【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ピックルスコーポレーションは利益確定売り一巡して切り返し、指標面に割安感

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 漬物やキムチ製品の最大手ピックルスコーポレーション<2925>(JQS)の株価は、14年12月の高値1194円から一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。1月16日には1075円まで戻した。利益確定売りが一巡したようだ。指標面に割安感があり、今期(15年2月期)業績増額の可能性も評価して上値追いの展開だろう。

 漬物・浅漬・キムチなど漬物製品の最大手メーカーで、主力の「ご飯がススムキムチ」シリーズのブランド力が大幅に向上して収益力が高まっている。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニエンスストアが主要取引先であり、ブランド力向上と新製品積極投入、成長市場である惣菜製品の強化などを推進している。

 事業エリア拡大や供給能力増強に向けた動きも加速し、中・四国エリアでは広島新工場(ピックルスコーポレーション関西)、北海道エリアでは札幌新工場(ピックルスコーポレーション札幌)が稼動している。

 1月8日に発表した今期(15年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の連結業績は売上高が前年同期比3.8%増の204億40百万円、営業利益が同29.2%増の8億90百万円、経常利益が同18.5%増の9億33百万円、純利益が同19.2%減の3億92百万円だった。

 純利益は子会社ピックルスコーポレーション札幌の旧工場の固定資産減損損失計上で減益だったが、売上面では既存取引先への拡販、新規取引先の開拓、新製品の積極投入などでキムチ製品や惣菜製品の販売が好調に推移した。利益面では、第3四半期(9月~11月)に原料野菜の仕入価格が安定したことも寄与して、大幅営業増益、大幅経常増益だった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(4月15日公表)を据え置いて売上高が前期比6.4%増の273億円、営業利益が同32.5%増の11億30百万円、経常利益が同26.0%増の12億25百万円、純利益が同21.3%増の7億38百万円、配当予想が前期と同額の年間12円(期末一括)としている。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.9%、営業利益が78.8%、経常利益が76.2%、純利益が53.1%で、営業利益と経常利益の進捗率は高水準である。天候不順による原料野菜価格高騰という一過性要因が一巡し、通期営業利益増額の可能性があるだろう。

 キムチ製品や惣菜製品のブランド力向上、全国の製造・販売拠点を活用した営業活動、積極的な広告宣伝・販売促進活動、新製品開発・投入や他の食品メーカーとのコラボレーションなどの効果で、既存取引先への拡販や新規取引先の開拓が進展している。さらに事業エリア拡大と供給能力増強、契約栽培拡大などによる原料野菜の安定調達、原材料購買方法の見直しなどの戦略も着実に推進している。中期的に収益拡大基調だろう。

 なお14年11月実施のTOB(株式公開買付)による自己株式取得によって、第1位株主の東海漬物の保有割合が27.20%に低下して親会社に該当しないこととなった。親会社の経営戦略の影響を受けずに、当社独自の経営判断で企業価値向上を図ることのできる体制を構築する方針だ。

 株価の動きを見ると、急伸した14年12月29日の高値1194円から利益確定売りで一旦反落したが、1月13日の976円から切り返しの動きを強めている。1月16日には1075円まで戻した。第3四半期累計の大幅営業増益を好感し、中期成長力も評価する流れだろう。

 1月16日の終値1064円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS115円54銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1146円90銭で算出)は0.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復した。また週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から反発してサポートラインを確認した形だ。低PERと低PBRで指標面に割安感があり、今期業績増額の可能性も評価して上値追いの展開だろう。

>>ピックルスコーポレーションのMedia-IR企業情報

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