電算システムは調整一巡して反発期待、16年12月期増収増益・連続増配予想

 電算システム<3630>(東1)は情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開し、クラウドサービスや収納代行サービスの海外展開も強化している。16年12月期は不採算案件の一巡や収納代行サービスの伸長で増収増益・連続増配予想である。株価は地合い悪化も影響して安値圏だが、調整一巡して反発が期待される。

■情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開

 情報サービス事業(SI・ソフト開発、情報処理サービス、商品販売)と、収納代行サービス事業(コンビニ収納代行、郵便振替決済代行、ネットショッピング決済、電子マネー決済など)を展開し、クラウドサービスや電子マネーなどへの対応を強化している。

 15年12月期の売上高構成比は情報サービス事業52.2%(SI・ソフト開発31.3%、情報処理サービス15.7%、商品販売5.2%)、収納代行サービス47.8%、営業利益構成比(連結調整前)は情報サービス事業47.1%、収納代行サービス52.9%だった。

■IT企業として初めて収納代行サービスを開始

 収納代行サービスは97年にIT企業として初めて、コンビニエンスストアを利用した料金支払(収納代行)サービスを開始した。現在は総合決済サービスプロバイダーとして全国7万以上のコンビニエンスストアおよび郵便局でサービスを提供し、年間取扱件数は1億45百万件に達している。

 11年には国際送金サービス事業のグローバルリーダーである米国ウエスタンユニオンの代理店となり、大手コンビニエンスストアのマルチメディア端末を利用したコンビニ・ウエスタンユニオン国際送金サービスを展開している。16年2月には当社、米国ウエスタンユニオン、およびサークルKサンクスの3社が、マルチメディア端末「Kステーション」が設置されている全国のサークルKとサンクス約6300店において、米国ウエスタンユニオンの世界各国の提携拠点に送金が可能な国際送金サービスを開始した。

 16年3月には、フィリピン最大の電力会社メラルコ(MERALCO)グループでフィリピン最大手の収納代行窓口企業であるシーアイエスバヤドセンター(CBCI)と、収納代行サービス事業に関する合意覚書を締結した。日本で提供している収納窓口サービス(当社商品サービス名:ビズエージェントBiz@gent)を、フィリピン国内の小売業店舗で収納代行の取り扱いができるように、専用ソフトウェアとして開発し、両社共同でフィリピン国内の小売業店舗の開拓を推進する。当社にとって最初の海外展開となる。

■中期成長に向けてM&A・アライアンス戦略も推進

 中期成長に向けてM&A・アライアンス戦略も推進している。13年10月にはNTTドコモ<9437>と業務提携した。14年9月にはガーデンネットワークを子会社化した。全国約2000ヶ所のガソリンスタンド向けに勘定系システムや情報系システムを提供し、当社と商圏が競合していないため、エネルギー業界向けITサービス提供拡大に向けてシナジー効果が期待される。

 15年8月には録画した動画やライブ中継を視聴者限定で安全に配信できるクラウド型サービス「Bizclasstream(ビズクラストリーム)」の提供を開始した。ストリーミング・ライブ映像配信サービス「classtream(クラストリーム)」で多くの実績を持つアイ・ピー・エル社(神奈川県)と当社のサービス開発力を融合したクラウド型利用者限定動画配信サービスである。

■ソフト開発の案件別採算性も収益変動要因

 四半期別業績推移を見ると、14年12月期の売上高は第1四半期70億45百万円、第2四半期61億07百万円、第3四半期62億53百万円、第4四半期70億89百万円、営業利益は第1四半期5億32百万円、第2四半期1億05百万円、第3四半期2億12百万円、第4四半期3億05百万円だった。

 15年12月期の売上高は第1四半期69億77百万円、第2四半期71億71百万円、第3四半期70億16百万円、第4四半期77億92百万円、営業利益は第1四半期3億58百万円、第2四半期1億07百万円、第3四半期2億円、第4四半期3億77百万円だった。第2四半期はソフト開発の不採算案件発生が影響した。

