【編集長の視点】セレスは急反落もフィンテック関連での相次ぐ提携を1Q最高業績がサポートして逆行高含み
- 2016/6/13 10:06
- 編集長の視点
セレス<3696>(東マ)は、115円安の2355円と3営業日ぶりに急反落して始まっている。きょう13日の日経平均株価が、海外株安を受けて365円安と続急落してスタートしていることから、今年6月6日に株式分割権利落ち後高値2849円をつけ高値もみ合いを続けている同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社株は、昨年5月以来、仮想通貨サービス拡大に向け相次ぎ資本・業務提携を締結し、金融とIT(情報技術)を融合させる「フィンテック」関連の本命株人気が続いており、朝方の安値からは下げ渋りもみせ逆行高期待も強めている。今年5月13日に発表した今12月期第1四半期(1Q)業績が、過去最高で着地し足元の業績が高成長を続けていることもサポート材料視されている。
■今年6月に入っても東大発ベンチャー企業など2社と相次ぎ提携
同社は、「フィンテック」技術の革新により開発された非中央集権的なネットワークシステムを認証システムとするブロックチェーン技術により第三者を介さずに売り手と買い手が直接取引を行うことを可能とする仮想通貨として開発を続けており、高速で低コストのまったく新しい決済手法として世界的な注目を集めている。経済産業省では、仮想通貨の潜在的な国内市場規模は、67兆円に達すると予測している。同社は、同市場向けのサービスの拡大、多様化に向け昨年5月のbitFlyerとの業務提携以来、orb、レジュプレス、bitbankなどと資本業務提携を続け、今年6月に入っても6日に東大発のベンチャー合同会社ジャノム(東京都品川区)と共同開発の業務提携を結び、9日にはオムニチャンネルによるデジタルマーケティング支援事業で実績のあるゆめみ(京都市下京区)の株式を約31%取得し持分法適用関連会社とした。
一方、今期1Q業績は、前年同期比34.5%増収、54.4%営業増益、52.5%経常増益、62.7%純益増益と大幅増収増益で着地し、売り上げ、営業利益は過去最高となるとともに、営業利益は、今12月期通期予想業績に対して31.4%の利益進捗率と目安の25%を上回った。ポイントメディア事業では、ポイントサービスの会員が、前期末の267万人からさらに278万人に拡大し、HRメディア事業では、「モッピージョブ」の求人広告掲載件数が、5月13日現在で7万2000件に達し、今期末目標の10万件に対して高進捗したことなどが要因となった。今12月期通期業績は期初予想を据え置き売り上げ36億5200万円(前期比15.3%増)、営業利益5億2000万円(同11.8%増)、経常利益5億700万円(同10.6%増)、純利益3億2300万円(同20.1%増)と見込み、純利益は、2期ぶりに過去最高を更新する。
■仮想通貨関連の本命株人気を高めて信用規制を押し返し高値トライに再発進
株価は、2014年12月末の株式分割(1対2)の権利落ち後安値679円から相次ぐ仮想通貨関連の提携や前期業績の上方修正、さらに関連の改正銀行法成立など支援材料も表面化してストップ高を交えて大きく底上げ、ジャノムとの業務提携ではストップ高して2849円をつけ、株式分割の権利落ち前の2014年10月高値3390円を上抜き実質の上場来高値となった。同高値後は信用規制の強化が響き高値もみ合いを続けたが、ゆめみとの資本業務提携で再度、高値を窺っている。全般相場が、日米中央銀行の金融政策決定会合などの重要イベントを控え波乱懸念のあるなか、仮想通貨関連のテーマ株の本命株人気を高めて逆行高、高値トライに再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)