サンコーテクノの今期業績予想は増収増益で株価見直しへ
- 2016/5/31 07:17
- 決算発表記事情報
■製品はもちろん、工法、施工ツールについても高い開発力
サンコーテクノ<3435>(東2)の前期は太陽光関連製品の売上が減少したこともあり、5期連続の増収増益がストップし、減収減益予想であった。そのため、株価は、昨年8月の高値1700円から、今年4月13日には667円まで下げた。ところが5月13日に発表された、今期17年3月期連結業績予想は、増収増益が見込まれることから、株価の見直しが進むものと予想される。
当社は、あと施工アンカーを中心とした建設用ファスニング製品では、業界のトップ企業である。創業は、第1回東京オリンピック開催の年である1964年と歴史も古く、その間に開発された画期的な製品であるオールアンカーに見られるように、開発力に定評がある。
製品はもちろんのこと、工法、施工ツールについても高い開発力を持っている。その背景には、現場のニーズを、製品、工法、施工ツールに反映させる工事部門を持っていることが挙げられる。そのため、連結売上高に対する新製品売上高比率は年々高まり、10年3月期の3.2%から、6年後の16年には18.2%まで伸びている。更に、全国約4,000社の取扱店とそれをサポートする15拠点の支店・営業所からなる強力な販売体制に強みがある。
15年3月期までは、5期連続の増収増益と順調に推移していたが、前期は太陽光関連の売上高が、17億2000万円から9億2000万円まで落ち込んだこともあり、減収減益となった。
そのような状況の中で、今期は、再度成長路線に戻るために、「市場創出に向けた開発力と営業力の強化」、「特殊工法の開発・推進」、「海外展開」、「新事業の推進」を中期経営計画2年目の重点施策として挙げている。
■中期視点に立った製品・工法開発に注力
「市場創出に向けた開発力と営業力の強化」については、昨年度よりコンサル営業に本格的に取り組み始めた。コンサル営業により、すぐに成果が現れるものから、製品を開発するまで4、5年を必要とする長期にわたるものもあるが、2020年以降を睨んで長期的な視野に立った中期戦略に切り替えていく。
「特殊工法の開発・推進」に関しては、エンジニアリング本部内に開発推進部門を新設した。同部門が現場のシーズやニーズを汲み取り、ゼネコンやメーカー等との連携により開発に近い製品・工法開発へと繋げていく。また、これまで太陽光関連として開発した製品・工法を改良し、単管接続用・支柱設置用として用途拡大を図っている。例えば、ビニールハウス・遊具ほか4号建物、高速道路立入防護柵等への展開を推進していく。太陽光関連だけではなく、新しい分野への用途開発を進める。
■海外事業は、グループ目標10億円の早期達成を目指す
「海外展開」については、今期より新しい部署をファスニング事業の中に設けて、海外の販売強化を行う。これまで、子会社に販売を任せてきたが、これを改めて、本社主導型の営業体系に切り替えた。これにより、より東南アジア、欧米、欧州に展開していく。特に、今期はアジアを中心としたベトナム、タイへの販売を強化する。ODA関連は、ベトナムがTPP関連で関税が撤廃される予定であるので、日本との交流はさらに深くなるものと予想される。組織的な販売拡大で、グループ目標10億円の早期達成を目指す。
「新事業の推進」では、まだまだFRP関連やアルコール測定器等を手掛ける機能材事業の販売促進だけでなく、裾野市場の拡大や新しい市場を視野に入れたM&Aも含めた強化を進める。
以上の取組を進めることで、今期17年3月期連結業績予想は、売上高175億円(前期比5.1%増)、営業利益14億円(同4.6%増)、経常利益13億30百万円(同5.8%増)、純利益8億80百万円(同8.6%増)、一株当たり純利益108円13銭、年間配当20円(前期18円)を見込む。
■東京オリンピック関連のインフラ設備工事等の本格化はこれから、事業環境は追い風
当社を取り巻く市場環境は、東京オリンピック関連のインフラ設備の増加、東京オリンピックの影響を受け都市開発の活性化、国土強靭化政策による耐震補強といった工事が見込まれているが、本格的な工事はこれからという段階であることから、当社にとっては追い風といえる。
再度成長路線に戻るにもかかわらず、株価指標は、PER(予想)6.27倍、PBR(実績)0.56倍、配当利回り2.95%と割安歴然。
同業他社と比較すると、エスイー<3423>(JQS)、PER(予)22.43倍、PBR(実績)1.00倍、配当利回り3.92%、兼房<5984>(東2)、PER(予)14.18倍、PBR(実績)0.42倍、配当利回り2.3%、ケー・エフ・シー<3420>(東2)PER(予)10.34倍、PBR(実績)1.27倍、配当利回り1.48%である。
株価は低迷しているが、当社の事業環境は追い風であり、今期は増収増益を見込むことから、今後の株価反発を期待したい。