ワークマンはモミ合い煮詰まり感、17年3月期は6期連続最高純益更新予想

ワークマン 7564

 ワークマン<7564>(JQS)はワーキングウェア・作業用品専門店チェーンをFC中心に全国展開している。既存店の好調などで17年3月期は6期連続最高純益更新予想である。株価はモミ合い展開だが煮詰まり感を強めて上放れが期待される。

■ワーキングウェア・作業用品の専門店チェーンを全国展開

 ワーキングウェアや作業用品などの大型専門店チェーンをFC中心に全国展開している。ローコスト経営を特徴としてエブリデー・ロー・プライス戦略を推進し、他社との差別化戦略としてPB商品「WORKMAN BEST」の開発・拡販、販売分析データの活用や単品管理プロジェクトの推進、緻密な品揃えと地域特性に合わせた売り場づくりなどを強化している。PB商品については売上構成比30%達成を目指している。

 16年3月期末店舗数は44都道府県下に、FC店が15年3月期末比12店舗増加の653店舗、直営店業務委託店舗が同5店舗増加の82店舗、直営店トレーニング・ストアが同横ばいの31店舗で、総合計が同17店舗増加の766店舗、FC比率は同0.4ポイント低下して85.2%となった。16年3月期は大分県、沖縄県に初出店した。

 ドミナントエリア強化、出店エリア拡大、既存店スクラップ&ビルド(S&B)および不採算店舗閉鎖、年商2億円を目指す売場面積120坪店舗の構築などを推進している。人口10万人に1店舗として中期的には25年に全国1000店舗を展開し、日本全国どこでも購入できる店舗展開を目指している。

 物流面では15年4月、群馬県伊勢崎市に流通センターを新設するため群馬県と用地売買予約契約に調印した。既存の伊勢崎流通センターがフル稼働状態のため、近接地に新伊勢崎流通センターを建設(17年2月完成予定)し、東日本の伊勢崎流通センター(新旧2センターの一体運営)と西日本の竜王流通センター(滋賀県)の2拠点で全国の店舗への物流をカバーする。

■第1四半期と第3四半期の構成比が高い収益構造

 15年3月期の四半期別推移を見ると、チェーン全店売上高は第1四半期(4~6月)173億65百万円、第2四半期(7~9月)148億67百万円、第3四半期(10~12月)218億27百万円、第4四半期(1~3月)151億26百万円、営業総収入は第1四半期125億22百万円、第2四半期105億20百万円、第3四半期150億63百万円、第4四半期103億21百万円で、営業利益は第1四半期20億83百万円、第2四半期13億88百万円、第3四半期32億37百万円、第4四半期16億31百万円だった。

 第1四半期と第3四半期の構成比が高い収益構造だ。15年3月期の営業総利益率は34.4%で14年3月期比0.1ポイント上昇、販管費比率は17.2%で同0.3ポイント上昇、ROEは14.0%で同0.8ポイント低下、自己資本比率は77.5%で同2.3ポイント上昇した。配当性向は30.2%だった。利益配分の基本方針は配当性向30%を目途としている。

■16年3月期は増収増益で6期連続増配

 前期(16年3月期)非連結業績は、チェーン全店売上高が前々期(15年3月期)3.3%増の714億65百万円、営業総収入が同2.4%増の495億77百万円、営業利益が同5.6%増の88億07百万円、経常利益が同5.1%増の99億48百万円、純利益が同6.1%増の62億33百万円だった。配当は6期連続増配で配当性向は30.1%だった。

 暖冬の影響でチェーン全店売上高と営業総収入が計画をやや下回ったが、利益率が改善して営業利益と経常利益は計画超の増益だった。既存店増収、新規出店、PB新商品積極投入、PB商品構成比上昇、客単価上昇、一品単価上昇、売上総利益率上昇、販管費抑制などが寄与した。店舗外装の変更と分かりやすい売場づくり、商品中心のテレビCMや専門誌への露出など新たなメディア戦略、アウトドアやスポーツなど客層拡大に向けた広告プロモーションの積極展開といった施策も寄与した。

 なお営業総収入の内訳は、加盟店向け商品供給売上高が同2.0%増の297億85百万円、直営店売上高が同6.1%増の66億42百万円、加盟店からの収入が同3.4%増の99億34百万円、その他の営業収入が同4.0%減の32億14百万円だった。既存店売上高は同2.2%増だった。客数は同3.6%減少したが、客単価は2540円で同5.9%増加した。1品単価は945円で59円増加した。

 店舗展開は新規出店18店舗、閉店1店舗、S&B7店舗で、大分県と沖縄県に初出店した。16年3月期末店舗数はFC店が同12店舗増加の653店舗、直営店業務委託店舗が同5店舗増加の82店舗、直営店トレーニング・ストアが同横ばいの31店舗、総合計が同17店舗増加の766店舗、FC比率は同0.4ポイント低下して85.2%となった。

