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うかいは年初来高値圏で堅調、17年3月期大幅増益・増配予想
- 2016/6/22 07:37
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
うかい<7621>(JQS)は飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。17年3月期は箱根大涌谷周辺の火山活動の影響が一巡し、飲食事業の既存店売上も堅調に推移して大幅増益・増配予想である。17年春には東京・大手町への新規出店を予定している。株価は年初来高値圏で堅調に推移している。9月末の株主優待権利取りに向けて15年6月高値も視野に入りそうだ。
■高級和食・洋食料理店が主力
飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。16年3月期の売上構成比は飲食事業92%(和食47%、洋食43%、物販2%)、文化事業8%だった。
新たな成長ステージに向けた事業戦略として、商圏1万キロに向けたブランド構築、新業態の定着と新規出店、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の本格稼働、和食店のお土産品強化、物販における販路開拓、海外へのブランド発信、海外企業との業務提携などを推進している。
14年4月には国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(割烹うかい)」をオープンした。15年4月には焼菓子製造に特化した「アトリエうかい八王子工房」を新設して品質向上・量産可能な体制を整えた。
15年9月~12月には期間限定でJR東日本・品川駅構内の商業施設「エキュート品川」に洋菓子店「アトリエうかい」を出店した。これまで「アトリエうかい」店舗とグループ洋食各店舗で商品を販売してきたが、神奈川県横浜市の直営店舗以外で初めての出店だった。
15年11月には全日本空輸(ANA)とのコラボレーションで、ANA国際線(台湾発日本路線)ビジネスクラスの機内食サービスに「とうふ屋うかい」監修のスペシャルメニューを、16年1月・4月・10月の期間限定で提供すると発表した。
海外については13年5月、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定した。16年オープンに向けて準備を進めている。
■17年春、東京・大手町に新規出店予定
16年2月には東京都千代田区大手町に新規出店すると発表した。予定出店面積48.1坪(159.0㎡)で営業開始時期17年春予定としている。
■中期経営計画で18年3月期営業利益6億46百万円目標
中期経営計画では18年3月期売上高129億51百万円、営業利益6億46百万円を目標値として掲げ、ブランド認知度の向上、圏央道相模原愛川IC~高尾山IC間開通に伴う商圏拡大などに取り組んでいる。訪日外国人旅行客のインバウンド需要や和食ブームも追い風となる。
■第3四半期の構成比が高い収益構造
15年3月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億66百万円、第2四半期(7月~9月)29億30百万円、第3四半期(10月~12月)34億99百万円、第4四半期(1月~3月)27億39百万円で、営業利益は第1四半期84百万円、第2四半期1億23百万円の赤字、第3四半期3億80百万円、第4四半期85百万円の赤字だった。
第3四半期の構成比が高い収益構造である。15年3月期のROEは0.6%で14年3月期比5.4ポイント低下、自己資本比率は41.7%で同0.5ポイント上昇した。配当性向は273.7%だった。また15年3月期末の有利子負債売上高比率は31.6%まで改善して目標を達成した。
■16年3月期は箱根火山活動活発化の影響で減収減益だが飲食事業は堅調
前期(16年3月期)非連結業績は売上高が前々期(15年3月期)比1.3%減の120億71百万円、営業利益が同35.6%減の1億65百万円、経常利益が同31.1%減の1億28百万円、純利益が1億29百万円の赤字(前々期は28百万円の黒字)だった。文化事業が箱根大涌谷周辺の火山活動活発化の影響を受け、箱根ガラスの森の来館客数が大幅に減少したため全体として減収減益だった。純利益は特別損失に減損損失を計上したことも影響した。
売上総利益は同2.4%減少し、売上総利益率は53.1%で同0.6ポイント低下した。販管費は同1.1%減少し、販管費比率は51.7%で同0.1ポイント低下した。特別損失では減損損失1億76百万円を計上した。配当は前々期と同額の年間15円(期末一括)とした。なおROEはマイナス2.8%で同3.4ポイント低下、自己資本比率は43.2%で同1.5ポイント上昇した。
セグメント別の動向を見ると、飲食事業は売上高が同0.5%増の111億12百万円(和食が同1.2%減の57億06百万円、洋食が同0.7%増の52億08百万円、物販が同84.1%増の1億97百万円)で、営業利益(連結調整前)が同11.1%減の11億92百万円だった。一部店舗における定休日導入に伴う来店客数減少、施設改修に伴う店舗稼働率低下の影響で計画をやや下回ったが、インバウンド需要増加、14年4月開業「銀座kappou ukai」のブランド認知向上、製菓新商品や期間限定ショップ展開の効果などで概ね堅調に推移した。既存店売上高は100.4%だった。
文化事業は売上高が同18.4%減の9億59百万円で、営業利益が76百万円の赤字(前々期は19百万円の黒字)だった。箱根大涌谷周辺の火山活動活発化(噴火警戒レベル3)の影響を受け、箱根ガラスの森の来館客数が大幅に減少した。ただし15年11月に噴火警戒レベルが1へ引き下げられたことに伴い、来館客数は回復基調のようだ。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億36百万円、第2四半期(7月~9月)28億71百万円、第3四半期(10月~12月)34億40百万円、第4四半期(1月~3月)27億24百万円、営業利益は第1四半期67百万円、第2四半期77百万円の赤字、第3四半期2億95百万円、第4四半期1億20百万円の赤字だった。
■17年3月期は火山活動活発化の影響一巡などで大幅増益・増配予想
今期(17年3月期)の非連結業績予想(5月19日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比3.8%増の125億38百万円、営業利益が同2.7倍の4億46百万円、経常利益が同3.2倍の4億09百万円、純利益が2億34百万円の黒字(前期は1億29百万円の赤字)としている。配当予想は前期比3円増配の年間18円(期末一括)で予想配当性向は39.7%となる。
飲食事業で既存店が堅調に推移し、文化事業では箱根大涌谷周辺の火山活動活発化の影響が一巡する。純利益は減損損失一巡も寄与する。東京・大手町への新規出店準備費用の発生が予想されるが、経費増加などを吸収して増収増益基調だろう。
なお飲食事業の月次売上(アトリエうかいの店頭販売含む)は、全店売上(既存店も同じ)は16年4月102.4%、5月98.4%だった。客数は15年10月から8ヶ月連続減少だが、客単価は15年5月から13ヶ月連続上昇である。
■株主優待制度は毎年9月末に実施
株主優待制度については14年5月に実施時期変更を発表し、毎年3月期末から毎年9月中間期末に変更して14年9月末から実施した。
また15年11月に優待内容の一部変更を発表した。変更前の「株主様お食事優待券」を変更後の「株主様ご優待券」として、利用可能店舗に「アトリエうかい」を追加し、優待内容を「利用可能店舗におけるご飲食代のご優待」から「利用可能店舗におけるご利用代のご優待券」に変更した。15年9月末現在の株主から実施した。
この結果、変更後の優待内容は、(1)100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主様限定お食事付ご入場招待券5枚(1万5000円相当)、(2)所有株式数に応じた「株主様ご優待券」または「うかい特選牛」となった。
■株価は年初来高値圏で堅調、15年6月高値も視野
株価の動きを見ると年初来高値圏で堅調に推移している。6月13日には年初来高値となる2830円まで上伸した。
6月21日の終値2820円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS45円34銭で算出)は62倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS887円53銭で算出)は3.2倍近辺である。時価総額は約147億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートして強基調だ。好業績を評価して続伸展開だろう。9月末の株主優待権利取りに向けて15年6月高値3220円も視野に入りそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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