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コラボスは戻り一服だが好業績を評価して出直り、17年3月期も増収増益予想
- 2016/6/21 07:27
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
コラボス<3908>(東マ)は、クラウド型コールセンター・ソリューションのパイオニアで、市場シェアNO.1企業である。需要が高水準で17年3月期も増収増益予想である。クラウド化の流れも背景として中期成長が期待される。株価は戻り一服の形だが、好業績を評価して出直り展開だろう。
■クラウド型コールセンター・ソリューションのNO.1企業
01年10月ITXの子会社として設立、10年7月親会社がITXからオリンパスビジネスクリエイツに異動、11年6月株式公開に向けてMBOを実施、15年3月東証マザーズに新規上場した。
VOIP技術(IPネットワーク上で音声を送受信する通信技術の総称)を利用したクラウド型コールセンター・ソリューションのパイオニアで、シェアNO.1企業である。企業が保有するお客様相談室や製品問い合わせセンターなどのコールセンター向けに、IP電話交換機システムや顧客情報管理(CRM)システムをワンストップクラウドサービスで提供している。
自社内に設備を持って運用するオンプレミス型コールセンターの場合は、システム・機器導入に関する高額な設備投資やシステム運用費用が必要だったが、クラウド型コールセンターでは少ない初期費用と月額料金で運用でき、導入に要する期間短縮や短納期での移転・席数増減にも対応できるというメリットがある。このためコールセンターシステムの自社内オンプレミス型からクラウドサービス利用へとシフトする企業が増加している。
当社のワンストップクラウド型サービスは、200席超の大規模コールセンターから5席前後の小規模コールセンターまで、大手テレマーケティング会社を含めて規模を問わず豊富な導入実績(約300社4000席の稼働実績)を持ち、クラウド型コールセンターサービス(音声系プラットフォーム)市場シェア1位である。経済性と高機能性の両立が評価されて顧客数は増加基調である。
■ワンストップサービスを提供
サービスラインナップは、クラウド型で提供される電話交換機システムおよび顧客情報管理(CRM)システムで構成され、顧客情報自動検索や自動発信・自動登録などの機能で連携している。コールセンターの規模、インバウンド(受信)やアウトバウンド(発信)などの顧客ニーズに合わせて、最適な組み合わせのサービスを提案し、ワンストップサービスを提供できることが強みだ。
主力の「@nyplace(エニプレイス)」は米AVAYA社製のIP電話交換機システムをクラウドで提供するインバウンド向けサービスだ。小規模コールセンター向け「COLLABOS PHONE」は当社オリジナルのソフトフォン型電話交換機能をクラウドで提供している。コールセンターに特化した機能構成の「COLLABOS CRM」はインバウンド業務に適した顧客情報管理システム(アプリケーション)である。発信リスト作成や自動架電・クリック架電機能などを備えた「COLLABOS CRM Outbound Edition」はアウトバウンド業務に適した顧客情報管理システム(アプリケーション)である。
なお6月7日にはニューフォリアと共同で、当社の「COLLABOS PHONE」とiOS/Androidアプリケーション間の通話を可能にするWebRTC技術を活用したSDK「COLLABOS SDK(仮称)」を開発したと発表している。実証実験を行ったうえで製品提供を開始する。
また6月7日にはリアルワールド<3691>と連携し、当社のクラウド型コールセンターシステムとリアルワールドの「CROWD(クラウド)」会員による在宅コールセンター事業の実証実験(在宅での営業代行やアンケート回収などのアウトバウンドコール業務)を開始したと発表している。
■海外展開を開始、第一ステップとしてフィリピンに進出
海外展開についてはアジアを戦略的重点地域と位置付け、ASEAN人口の約7割を占めるVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)をターゲットに定めている。
そして海外展開の第一ステップとして、フィリピンにおける当社サービスの現地市場参入および顧客アカウント獲得を目的として、16年2月にXOE社を海外パートナーとするINTERNATIONAL RESELLER AGREEMENTを締結した。XOE社との協業でフィリピン市場での実績を積み上げ、各国への事業展開を加速させる方針だ。
■月額利用料金課金のストック型ビジネスモデル
収益は月額利用料金課金型で、利用コールセンター席数、利用チャネル数(同時回線接続数)、利用ID数、オプション機能追加などによって月額利用料が変動する。契約数の増加で収益が積み上がるストック型のビジネスモデルで、3年以上の長期利用顧客が全体の約5割を占めている。
15年3月期の業種別売上高構成比はサービスが54%、製造が14%、流通が10%、情報・通信が16%、金融が5%などとなっている。各サービスとも利用企業数が増加基調で席数、チャネル数、ID数は過去最高だった。