 ソフト開発では案件別の採算性も収益変動要因となる。15年12月期の売上総利益率は16.1%で同1.2ポイント低下、販管費比率は12.5%で同0.4ポイント低下、ROEは8.6%で同0.8ポイント低下、自己資本比率は26.2%で同1.5ポイント低下した。配当性向は33.9%だった。配当政策については資本効率を重視するとともに、配当性向30%超を目標としている。

■16年12月期第1四半期は大型案件の反動で大幅減益

 今期(16年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、前年同期比比3.5%増の72億20百万円、営業利益が同44.3%減の1億99百万円、経常利益が同42.9%減の2億06百万円、純利益が同36.2%減の1億39百万円だった。情報サービス事業において前期計上した地方公共団体向け大型機器販売とSI・ソフト開発案件の反動減などで大幅減益だった。

 売上総利益は同7.0%減少し、売上総利益率は16.2%で同1.8ポイント低下した。販管費は同8.0%増加し、販管費比率は13.4%で同0.6ポイント上昇した。13年11月に東濃データセンター(岐阜県土岐氏)を新設したことに伴って岐阜県から岐阜県企業立地促進事業補助金を受けたため、特別利益に補助金収入1億12百万円を計上し、特別損失に固定資産圧縮損92百万円を計上した。

 セグメント別に見ると、情報サービス事業は売上高が同3.5%減の37億48百万円、営業利益(連結調整前)が同61.8%減の89百万円だった。情報処理サービスで各種ギフト処理サービス、地方公共団体向け処理、請求書代行など、SI・ソフト開発および商品販売ではクラウド関連サービス、オートオークション業務システムなどの案件が順調だったが、前期計上した地方公共団体向け大型機器販売とSI・ソフト開発案件の反動減、新たなギフト処理サービス立ち上げ費用などの影響で大幅減益だった。

 収納代行サービスは売上高が同12.2%増の34億72百万円、営業利益が同27.0%増の1億46百万円だった。地方自治体を含む新規取引先の獲得が順調に推移し、既存取引先の通信販売事業者やネットショップにおいて収納物件数が順調に増加した。スーパーマーケットやドラッグストア等のチェーン店舗向け収納窓口サービス導入店舗数も順調に増加した。

■16年12月期通期は増収増益・連続増配予想

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(1月29日公表)は売上高が前期(15年12月期)比8.8%増の315億円、営業利益が同21.9%増の12億70百万円、経常利益が同19.2%増の12億78百万円、純利益が同22.7%増の8億10百万円としている。ガーデンネットワークの通期連結も寄与して増収増益予想だ。配当予想は同1円増配の年間24円(第2四半期末12円、期末12円)で予想配当性向は29.0%となる。

 情報処理サービスではBPO(情報処理アウトソーシング)業務の量的拡大、効率的かつ効果的な人員配置や作業効率化などに取り組む。SI・ソフト開発ではプライム事業の促進、コアパートナーとの連携や大手システムインテグレーターとの協業の強化などで、1件当たり取引規模の拡大に取り組む。クラウドサービスの拡販やアプリケーションの開発にも取り組む。商品販売では新バージョンの歯科医向けパッケージソフトウェアを拡販する。収納代行サービス事業では、非対面取引市場向け決済サービスの拡大、国内送金サービスの拡大、国際送金サービスの拡大に取り組む。

 中期経営計画で掲げた目標数値(16年12月期の売上高350億円、営業利益18億20百万円、経常利益18億20百万円、純利益11億62百万円)の達成は難しくなったが、16年12月期は不採算案件の一巡や収納代行サービスの伸長で増収増益基調が期待される。

■株主優待制度は毎年12月末に実施

 株主優待制度については、毎年12月31日時点の1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。15年12月期末の優待内容は東濃地方を主とした特産品(3000円相当、6点の中から1点を選択)だった。

■株価は調整一巡して反発期待

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げ、6月16日と17日に1430円まで調整する場面があった。ただし2月の年初来安値1253円まで下押す動きは見られない。

 6月23日の終値1494円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円50銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS812円42銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約150億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、調整が一巡して反発が期待される。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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