早期梅雨明け期待の一角を担う熊本地震関連株は「小回り三月」目前で打診買いも一考余地=浅妻昭治

編集長の視点

<マーケットセンサー>

 今年の関東甲信地方の梅雨入りは、6月5日であった。この梅雨入りを先取りするかのように、株式市場は6月早々から湿っぽくなった。日経平均株は、なんとか心理的なフシ目の1万6000円台をキープしているものの、東証1部の売買代金が、活況・閑散の境目といわれる2兆円台を下回る日が相次ぎ、投資家リスクを取る市場参加者は影を潜め梅雨冷マインドが続いている。

 関東甲信地方の梅雨明けは、平年では7月21日ごろである。株式市場も、早期に梅雨明けして「梅雨明け十日」のカッとした日差しが照りつけるように強気マインドが戻ることを期待したい。しかし、この株式市場の梅雨明けはいつになるのか依然として不確かである。日米の中央銀行の金融政策決定会合が一巡する今週16日以降か、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票が終わる23日以降か、国家公務員のボ-ナス支給日の6月30日と同調するか、7月10日の参議院選挙の投票日を通過したあとか、それとも8月上旬まで長梅雨となって、3月期決算会社の第1四半期決算の大勢が判明するまで待たなくてはならないかなど、重要イベントがプラスとなるかマイナスとなるか何とも判断がつきかねるからだ。

 昨年は、梅雨入りが6月5日で、日経平均株価は、この梅雨期間中に2万952円と18年半ぶりの高値のつけ、7月10日の梅雨明け後も2万946円の戻り高値をつけ、中国人民元の基準値引き下げを嫌って急落するまでカラ梅雨模様が続いた。今年についても、カラ梅雨までとはいわないものの、早期の梅雨明けが待ちどおしくなる。現在、市場の一部には、7月19日の東証マザーズ指数先物の新規上場を先取りして、マザーズ市場に資金が集中して時価総額上位銘柄などが一斉高となるなど、梅雨の合間のように薄日が差し込むような兆しもあり、それだけ早期梅雨明け期待を高めてもくれている。

 そこで早期梅雨明け関連で注目したいのが、内閣府が6月8日に公表した今年5月の景気ウオッチャー調査である。同調査は、いわゆる街角の景気実感を浮き彫りにする経済指標で、現状判断指数は、前月比0.5ポイント低下の43.0と10カ月連続で50%下回り、基調判断として「景気は引き続き弱さがみられる」とされた。ただそのなかで期待材料があるとして、そのなかに熊本地震からの復興が上げられており、あるいは、これが株式市場の梅雨明けを告げる「梅雨雷」のようなシグナルになるかもしれないからだ。

 熊本地震は、今年4月14日に発生しその後も大規模な余震が頻発するなか、上場企業にも被害が発生し、影響を公表する企業が続出し、事態の進展とともに第1報から第3報、第4報までを開示する例も出た。このシンボル株となったのは、ソニー<6758>(東1)である。4月18日の第1報で、グループ会社の工場の生産停止を公表し、4月22日には影響を見極めるために3月期決算の発表予定時期を延長し、5月24日には今2017年3月期の業績見通しを発表し、同地震による影響額は、営業利益で合計1150億円に達し、地震保険の保険金約150億円で一部相殺されるとした。同社のほか地震の業績への影響額を開示する企業も相次ぎ、特別損失や代替生産費用増などで200億円~100億円規模に達するケースも続いた。

 ソニーの株価は、地震発生前の3020円から地震発生後に2541円まで急落したが、今期予想業績発表で年初来高値3122円まで急伸し、熊本地震は織り込み済みとなっている。同社のほか、地震発生による輸送障害やテーマパークへの入園者減少で今10月期業績を下方修正したエイチ・アイ・エス<9603>(東1)も、株価が3000円台から2590円安値へ急落したが、業績下方修正と同時に発表した自己株式取得もサポート材料になって3140円高値までリバウンドした。

 熊本地震の復旧・復興については、5月16日~17日に2016年度補正予算7780億円が衆院・参院で全会一致で可決・成立し、被災者の生活再建、被災企業の事業再構築、道路・施設などのインフラ復旧、がれき処理などが進められる。また7月には、被災地支援の旅行需要を喚起するために「九州観光支援旅行券」の発行なども計画されている。このため、5月の景気ウオッチャー調査でも、先行きについて家計動向関連では猛暑予想で夏物商材に期待するとか、企業動向関連では公共投資の復旧工事がみられ始め、積極的に設備・人材投資をする会社が多いなどのコメントが目立っている。

 ソニー、HISに続く熊本地震関連株のサバイバルを期待させる背景材料になるもので、4月の地震発生時に急騰した銘柄は、テクニカル的にもちょうど「小回り3カ月」目前のタイミングにあるだけに、梅雨明け相場先取りを一考してみる価値はありそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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