の開発に取り組んでいる。体制整備では店舗オペレーションの効率化、パートナーのプロ化(パートのスキルアップ)、発注精度の向上、物流ネットワークの整備・強化、本部バックアップ体制の整備などを推進する。

 新フォーマット店舗の開発では、限られた売場面積の中で地域特性に合わせた品揃えを強化するため、小型スーパーセンター業態(700~1000坪)の開発や、食品と非食品の超小型店業態(300坪程度)の研究を推進している。15年4月にはホームセンター業態の「綿半ホームエイド川中島店」(売場面積2000㎡)に生鮮食品を加えて、小型スーパーセンター業態としてリニューアルオープンした。商品面では、長野ブランド(健康・自然)を活かした商品政策(健康を意識した商品政策、長野県ブランドを活かした商品開発)にも取り組む。

 建設事業では、デザインセンターを活用した提案営業や施主に対する直接営業の強化、技術ノウハウを活かした新製品の継続的開発や付加価値の提供などで、採算を重視しながら受注拡大に繋げる。遠隔地の案件に対しては、施工代理店方式(当社が開発した冶具・ノウハウを提供)も活用して、エリア・顧客基盤の拡大に取り組む。中長期的な課題として施工代理店方式を活用した海外展開も検討する。リニア新幹線の停車駅となる長野県飯田市を発祥とする老舗企業であり、高い信用力を背景としてリニア新幹線・駅舎および周辺関連工事の受注も期待される。

 貿易事業では、利益率の高い医薬品分野を中心として、ニッチ市場における新商品の開発を強化する。

■中期経営計画を策定、19年3月期経常利益22億円目指す

 5月13日に中期経営計画を発表した。時代に変化に応じ、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げるという経営方針のもと、4つの施策としてIT化のさらなる推進による事業価値向上、時代に沿った人財の確保と育成、事業戦略推進のための財務体質強化、グループ経営体制の整備・強化の継続を推進しる。

 経営目標値には、最終年度19年3月期売上高1000億円(16年3月期比伸長率112.6%)(内訳はスーパーセンター事業600億円、建設事業360億円、貿易事業40億円)、経常利益22億円(同128.2%)を掲げた。

 事業別重点施策としては、スーパーセンター事業では新業態開発による売場面積拡大(3年間で4500坪)、既存店活性化に向けたサービスメニューとプロモーションの拡充、ロス率改善やオペレーション効率化による利益率向上、建設事業では問題解決に向けた提案型営業への転換による安定した高収益体質の実現、貿易事業では天然原料の新商品拡充と販売経路の拡大を推進する。

 アベノミクス地方創生戦略やリニア新幹線なども追い風であり、スーパーセンター事業における新フォーマット開発や多店舗展開が牽引して、中期的に収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年9月末に実施

 株主優待制度については15年8月に導入を発表した。毎年9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して贈呈する。15年9月30日現在の株主を対象として開始した。

 優待品の内容は次の(1)~(3)の中から1点を選択する。(1)2000円相当の長野県特産品のうち1点、(2)綿半ホームエイド店舗で利用できるブルーカードポイント2倍カード、(3)社会貢献活動への2000円寄付。

■株価は2月の上場来高値に接近、自律調整一巡して上値試す

 なお5月16日に主要株主の異動を発表した。16年3月31日現在、従業員持株会の議決権総数に対する割合が10%を超えた(第1位株主、10.07%)ため主要株主に該当することとなった。ただし従業員持株会は定期的に当社株式の買い付けを行うとともに、会員の退会や会員の必要に応じた売却が発生するため、今後の所有株式数は流動的としている。

 株価の動きを見ると、4月の直近安値1237円から反発して水準を切り上げている。5月24日には1565円まで上伸して2月の上場来高値1615円に接近してきた。自律調整が一巡したようだ。

 5月27日の終値1523円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS128円49銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1108円88銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約150億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。そして13週移動平均線も上向きに転じた。上昇トレンドへの回帰を確認した形だ。指標面に割高感はなく、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

最新記事

カテゴリー別記事情報

     

    ピックアップ記事

    1. ■中東で初となる最新鋭のM701JAC形ガスタービン納入プロジェクトで  三菱重工業<701…
    2. ■月面等での建設活動に資する無人建設革新技術開発推進プロジェクト  コマツ<6301>(東1…
    3. ■伽藍全域を自由に巡り、曼荼羅図を超拡大して鑑賞するデジタル文化財体験を実現リベラルアーツ研修やオ…
    2022年1月
    « 12月    
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31  
    IRインタビュー 一覧

    テンポイノベーション・原康雄社長 アルコニックスの竹井正人社長 JPホールディングス・古川浩一郎社長に聞く Eストアーの石村賢一社長に聞く アイビーシーの加藤裕之社長に聞く ピクスタの古俣大介社長に聞く メディカル・データ・ビジョンの岩崎博之社長に聞く ヨコレイの西山敏彦社長に展望を聞く 平山の平山善一社長に近況と展望を聞く アンジェス MGの山田 英社長に聞く CRI・ミドルウェアの押見正雄社長に聞く 京写の児嶋一登社長に聞く

    アーカイブ

    「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
    また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
    ページ上部へ戻る