平山は外国人技能実習生の受け入れ拡大に伴い、サポート体制を充実

■入職して1カ月から3カ月以内の実習生ほぼ全員に対面カウンセリングを実施

 平山<7781>(JQS)は、外国人技能実習生の受け入れ拡大に伴い、サポート体制の充実を図っている。

 既存の外国人従業員の協力を仰ぎながら、入職して1カ月から3カ月以内の実習生ほぼ全員に不満や悩みがないか対面カウンセリングを実施、地域とのトラブルを避けるために交通や生活ルールの周知を来日直後から促し、実習生が孤立しないための社内コミュニティの活性化に取り組んでいる。

 人手不足を補うための法改正により実習生の対象職種が次々と拡大され、その人数は増加しているが、実習期間中に失踪となるケースも急増し、社会問題化している。法務省入国管理局によると、実習生の新たな不法在留者数は2014年の2830人から2015年は4679人へと大幅に増大している。

 当社の場合は、2005年より、96人に上る実習生を受け入れており、昨年は職種拡大された惣菜加工に新たに24人の実習生を迎えたが、これまでほぼ全員が脱落することなく、研修期間を満了している。

■日常生活に不可欠な情報を来日直後から適切に伝える

 手順書や安全衛生に関わる情報は必ず母国語に翻訳し、入職から数カ月は通訳が付いてOJTで学ぶのはもちろん、警察官を招いての交通安全講習やゴミの出し方など、日常生活に不可欠な情報を来日直後から適切に伝えている。

 さらに入社後1カ月から3カ月以内に行うカウンセリング活動により、職場や生活の不満や不安の解消に努めている。現在、惣菜加工の業務にフィリピンなどから44名、半自動溶接の業務にベトナムから26名の実習生を受け入れており、英語でのカウンセリング実施や母国語の通訳を用意するなどし、来日まもない実習生たちが問題を抱えていないか各事業所専属のカウンセラーが聞き取っている。例えば実習生の多くが心の支えとしている家族との連絡がインターネットの設備が不十分で難しいと聞けば、カウンセラーが仲立ちとなってWiFi環境を整備し、ホームシックを和らげるように努めている。また、日本語学習に意欲があると聞けば、地域のボランティアが開催している日本語教室を紹介し、実習生の向学心を満たしながら地域とのつながりを築くきっかけをつくっている。

 外国人技能実習制度が抱える問題のひとつに、予期しない減産などにより研修先を失うと期限より前に実習生が帰国せざるを得なくなることがある。しかし、当社は全国に製造請負の拠点があるため、別の生産工場に移籍すれば滞在を継続することができる。千葉の溶接工場で1年ほど実習していたベトナム人5名が仕事を失った際も、群馬の溶接工場に移籍して3年間の実習を終えることができている。

■採用時には当社の担当者も現地に赴き、送り出し機関とも連携を取る

 さらに採用時にはなるべく当社の担当者も現地に赴き、送り出し機関とも連携を取りながら、必ず住居まで赴いて家族構成などを確認している。本人の意志だけでなく生育環境も把握することで、受け入れる職種と人材のミスマッチを防いでいる。この採用時の調査はすでに当社で働いている外国人社員のアドバイスによるもの。人口減少著しい日本のモノづくりの現場は、以前から多くの外国人によって支えられている。当社が請け負っている食品工場のひとつでも従業員の約8割、81名の外国人を採用している。なかには正社員として入社して勤続10年、製造ラインのリーダーを任されている者もいる。そうした先輩達が母国からやってくる実習生のケアを積極的に行っている。

 実習生受け入れ成功をふまえ、本年度中は100名をベトナムとフィリピンから招く予定。今後も外国人材活用の経験を生かした組織的かつ丁寧なケアを実施する一方、帰国後の実習生がより好条件な仕事が得られる支援をスタートさせていく。すでにベトナム、タイの現地法人を核に東南アジア諸国での人材派遣、コンサルティング事業を拡大しており、帰国後の就職支援が実現できる体制づくりを急いでいる。

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