【季節の一枚】早春の百草園
- 2015/1/18 21:43
- 季節の一枚
百草園(もぐさ・えん)は、造りは明らかに日本庭園だが、急な坂道、手すりのついた急な階段が続き、山全体が庭園という、われわれが日頃、見慣れれている庭園とはひと味違う趣である。頂上近くのなだらかなところには池や庵もある。
多摩丘陵の一角にあり、とくに、高い山というわけではないが、百草駅から200メートルも行くと急勾配の手すりのついた住宅道路が始まる。300円を払って園を入ると一気に急勾配の階段が待ち構えている。手すりに頼って息を切らせて登る。途中にヌイセンやロウバイ、ほころび始めた梅が迎えてくれる。さらに、頂上の見晴台では西に富士山、東に東京都心、目のいい人ならスカイツリーも臨める。登ってよかった、と感激できる。
平安時代から鎌倉時代にかけ真慈悲寺という大寺院がここにあったという。江戸時代に松連寺として建立され、その後、生糸商人青木角蔵によって1887年(明治20年)に開園、1957年から京王電鉄の所有となっているという。
徳富蘆花、大田南畝、田山花袋、北村透谷、若山牧水などがこよなく愛し訪れたそうで、牧水はこの地で、恋人小枝子との失恋を歌にした、「独り歌へる」がつくられたという。園内には芭蕉の句碑が木々の緑の中に佇んでいる。