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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジオネクストの16年12月期第1四半期は営業黒字化
- 2016/6/13 07:04
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジオネクスト<3777>(JQS)は収益柱を再生可能エネルギー事業にシフトして16年12月期営業黒字化を目指している。16年12月期営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスに留まった場合には、上場廃止基準に抵触して上場廃止となるが、第1四半期は再生エネルギー事業における収益獲得で営業黒字化した。さらに営業損失を計上していた調剤薬局事業の売却を発表するなど、不採算事業の見直しも推進している。株価は安値圏推移だが、下値固めが完了し、上場廃止回避に向けた動きに敏感な展開となりそうだ。
■再生可能エネルギー事業に収益柱をシフト
14年4月にターボリナックスHDから現社名ジオネクストに商号変更した持株会社である。傘下の事業会社で、従来のIT関連事業(ターボリナックスのITソリューション)、環境事業(東環のビルメンテナンスサービス)、新規事業の再生可能エネルギー事業(エリアエナジーの太陽光発電所開発・運営・O&Mサービス、日本地熱発電の地熱・温泉バイナリー発電開発)、ヘルスケア事業(仙真堂の調剤薬局・サプリメント事業)を展開している。
収益改善および中期成長に向けた基本戦略として、14年開始した新規事業の再生可能エネルギー事業に収益柱をシフトしている。
なお5月16日には、連結子会社で調剤薬局事業を行う仙真堂の株式をGrand Gate Holdingsに譲渡すると発表した。調剤薬局事業については、来店者数は増加しているが収益の伸びが当初計画に満たず営業損失を計上している状況であり、当社の経営課題を解決するための手段の一つとして、仙真堂の株式を譲渡して当社の負担を軽減することが当社グループの企業価値向上に資するとの結論に達した。これによって仙真堂は連結子会社から除外されるが、今後は当社が仙真堂に対して店舗の賃貸借契約を締結するほか、当面の間、当社が仙真堂の調剤薬局の店舗運営支援に関するアドバイザリー契約を締結する。
■15年12月期は赤字
前期(15年12月期)は営業利益が1億47百万円の赤字(前々期1億75百万円の赤字)、経常利益が2億09百万円の赤字(同2億46百万円の赤字)、純利益が8億11百万円の赤字(同2億74百万円の赤字)だった。
太陽光発電開発案件譲渡に伴う太陽光パネル売買契約や他の譲渡案件の成約がズレ込んだため売上高、各利益とも期初計画を下回り、営業赤字が残った。また減損損失3億17百万円などの特別損失を計上したため、純利益は赤字が拡大した。
■16年12月期第1四半期は営業黒字化
今期(16年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.5倍の2億18百万円、営業利益が38百万円の黒字(前年同期は73百万円の赤字)、経常利益が38百万円の黒字(同89百万円の赤字)、純利益が33百万円の黒字(同91百万円の赤字)だった。
セグメント別に見ると、IT関連事業は売上高が同8.4%減の17百万円で営業利益が同40.7%減の4百万円、環境事業は売上高が同0.2%減の22百万円で営業利益が0百万円の赤字(前年同期は0百万円の黒字)、ヘルスケア事業は売上高が同5.3倍の33百万円で営業利益が7百万円の赤字(同14百万円の赤字)、再生可能エネルギー事業は売上高が1億44百万円(同なし)で営業利益が86百万円の黒字(同18百万円の赤字)だった。
再生エネルギー事業では、前期末に売電を開始した三笠市弥生町太陽光発電所の売電収入、開発案件の譲渡、太陽光パネル関連の収益獲得が寄与した。
■16年12月期営業黒字化目指す
今期(16年12月期)の連結業績予想は前回予想(2月12日公表)を据え置いて、売上高が前期(15年12月期)比22.5%増の9億76百万円、営業利益が44百万円の黒字(前期は1億47百万円の赤字)、経常利益が9百万円の赤字(同2億09百万円の赤字)、純利益が13百万円の赤字(同8億11百万円の赤字)としている。
なお特別利益に、連結子会社ターボリナックスが保有する関連会社の北京拓林思への出資持分全てを北京拓林思の親会社である北京万里に譲渡した関係会社株式売却益約16百万円、持分法適用関連会社だった遺伝子治療研究所について保有する全株式を譲渡した関係会社株式売却益約19百万円を計上する。
5月16日に、連結子会社である仙真堂の株式をGrand Gate Holdingsに譲渡すると発表した。本件株式譲渡に併せて、当社が仙真堂に対して保有する金銭債権2億24百万円をGrand Gate Holdingsに譲渡する。これによって仙真堂は連結子会社から除外される。なお16年12月期第2四半期に、本件株式譲渡に伴う子会社株式売却益1億78百万円、本件債権譲渡に伴う債権譲渡損失2億24百万円を計上する見込みだ。
5月27日には連結子会社であるエリアエナジーが、埼玉県入間郡越生町の太陽光発電所に係る権利等をエコライフエンジニアリングに譲渡したと発表している。譲渡金額は25百万円で、本件譲渡による売上および利益は16年12月期第2四半期に計上する。
また5月31日には連結子会社であるエリアエナジーが、千葉県千葉市緑区、山梨県韮崎市藤井町、および静岡県牧之原市の太陽光発電所に係る権利等をアポロに譲渡したと発表している。譲渡金額は約25百万円で、本件譲渡による売上および利益は16年12月期第2四半期に計上する。
■継続企業の前提に疑義注記、16年12月期営業赤字なら上場廃止
なお営業損失の発生および営業キャッシュ・フローのマイナスが10期継続して発生している。このため継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。また15年12月期末において、11年4月1日以降開始する事業年度について、4期連続で営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなったため、上場廃止にかかる猶予期間に入る見込みだ。
そして16年12月期に、営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスに留まった場合には、JASDAQ市場の上場廃止基準に抵触して当社株式は上場廃止となる。
■経営陣交代で戦略見直しの可能性
なお3月29日開催の第22期定時株主総会において、経営陣(代表取締役および取締役)が交代したため、上場廃止を回避すべく、16年12月期営業利益および営業活動によるキャッシュ・フロー黒字化に向けて、事業戦略および16年12月期~18年12月期の中期経営計画が見直される可能性があるだろう。
■有利子負債削減は進展
なお14年12月発行の第15回新株予約権340個(=3400万株)について、割当先であるEVO FUNDから、S&BROTHERS(シンガポール)へ200個、および当社第4位株主である須田忠雄氏へ35個譲渡した。第15回新株予約権の行使状況は、16年1月31日時点で未行使予約権個数325個となっている。
また15年8月には、親会社リゾート&メディカルとの間で14年9月に締結したコミットメントライン契約に基づく借入金3億68百万円を全額返済し、当該契約を解除した。再生可能エネルギー事業を中心として一定の収益が実現されたため、借入金の返済により有利子負債の削減を図るとともに、親会社リゾート&メディカルからの独立性を明確にする。良好な関係は継続する。
■株価は下値固め完了感
株価の動きを見ると、4月下旬~5月上旬に動意づき、5月12日には101円まで上伸する場面があった。その後は反落して安値圏70円近辺で推移しているが、下値固め完了感を強めている。
6月10日の終値は71円、時価総額は約29億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線が下向きから横向きに転じて下値を支える形となった。下値固めが完了し、上場廃止回避に向けた動きに敏感な展開となりそうだ。