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キーコーヒーはモミ合い上放れ期待、17年3月期2桁増益・増配予想
- 2016/6/24 08:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
キーコーヒー<2594>(東1)はレギュラーコーヒーの大手である。パッケージカフェ「KEYS CAFE」など新事業領域開拓で業容を拡大し、17年3月期2桁増益・増配予想である。株価は安値圏でモミ合う展開だが徐々に下値を切り上げている。煮詰まり感を強めてモミ合い上放れの展開が期待される。
■コーヒー関連事業を主力として飲食関連事業も展開
コーヒー関連事業(業務用・家庭用レギュラーコーヒーの製造・販売)を主力として、飲食関連事業(イタリアントマト、アマンド)も展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、コーヒー関連事業が86%、飲食関連事業が8%、その他(ニック食品、honu加藤珈琲店など)が6%だった。
ブランド力強化、収益力強化、グループ連携強化を柱として、新商品の開発・投入、新たな事業領域の開拓を積極推進している。
イタリアントマトは「国内は充実、海外は拡大」という基本方針で、新業態店舗開発を促進している。16年3月期末店舗数は直営56店舗、FC214店舗の合計270店舗だった。効率的な生産・供給体制を構築するため、首都圏の3工場を集約した東京工場グランデを14年11月に竣工した。海外は中国やASEAN地域へ積極展開している。
■新事業領域を開拓して業容拡大
M&Aも活用して積極的な業容拡大戦略を推進している。13年1月銀座ルノアール<9853>を持分法適用会社化、14年2月ネット通販事業拡大に向けてコーヒー豆焙煎加工販売のhonu加藤珈琲店を子会社化、14年9月世界有数のコーヒーメーカーであるillycaffe S.p.A(イタリア)と、illyブランドのレギュラーコーヒー製品全般について日本国内での独占販売契約を締結した。
15年4月にはスマホ向けアプリ「キーコーヒー ファンクラブ」を公開した。直営ショップ、KEYCOFFEE通販倶楽部、アマンド、ミヤマ珈琲など、各ブランドからのお得な情報、アプリ会員限定クーポン、おいしいコーヒーの入れ方など利用目的に応じて便利に使えるアプリだ。
15年4月には、世界的なコーヒー関連事業における非営利研究機関であるワールド・コーヒー・リサーチ(本拠・米国テキサス州)の日本初のゴールドメンバーとして、同団体が取り組む国際品種栽培試験(IMLVT)活動に協力を開始した。
■パッケージカフェ「KEYS CAFE」の出店を加速
新規事業領域としてパッケージカフェ「KEYS CAFE」の出店を加速している。
15年10月「KEYS CAFE」北陸地方初出店となる「Fukui Shinbo KEYS CAFE」が福井県福井市のショッピングセンター「ワイプラザ福井店」に、16年2月「KEYS CAFE」東海エリア高速道路パーキングエリア初出店となる「Kariya KEYS CAFE」が愛知県刈谷市の刈谷ハイウェイオアシス下りパーキングエリア近鉄パークハウス内にオープンした。
16年3月「KEYS CAFE」全国初の駅構内出店店舗となる「Ouji KEYS CAFE」が東京都北区の東京メトロ南北線王子駅構内の王子Metropia(メトロピア)に、また「KEYS CAFE」ホテル内初出店店舗となる「Akasaka KEYS CAFE」が東京都港区のファーストキャビン赤坂にオープンした。
16年6月には「KEYS CAFE」静岡県初出店店舗となる「Shizuoka KEYS CAFE」が静岡県静岡市のJR静岡駅前にオープンした。
■コーヒー生豆相場の影響を受ける収益構造、贈答用需要なども影響
15年3月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期138億78百万円、第2四半期136億77百万円、第3四半期152億55百万円、第4四半期135億13百万円、営業利益は第1四半期4億81百万円、第2四半期2億69百万円、第3四半期5億34百万円、第4四半期4億39百万円の赤字だった。
原料のコーヒー生豆相場の影響を受ける収益構造で、天候や贈答用需要なども影響する。15年3月期の売上総利益率は28.6%で14年3月期比1.6ポイント低下、販管費比率は27.1%で同0.2ポイント低下した。ROEは2.3%で同0.7ポイント低下、自己資本比率は72.3%で同1.2ポイント低下した。配当性向は44.9%だった。
