【編集長の視点】チエルは続急落もデジタル教科書関連人気は根強く連続最高予想業績も切り返しを支援

 チエル<3933>(JQS)は、480円安の4300円と続急落して始まっている。英国のEU(欧州連合)離脱を問う国民投票を懸念して世界的にリスクオフの動きが強まり、きょう15日の日経平均株価が、106円安と5営業日続落してスタートしたことから、今年6月14日に上場来高値5840円をつけた同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社が積極展開しているデジタル教科書については、文部科学省の検討会議が、小・中・高校にデジタル教科書を導入する中間報告をとりまとめたことや、5月13日にIPO(新規株式公開)後の初決算として発表した同社の前3月期・今3月期業績が、連続増収増益となることを評価する買い物も下値に続いており、目先売り一巡後の切り返しも示唆している。テクニカル的にも、25日移動平均線で下値を確認する動きを続けており、全般相場の波乱展開のなかで、急騰特性を発揮する逆行高期待も高めている。

■2020年度導入の文科省・検討会議の中間報告が教育ICT事業に追い風

 同社は、小学校、中学校、高校、大学の学校教育にICT(情報通信技術)を導入する教育ITCの唯一の専業メーカーで、今年6月2日に開催された文部科学省の「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議でも、情報化の進展を踏まえて児童生徒が主体的に学び、学びを質・量両面で向上させるには、現在、副教材にとどまっているデジタル教科書を紙の教科書と併用するとの案が報告され、2020年度にも導入を目指す。同社は、すでにデジタル教材をクラウド配信するプラットフォーム「CHIeru.net」では、延べユーザー数が260万人を超え、授業支援システム「Calabo LX」やタブレット端末教務支援システム「らくらく先生スイート」などでも高実績を誇っているだけに、同社業績がさらに高成長する事業環境となる。

 一方、今3月期業績は、今年3月22日の新規株式公開(IPO)後の初決算だった前期業績が、IPO時予想を上ぶれて着地したのに続き、売り上げ18億円(前期比4.2%増)、営業利益2億円(同7.7%増)、経常利益2億円(同7.6%増)、純利益1億3800万円(同16.3%増)と予想され、売り上げ、営業利益は前期の過去最高を連続更新する。教育ICT事業での新展開が相次ぎ、今年7月には次世代語学学習支援プラットフォーム「Calabo Language」を発売し、近畿大学の次世代教育環境「ハイブリッド型アクティブラーニング教室」の導入を支援することなどが寄与する。

■連続のストップ高を交えて最安値比3.9倍化も25日線に支えられ上昇トレンド不変

 株価は、今年3月のIPO時につけたIPO直後の高値3155円から上場来安値1490円まで調整したが、同安値から文科省の検討会議開催とともに合計6日間のストップ高を繰り返して5770円高値まで大化けした。同高値後は、3435円と下ぶれたが、検討会議の中間報告を先取りして再びストップ高し、上場来高値5840円と買われ最安値比3.91倍となった。足元では、右肩上がりの25日線で下値を確認しつつ切り返しを窺っており、上値チャレンジに再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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