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トシン・グループは16年5月期増益・増配予想、株主還元姿勢や割安感を見直し
- 2016/6/22 07:22
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トシン・グループ<2761>(JQS)は首都圏中心に電設資材などの卸売事業を展開し、営業拠点網拡充などで事業基盤を強化している。16年5月20日期は増益・増配予想で、17年5月20日期も堅調な推移が期待される。株価は安値圏だが長期調整のほぼ最終局面だろう。増配や継続的な自己株式取得という積極的な株主還元姿勢、さらに指標面の割安感も見直して反発が期待される。
■首都圏中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開
首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。
取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進している。15年1月に小山営業所、15年6月に佐野営業所、16年2月に橋本営業所、16年3月にひたちなか営業所、16年4月に船橋営業所を開設した。
■新設住宅着工戸数など建設関連投資が影響
15年5月20日期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(5月21日~8月20日)110億05百万円、第2四半期(8月21日~11月20日)115億38百万円、第3四半期(11月21日~2月20日)106億94百万円、第4四半期(2月21日~5月20日)120億34百万円で、営業利益は第1四半期4億81百万円、第2四半期6億円、第3四半期5億55百万円、第4四半期5億88百万円だった。
新設住宅着工戸数など建設関連投資の動向が影響し、第4四半期の構成比が高い収益構造である。15年5月20日期の売上総利益率は20.4%で14年5月20日期比横ばい、販管費比率は15.5%で同0.8ポイント上昇、ROEは5.8%で同0.7ポイント低下、自己資本比率は79.6%で同2.3ポイント低下した。
配当性向は25.2%だった。利益還元については、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保する一方で、財務状況、利益水準、配当性向などを総合的に勘案して、前年実績を下回らない安定した配当を実施することを基本方針としている。
■16年5月20日期第3四半期累計は営業微減益だが売上総利益率は上昇
前期(16年5月20日期)第3四半期累計(5月21日~2月20日)連結業績は、売上高が前年同期比2.7%減の323億41百万円、営業利益が同1.5%減の16億12百万円、経常利益が同2.2%増の23億05百万円、そして純利益が同1.0%増の13億55百万円だった。
新設住宅着工戸数の回復力が鈍く、販売価格下落なども影響して微減収、営業微減益だった。ただし売上総利益率は20.8%で同0.3ポイント上昇した。販管費比率は15.9%で同0.3ポイント低下した。特別損失では減損損失21百万円を計上した。なお毎年恒例の「秋の展示会」を「ジャンボ夏まつり」として、分散開催からグループ全営業所合同開催に変更して8月末日に開催した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(5月21日~8月20日)108億09百万円、第2四半期(8月21日~11月20日)115億27百万円、第3四半期(11月21日~2月20日)100億05百万円、営業利益は第1四半期5億75百万円、第2四半期5億88百万円、第3四半期4億49百万円だった。
■16年5月20日期は増益・増配予想
前期(16年5月20日期)通期の連結業績予想(7月3日公表)は、売上高が前々期(15年5月20日期)比0.1%増の453億円、営業利益が同3.9%増の23億10百万円、経常利益が同2.7%増の32億20百万円、そして純利益が同2.0%増の18億80百万円としている。円安に伴う原材料価格の上昇など厳しい事業環境が続くとして微増収・微増益の会社予想である。
配当予想(5月10日に増額修正)は期末に創業70周年記念配当2円を実施して年間54円(第2四半期末26円、期末28円=普通配当26円+記念配当2円)としている。前期との比較では2円増配で、予想配当性向は25.5%となる。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.4%、営業利益が69.8%、経常利益が71.6%、純利益が72.1%である。やや低水準の形だが、新設住宅着工戸数など建設関連投資の動向が影響し、第4四半期の構成比がやや高い収益構造であることを考慮すれば通期会社予想は達成可能だろう。
営業拠点網の拡充、新規得意先の獲得と既存得意先の深掘りによる実売軒数の増加、小口多数販売の強化、当社独自の得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした戦略を推進し、今期(17年5月20日期)も堅調な推移が期待される。
■自己株式取得で積極株主還元
自己株式取得を継続的に実施して株主還元姿勢を積極化している。なお15年8月17日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限50万株、取得価額総額の上限15億円、取得期間15年8月18日~16年7月31日)については、16年5月31日時点の累計で、取得株式総数8万3300株、取得価額総額1億9151万8500円となっている。
■株価は安値圏だが反発期待
株価の動きを見ると、6月17日に年初来安値となる2002円まで調整する場面があった。地合い悪化も影響したようだ。その後は切り返しの動きを強めている。
6月21日の終値2059円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS211円53銭で算出)は9~10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間54円で算出)は2.6%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS3671円89銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約235億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、12年9月以来の安値圏で長期調整のほぼ最終局面だろう。増配や継続的な自己株式取得という積極的な株主還元姿勢、さらに指標面の割安感も見直して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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