15年3月期の売上総利益率は40.4%で14年3月期比1.0ポイント上昇、販管費比率は26.5%で同2.2ポイント低下した。ストック型ビジネスモデルで利益率も上昇傾向だ。ROEは同4.3ポイント低下して15.6%、自己資本比率は同11.8ポイント上昇して74.9%となった。
■16年3月期は計画超の大幅増収増益
前期(16年3月期)の非連結業績は、売上高が前々期比12.1%増の16億61百万円、営業利益が同22.0%増の2億51百万円、経常利益が同44.3%増の2億53百万円、純利益が同54.2%増の1億65百万円だった。主力の電話交換機システム「@nyplace」を中心に各システムが順調に伸長して計画超の大幅増収増益だった。配当は無配を継続した。
サービス別には、電話交換機システム「@nyplace」のコールセンター利用平均席数が同786席増加の5233席、売上高が同13.3%増の12億91百万円、ソフトフォン型「COLLABOS PHONE」の平均利用チャネル数が同90チャネル増加の625チャネル、売上高が同20.1%増の1億06百万円、インバウンド業務の顧客情報管理システム「COLLABOS CRM」の平均利用ID数が同261ID増加の2559ID、売上高が同0.1%増の1億88百万円、アウトバウンド業務の顧客情報管理システム「COLLABOS CRM Outbound Edition」の平均利用ID数が同137ID増加の552ID、売上高が同23.6%増の43百万円となった。
利益面では各サービスにおける回線料、ネットワーク機器等の設備保守費用、ソフトウェアおよびハードウェアの償却費などで売上原価が増加し、販管費では人件費などが増加したが増収効果で吸収した。売上総利益は同18.0%増加し、売上総利益率は42.5%で同2.1ポイント上昇した。販管費は同15.9%増加し、販管費比率は27.4%で同0.9ポイント上昇した。営業外費用では前々期計上の株式公開費用21百万円および株式交付費7百万円が一巡した。ROEは16.7%で同1.1ポイント上昇、自己資本比率は72.3%で同2.6ポイント低下した。
四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4~6月)3億83百万円、第2四半期(7~9月)3億90百万円、第3四半期(10~12月)4億24百万円、第4四半期(1~3月)4億64百万円、営業利益は第1四半期55百万円、第2四半期58百万円、第3四半期81百万円、57百万円だった。
■17年3月期も増収増益予想、配当は未定
今期(17年3月期)非連結業績予想(5月6日公表)は売上高が前期(16年3月期)比10.1%増の18億30百万円、営業利益が同11.5%増の2億80百万円、経常利益が同8.5%増の2億75百万円、純利益が同12.1%増の1億85百万円としている。配当予想は未定としている。
各サービスとも順調に推移して増収増益予想である。各種サービスにおける既存顧客の継続利用による売上高を基礎としたうえで、顧客ニーズへの対応力強化、既存顧客との関係強化、国内外におけるパートナー戦略による販路拡大に取り組むとしている。
■中期成長に向けて顧客基盤拡大や新サービス創出を推進
早期に東証1部への市場変更が可能な利益水準を目指し、中期成長戦略として顧客基盤拡大に向けた販売力強化・販路拡大、新たな付加価値の提供に向けた新サービス・商品の創出加速、安定事業創出に向けた経営基盤強化を掲げている。M&A・アライアンス戦略や東南アジア地域を中心とする海外展開も推進する方針だ。
国内販路拡大では関西圏でのシェア拡大を狙い、関西を地盤とするSIerとの協力体制を強化する。アライアンス戦略による新サービス創出では15年12月、クラウド形式でのデータマイニング・データ解析サービスに強みを持つアイズファクトリーと業務提携した。既存パートナーとの協力体制強化および海外展開では、アウトソーシングビジネス大手のトランス・コスモス<9715>のフィリピン拠点に新規導入した。また海外顧客向けサーバーを15年12月末に構築した。
マーケティング手法の多様化やコスト低減のニーズも背景として、自社内オンプレミス型コールセンターから、低コストで拡張性や柔軟性も高いクラウド型コールセンターへのシフトが加速すると予想されている。サービス提案力やワンストップサービスの強み、市場シェアNO.1の実績も武器として契約数の増加が期待され、中期的に収益拡大基調だろう。
■株価は戻り一服だが、好業績を評価して出直り
株価の動きを見ると、6月8日に5080円まで上伸する場面があったが、5月の年初来高値5300円に届かず、急反落して戻り一服の形となった。
6月20日の終値3900円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS262円23銭で算出)は14~15倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1518円55銭で算出)は2.6倍近辺である。時価総額は約28億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。好業績を評価して出直り展開だろう。
(アナリスト水田雅展)