平山はモミ合い煮詰まり感、17年6月期の収益改善基調を期待

 平山<7781>(JQS)は国内製造業向けのアウトソーシング事業(製造請負)を主力としている。16年6月期は取引先の減産などの影響を受けたが、17年6月期は収益改善基調が期待される。株価は安値圏でモミ合う展開だが、煮詰まり感を強めて出直りが期待される。

■国内製造業向けアウトソーシング事業(製造請負)が主力

 国内製造業向けのアウトソーシング事業(製造請負)を主力として、連結子会社トップエンジニアリングの技術者派遣事業、その他事業(現場改善コンサルティングサービス、教育サービス、有料職業紹介など)も展開している。11年には製造請負事業者改善推進協議会が運営している製造請負優良適正事業者認定制度を第1号で取得(14年4月更新)した。15年6月期のセグメント別売上高構成比はアウトソーシング事業88%、技術者派遣事業10%、その他2%だった。

 主力のアウトソーシング事業では当社に所属する現場改善コンサルタントと連携したサービスを提供して、顧客企業の製造現場における生産性向上、コスト削減、さらに「ものづくり力」強化に繋げていることが強みだ。請負現場「ものづくり力」高度化のために、中核になる生産管理者の育成を強化するとともに、製造企業OBシニア層の技術を再開発して、製造現場の改善をワンストップで提案できる体制を構築することに経営資源を最優先で投資している。

 また従来の派遣・請負会社のイメージを脱却し、社内で育成した人材を社会に還元する「教育会社」を目指している。社員に対しては、キャリアカウンセリングやメンタル支援などの従業員支援制度(EAP=Employee Assistance Program)をベースとして、資格・技能取得支援制度によるキャリアアップ制度を運用し、有期雇用から無期雇用へと転換するステップを用意している。

 15年7月には当社独自の求人サイト「ものっぷ」を新規オープンしている。簡単な仕事検索、PDFやEXCELによる履歴書のダウンロードなど、今までにない仕事の探し方を実現した。ものづくりでキャリアアップを目指す方を応援するサイトとして、求職者の仕事探しをサポートする。

 6月22日には外国人技能実習生の受入拡大に伴うサポート体制の充実をリリースした。入職Ⅰ~3ヶ月以内の実習生に対面カウンセリングを実施するなど、実習生が安心して働ける環境づくりを強化し、帰国後の就職支援を視野に入れて海外事業も積極展開する。

■テルモ向けを主力に大手優良企業グループと強固な取引関係を構築

 主要取引先はテルモ<4543>(15年6月期売上構成比47%)向けを主力として、LIXILグループ、TOPPANグループ、TOTOグループ、トヨタグループ、リコーグループ、三菱グループなどがある。多種多様な業種・工程での実績を持ち、業界を超えた製造技術・ノウハウを蓄積していることも強みだ。そして大手優良企業グループと強固な取引関係を構築している。

 海外はベトナムとタイに現地法人(非連結子会社)を設置し、日本国内のエンジニア不足に対応した外国人技術者の採用、東南アジア諸国の日系企業との取引拡大を推進している。16年2月には非連結子会社である平山タイの子会社JOB SUPPLY HUMAN RESOURCE(JSHR、当社の孫会社)が、JOB SUPPLY(JS)社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けた。

■長期的目標は売上高営業利益率8%

 経営目標としてはグループ売上高200億円の早期達成を目指し、売上高営業利益率を中期的に5%、長期的に8%に向上させる方針だ。重点戦略としては、コンサルティング機能の強化や外国人技能者の積極的活用により、現場改善力・収益力を高めて差別化や顧客の囲い込みを推進する。

 そして国内製造業向けアウトソーシング事業における既存取引先の事業所拡大・安定化、既存製造派遣取引先のインソーシング(製造請負)化、自社管理業務および既存インソーシング契約取引先業務の改善、新規取引先の開拓(インソーシング案件獲得)、ハイエンド派遣・設計エンジニア派遣の拡大などを推進する。

 海外展開については、タイ、ベトナム、インドネシアでのコンサルティング事業の拡大、インドネシア、フィリピンへの拠点展開などを推進し、東南アジアでの人材ビジネス企業、コンサルティング企業、教育関連企業へのM&Aも検討する方針だ。なおJS社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けたタイのJSHR社については、中期的に4000名体制を目指すとしている。

■16年6月期第3四半期累計は主要取引先における減産が影響

 今期(16年6月期)第3四半期累計(7月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.5%増の69億61百万円、営業利益が同67.0%減の96百万円、経常利益が同79.9%減の59百万円、純利益が同89.4%減の16百万円だった。

