【業績でみる株価】うかいの業績本格上昇軌道入り、事業強化、「おもてなし」経営に磨き、株価上場来高値目指す
- 2016/5/31 08:43
- 業績でみる株価
うかい<7621>(JQ・100株)の2017年3月期営業利益は2.7倍増益見通し。3期ぶりに急回復すると同時に事業の強化で業績の本格上昇軌道入りを迎え、19年3月期には営業利益5億8000万円と16年3月期比3.5倍の見通し。株価は15年6月の高値3220円から今年2月に2450円と調整、足元では2700円台に出直っている。業績上昇軌道入りを評価して中期では15年高値を更新、上場来高値3520円を目指す展開だろう。
事業セグメントは2つ。鉄板料理の洋食と懐石・とうふ料理などの和食及び製菓物販の『飲食事業』。もう一つは、箱根ガラスの森の『文化事業』である。16年3月期は、文化事業が前期の売上11億7500万円から9億5900万円へ7.9%減少したことが全体の業績を押し下げ、減収減益となった。箱根ガラスの森は、箱根大涌谷周辺の火山活動活発化による入山規制の影響で来館者が大きく落ち込んだ。
自然災害には手を打つことはできないが、主力の飲食事業に対しては、新しいメニュー提案、企画・イベント、さらに施設改修などを積極的に行い客単価アップ(16年3月期は平均単価2.6%アップの1万2585円)に結びつけている。また、従業員のモチベーション向上を図るため定休日を一部店舗で導入した。さらに、2店舗について収益性の低下に伴う減損処理を行った(16年3月期に特別損失1億7600万円を計上)。注力中の製菓販売は新商品寄与や期間限定ショップ販売などの寄与で16年3月期は84.1%増の1億9700万円と本格的な戦力化場面を迎えている。
今後の展望は明るい。同社の大工原正伸社長(写真)は、(1)既存店の研鑽、(2)新たな魅力の創造、(3)商圏の拡大、(4)新店・新業態への挑戦という4つの戦略を強調した。先ず、店舗について、大工原社長は、「当社の店づくりにおいて根幹となる3つの要素、『物語のある空間』、『最高の料理』、『おもてなしの心』をぶらすことなく深化させ感動の時間を味わってもらえる店へ進化させていく。とくに、店舗の価値は人の温もりが感じられる、「おもてなし」があってこそ高まるもの。このため、人材確保・育成や労働環境の向上についても重要課題と位置づけている」という。
次いで、新たな魅力の創造では、「さらなる成長を図る上で顧客との関係をより深め、様々なシーンで当社を利用いただけるよう新たな事業の構築にも注力している。まずはレストランの余韻を感じ、日常的にうかいの味を楽しんでもらうことを目的に、お土産品や贈答品等の製造・販売を行う物販事業の確立を進めている。物販の柱となる製菓は15年4月に工房を設立し生産能力の拡大を図ると同時に新商品の開発に取り組んでいる。今後、和食・洋食に並ぶ事業として育成していく。また、製菓以外の商品についても開発を進めるほか、通信販売の仕組みづくりにも注力していく」ということだ。
そして、商圏の拡大については、「とくに、海外に向けたブランド発信は、国の観光客誘致政策やオリンピック開催決定の後押しにより訪日外客数が伸長傾向にあるなかで商圏拡大は重要な課題である。その一環で、御盟晶英酒店股?有限公司(ホテル業)が建設しているFIHリージェントグループのホテル高雄英酒店内のレストラン運営への協力による初の海外出店に目下、全力で取り組んでいる。また、海外出店の地である台湾と日本を結ぶ全日本空輸の国際線において機内食監修をすることとなり16年1月、4月、10月の期間限定で提供している」。
4つ目の戦略、新店・新業態では、「既存ブランドの希薄化を防ぐために既存業態から派生した要素を持ち、うかいの新たな魅力を広げ当社のブランド力向上に貢献する新規出店に取り組んでいく。今年2月に東京大手町に新規出店することを決定した。テーブル席58席、カウンター席6席、テラス席20席のカジュアルレストランで17年春のオープンを予定している」という。
19年3月期には売上130億6600万円(16年3月期120億7100万円)、営業利益5億8000万円(同1億6500万円)、営業利益率4.4%(同1.4%)を計画している。
なお、今期・17年3月期は売上3.8%増の125億3200万円、営業利益2.7倍の4億4500万円、EPS45.3円、配当は3円増配の年18円(期末一括)の見通し。訪日外国人観光客の増加で同社への来店も着実に増加、マーケットではインバウンド関連としての人気も高い。
株価は強弱の目安となる週足26週線を4月中旬以降、上抜いて推移し相場は明らかに上昇入りとなっている。月足チャートでも13年1月以降、24カ月線を上回り上昇相場が長期持続。今後、中期的には上場来高値3520円(99年11月)を目指すものとみられる。