 PB商品は513アイテムを展開し、PB商品売上高は同26.4%増の145億81百万円、チェーン全店売上高に対するPB商品構成比は同3.8ポイント上昇して20.5%となった。運営形態別売上高はFCが同3.0%増の648億22百万円でチェーン全店売上高構成比90.7%、直営店が同6.1%増の66億42百万円でチェーン全店売上高構成比9.3%、年商1億円達成店舗数は同15店舗減少の328店舗だった。

 加盟店向け商品供給売上高除く売上総利益率は60.6%で同1.7ポイント上昇、営業総利益率は34.7%で同0.3ポイント上昇、販管費比率は16.9%で同0.3ポイント低下、ROEは13.5%で同0.5ポイント低下、自己資本比率は79.3%で同1.8ポイント上昇した。

 四半期別の推移は、チェーン全店売上高が第1四半期(4~6月)181億27百万円、第2四半期(7~9月)161億56百万円、第3四半期(10~12月)211億46百万円、第4四半期(1~3月)160億36百万円、営業総収入が第1四半期126億71百万円、第2四半期109億75百万円、第3四半期149億83百万円、第4四半期109億48百万円、営業利益が第1四半期22億35百万円、第2四半期18億30百万円、第3四半期30億96百万円、第4四半期16億46百万円だった。

■17年3月期も増収増益で6期連続最高純益予想

 今期(17年3月期)の非連結業績予想(4月28日公表)については、チェーン全店売上高が前期(16年3月期)比4.5%増の746億70百万円、営業総収入が同4.7%増の519億10百万円、営業利益が同5.4%増の92億70百万円、経常利益が同5.1%増の104億50百万円、純利益が同7.0%増の66億60百万円としている。6期連続の最高純益更新見込みだ。

 配当予想は年間46円(期末一括)で予想配当性向は28.1%となる。16年4月1日付株式2分割を考慮して前期の年間92円を46円に換算すると、実質的に前期と同額となる。

 既存店の好調、新規出店、競争力のあるPB新商品の積極投入、PB商品売上構成比上昇による粗利益率上昇などで増収増益予想だ。店舗展開は新規出店が関東・近畿地方を中心に30店舗、閉店が1店舗、S&Bが5店舗、期末総店舗数が同29店舗増加の795店舗(うちFC店672店舗、FC比率85%)の計画だ。

 既存店売上高は同2.6%増(客数が同0.5%増前後、客単価が同2.0%前後)、PB商品売上高は同30.3%増の190億円、PB商品売上構成比は同4.5ポイント上昇の25.0%、販管費は同9.4%増の91億57百万円の計画としている。

 店舗展開ではドミナントエリア化の推進を図るとともに、土地リース契約主体で出店速度のアップを推進する。また個店売上向上に向けてワークマンプラス・プロジェクトを推進し、アウトドア・スポーツ向けに加え、働く女性向けアイテムの展開や地域特性を生かした売場づくりで客層拡大に取り組む。商品戦略面ではPB商品「WORKMAN BEST」の開発で他社との差別化を図る。

 PB比率30%と1000店舗体制に向けて、物流と発注システムを強化する。17年2月には新伊勢崎流通センターが稼働予定で、出荷精度の向上と在庫管理の効率化を図る。過去の販売データを基に発注推奨値をSKU単位で算出する店舗型需要予測発注システムは18年3月期本格導入を目指す。

 なお月次売上高(FC店と直営店の店舗売上高合計、前年比速報値)を見ると、16年5月は全店103.8%、既存店102.7%で、既存店は5ヶ月連続のプラスだった。全国的に気温の高い日が多かったことで接触冷感・吸汗速乾で低価格の長袖シャツや半袖ポロシャツなどが好調だった。16年5月の新規出店は0店舗、閉店は0店舗で16年5月末店舗数は766店舗である。

■中期成長シナリオに変化なし

 テレビCM放映効果による知名度向上、積極的な新規出店、出店エリアの拡大、ドミナント出店の強化、PB商品力の強化、PB商品売上構成比上昇による売上総利益率改善、アルゴリズム自動選択型需要予測機能を持つ自社開発の発注システムによる発注作業の効率化などの効果で、中期成長シナリオに変化はないだろう。

■株価は煮詰まり感強めてモミ合い上放れ期待

 株価の動き(16年4月1日付で株式2分割)を見ると、3400円~3500円近辺でモミ合う展開だ。6月17日の終値3475円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS163円45銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間46円算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1186円55銭で算出)は2.9倍近辺である。時価総額は約1422億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、一方では13週移動平均線が下値を支えている。煮詰まり感を強めて上放れが期待される。(アナリスト水田雅展)

 

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