 受注は各セグメントとも概ね堅調に推移した。大手自動車メーカーの一時生産停止の影響も想定以下だった。ただしアウトソーシング事業・製造請負部門で、医療・医薬機器分野および精密機器分野の主要取引先における一部製品の減産が影響し、さらにアウトソーシング事業、技術者派遣事業とも、人材採用の競争激化に伴って適正な人材確保・配置が進まず、採用コスト増加、生産性低下、外注費増加が利益を圧迫した。

 売上総利益は同3.6%減少し、売上総利益率は16.3%で同1.4ポイント低下した。販管費は同17.4%増加し、販管費比率は14.9%で同1.6ポイント上昇した。営業外費用では株式公開費用14百万円、為替差損20百万円を計上した。特別損失では前期計上した関係会社出資金評価損9百万円および投資有価証券評価損7百万円が一巡した。

 セグメント別に見ると、アウトソーシング事業は売上高が同4.6%増の61億37百万円で営業利益(連結調整前)が同13.7%減の6億12百万円、技術者派遣事業は売上高が同0.7%増の6億90百万円で営業利益が同1.6%減の42百万円、その他事業は売上高が同28.2%増の1億34百万円で営業利益が6百万円の赤字(前年同期は22百万円の黒字)だった。

 技術者派遣事業では、技術者採用環境の厳しさが続く状況で純粋な稼働人員数増加に至っていないが、既存人員が高い稼働率を維持している。その他事業ではコンサルティング事業において、大手日系グローバル企業から国内および海外の生産工場の現場改善コンサルタント案件を受注したが、コンサルタントの増員などで損益が悪化した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期22億74百万円、第2四半期23億51百万円、第3四半期23億36百万円、営業利益は第1四半期0百万円の赤字、第2四半期66百万円、第3四半期30百万円だった。

■16年6月期通期減益予想だが、17年6月期は収益改善基調を期待

 今期(16年6月期)通期の連結業績予想(2月12日に減額修正)は売上高が前期(15年6月期)比8.2%増の97億39百万円、営業利益が同67.2%減の1億24百万円、経常利益が同75.3%減の94百万円、純利益が同78.8%減の41百万円としている。平山タイとJSHRを新規連結して13百万円の営業赤字と2百万円の営業外費用を取り込む見込みだ。

 受注は堅調だが適正人員確保難の影響などで減益予想としている。売上総利益率は同1.6ポイント低下の15.8%、稼働人員数(平山タイ、JSHRを含む)は同1881名(66.9%)増加の4693名(うち海外1700名)、OS取引先数は同14社(14.6%)増加の110社(うち海外12社)を想定している。

 期初計画との比較では、アウトソーシング事業・製造請負部門の主要取引先の一部における減産の影響で、医療機器・医薬品分野の受注量が期初計画比5%、精密機械分野の受注量が同15%下回る見込みだ。また受注に対する適正な人材採用が進まず、生産量の伸び悩みや外注費の増加も影響する。技術者派遣事業も需要旺盛だが技術者採用停滞で派遣人員の増加が遅れている。外国人技術者の採用に関してはベトナムでの教育を終え、第4四半期から順次訪日予定としている。

 セグメント別の計画は、アウトソーシング事業の売上高が同5.0%増の83億26百万円で営業利益が同17.4%減の7億79百万円、技術者派遣事業の売上高が同0.7%減の9億08百万円で営業利益が同14.8%減の46百万円、その他の売上高が同3.5倍の5億05百万円で営業利益が同33.3%減の24百万円としている。

 重点取組事項は、アウトソーシング事業での人材確保・適正配置の推進による利益率改善、新規(15年~16年)取引先の改善活動による利益率の向上、常用雇用化推進による社員定着率の改善、取引先の多角化推進としている。技術者派遣事業では中途採用への注力と外国人技術者の採用・育成強化、その他事業ではコンサルタント増員によるコンサルティングサービスの拡大およびタイ子会社の拡大を図る。

■16年6月期は上場記念配当を実施して増配

 16年6月期の配当予想(2月12日に増額修正)は前期比2円78銭増配の年間38円(期末一括、普通配当6円+上場記念配当32円)としている。配当性向は161.9%となる。

 利益配分については、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続という観点から配当性向25%を基本としている。このため業績予想減額修正に伴って普通配当37円34銭を6円に修正し、普通配当の配当性向を25.0%とした。ただし15年7月に期超え上場したことを勘案し、修正した普通配当6円に上場記念配当として32円を加えて年間38円とした。

■株価は下値固め完了してモミ合い上放れ

 株価の動きを見ると、3月以降は安値圏1000円近辺でモミ合う展開だが、煮詰まり感を強めている。

 6月23日の終値983円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円47銭で算出)は41~42倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は3.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1089円89銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約17億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が下値を支える形となった。煮詰まり感を強めて出直りが期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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