【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トレジャー・ファクトリーは高値更新の展開、今期業績と配当の増額を好感、中期成長力も評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 リサイクルショップ運営のトレジャー・ファクトリー<3093>(東1)の株価は、1月5日に2649円を付けて14年10月高値2570円を突破した。さらに今期(15年2月期)業績および配当予想の増額修正を好感して1月14日に2717円まで上値を伸ばした。中期成長力を評価して過熱感を冷ましながら上値追いの展開だろう。

 首都圏を中心に総合リユースショップ(総合業態)や服飾専門リユースショップ(服飾業態)などを直営とFCで展開している。14年11月末時点の店舗数は、直営総合業態50店舗、直営服飾業態23店舗、新業態の古着アウトレット業態1店舗、スポーツ・アウトドア業態1店舗、事業を譲り受けたブランドコレクト業態1店舗、FC総合業態4店舗の合計80店舗である。

 関西圏への新規出店を加速させている。13年5月総合業態の関西1号店・神戸新長田店、13年10月服飾業態の関西1号店・尼崎店、14年3月大阪府初出店となる関西3号店の総合業態・岸和田店、7月大阪2号店となる総合業態・八尾店、11月大阪府3号店となる総合業態・東大阪店をオープンし、関西圏の店舗数は合計5店舗となった。新業態のスポーツ・アウトドア用品専門業態「トレファクスポーツ」は1号店の青葉台店(横浜市)を14年9月にオープンした。

 ネット通販も強化して13年4月に楽天市場へ出店した。新規事業では10年10月からブランドバッグ&ファッションのオンラインレンタルサービス「Cariru」を運営し、14年7月にはマタニティドレスのレンタルサービスも開始した。

 なお14年10月には、ファーストザウェーブ社の「ブランドコレクト」事業を譲り受けた。譲受の内容は「ブランドコレクト」のウェブサイト、フルフィルメントセンター1拠点、ブランドコレクト原宿店1店舗である。ネットでの事業展開を加速するとともに、都心型店舗の新業態を追加してファッションカテゴリーを強化する。

 1月14日発表の今期(15年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比16.8%増の78億03百万円、営業利益が同42.0%増の7億71百万円、経常利益が同41.7%増の7億92百万円、純利益が同40.2%増の4億41百万円だった。

 売上高、利益とも計画を上回り大幅増収増益だった。既存店売上高が前年同期比8.2%増と好調に推移し、7店舗の新規出店も寄与した。差引売上総利益率は66.2%で同0.2ポイント上昇した。仕入面では大口仕入や出張買取の増加で生活家電や家具の在庫を安定的に確保した。販売面では衣料・服飾雑貨や販売単価の高い生活家電・家具が好調で、販売単価の上昇や値引き率の低下も売上総利益率上昇に寄与した。

 通期業績(非連結)見通しは1月14日に増額修正を発表した。前回予想(4月11日公表)に対して、売上高は3億38百万円増額して前期比14.5%増の104億49百万円、営業利益は1億48百万円増額して同25.1%増の8億88百万円、経常利益は1億59百万円増額して同24.9%増の9億12百万円、純利益は73百万円増額して同22.0%増の5億09百万円とした。

 配当予想も1月14日に増額修正した。前回予想(4月11日公表)の年間11円(期末一括)に対して、普通配当3円および東証1部上場記念配当4円の合計7円を増額して年間18円(期末一括)とした。14年9月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前期比8円増配となる。

 テレビCM効果による知名度上昇、新規出店効果、既存店の収益力強化、一般買取や出張買取の強化、ネット事業の強化などで新規出店費用などを吸収して大幅増収増益見通しだ。通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が74.7%、営業利益が86.8%、経常利益が86.9%、純利益が86.6%で、利益進捗率は高水準である。月次売上は好調であり通期利益見通しに再増額の可能性があるだろう。

 なお1月9日発表の月次売上(直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、14年12月は全店114.7%、既存店105.6%だった。既存店は10ヶ月連続の前年比プラスだった。衣料・服飾雑貨や販売単価の高い生活家電・家具の好調が続いている。12月の新規出店は0店舗で、14年12月末時点の店舗数は合計80店舗だった。

 リユース市場は拡大基調であり、中期成長に向けて直営店舗網の拡大や業態の多様化を加速させる方針だ。首都圏や関西圏を中心に年間10店舗程度の新規出店で100店舗体制構築を当面の目標としている。既存店の収益力強化策や新業態・新規事業の積極展開も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

 株主優待制度については毎年2月28日時点の1単元(100株)以上保有株主に対して「トレジャーチケット」を贈呈している。「トレジャーチケット」の内容は「トレジャー・ファクトリーオリジナルクオカード1000円分」、プレゼント抽選券「トレジャーロト」、および当社の店舗および宅配買取サービスで利用できる「買取金額アップクーポン」をセットにしている。

 なお1月14日、15年2月期の株主優待として贈呈する「トレジャーチケット」に付いているプレゼント抽選券「トレジャーロト」の賞品を発表した。1等はJCBギフトカード3万円分を抽選で5名、2等は食事券ジェフグルメカード1万円分を抽選で15名、3等はクオカード3000円分を抽選で30名に贈呈する。

 株価の動き(14年9月1日付で株式2分割、12月5日付で東証マザーズから東証1部へ市場変更)を見ると、年初1月5日に2649円を付けて14年10月高値2570円を突破した。さらに今期業績および配当予想の増額修正を好感して1月14日に2717円まで上値を伸ばした。

 1月16日の終値2700円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS91円60銭で算出)は29~30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS438円36銭で算出)は6.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。指標面の割安感はやや薄れたが、中期成長力を評価して過熱感を冷ましながら上値追いの展開だろう。

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