■16年3月期は2桁営業増益で増配
前期(16年3月期)の連結業績は前々期(15年3月期)比15.2%増収、同24.6%営業増益、同1.1%経常減益、同7.0%最終減益だった。コーヒー関連事業が好調に推移して2桁増収・営業増益だった。
売上総利益は同2.3%増加したが、売上総利益率は25.4%で同3.2ポイント低下した。ただし販管費は同1.3%増加にとどまり、販管費比率は23.8%で同3.3ポイント低下した。営業外収益では受取配当金が減少(前々期3億27百万円、前期1億84百万円)した。特別損失では減損損失が増加(前々期2億25百万円、前期2億88百万円)した。ROEは2.1%で同0.2ポイント低下、自己資本比率は72.0%で同0.3ポイント低下した。配当は同1円増配の年間17円(第2四半期末8円、期末9円)で配当性向は50.8%だった。
セグメント別に見ると、コーヒー関連事業は売上高が同20.5%増の559億61百万円、営業利益(連結調整前)が同11.1%増の16億58百万円だった。新商品投入などが奏功して業務用・家庭用・原料用とも増収だった。特に原料用が大幅伸長した。本格的なコーヒーを提供するパッケージカフェ「KEYS CAFE」は20店舗を出店し、導入店舗は39店舗となった。
飲食関連事業は、売上高が同12.3%減の51億01百万円、営業利益が1億29百万円の赤字(前々期は1億74百万円の赤字)だった。イタリアントマトにおける不採算店整理などで2桁減収だが、不採算店減少、付加価値の高いメニューの投入などで営業赤字が縮小した。イタリアントマトの期末店舗数は直営56店舗、FC214店舗の合計270店舗となった。その他(ニック食品、honu加藤珈琲店など)は売上高が同5.1%減の38億43百万円で、営業利益が同2.8%増の1億50百万円だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期160億94百万円、第2四半期166億58百万円、第3四半期174億84百万円、第4四半期146億70百万円、営業利益は第1四半期6億65百万円、第2四半期1億10百万円、第3四半期8億82百万円、第4四半期6億03百万円の赤字だった。
■17年3月期も2桁増益・増配予想
今期(17年3月期)の連結業績予想(5月13日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比0.1%増の650億円、営業利益が同23.3%増の13億円、経常利益が同13.6%増の15億60百万円、そして純利益が同33.0%増の10億円としている。配当予想は同1円増配の年間18円(第2四半期末9円、期末9円)で予想配当性向は40.0%となる。
天候やコーヒー生豆相場の動向で収益が変動しやすく、消費増税にも不透明感が強いが、企画提案型営業の強化、生活者に対するブランド訴求、積極的な新商品の開発・市場投入、高付加価値商品の拡販、CVS向けカウンターコーヒーの進捗、最適製造体制の確立、生産効率化、コスト低減などに取り組み、2桁増益・増配予想としている。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回実施
株主優待制度については、毎年3月末日および9月末日現在の100株以上所有株主に対して自社製品詰め合わせを贈呈している。100株以上~300株未満所有株主に対しては1000円相当、300株以上~1000株未満所有株主に対しては3000円相当、1000株以上所有株主に対しては5000円相当を贈呈する。
■株価はモミ合い上放れ期待
株価の動きを見ると、安値圏1800円~1900円近辺でモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げて煮詰まり感も強めている。
6月23日の終値1844円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円98銭で算出)は40~41倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1568円19銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約418億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。煮詰まり感を強めてモミ合い上放れの展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)