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セレスは16年12月期増収増益予想、仮想通貨・フィンテック・O2Oのテーマ性
- 2016/6/27 07:05
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
セレス<3696>(東マ)はスマホ向けポイントサイト運営が主力のスマートフォンメディア事業を展開している。16年12月期はポイントメディア登録会員数の増加などで増収増益予想である。第1四半期の利益進捗率が高水準のため通期会社予想に増額余地があるだろう。株価は6月6日の上場来高値から過熱感や地合い悪化で反落したが、仮想通貨・フィンテック・O2O関連などのテーマ性も注目され、市場が落ち着けば出直り展開だろう。
■ポイントサイト運営などスマートフォンメディア事業を展開
国内最大級のスマホ向けポイントサイトである「モッピー」をはじめ、ポイントメディア「モバトク」「お財布.com」およびHRメディア「モッピージョブ」を運営するスマートフォンメディア事業を展開している。
ポイントメディア事業の「モッピー」「モバトク」「お財布.com」は、広告の閲覧、スマホアプリのダウンロード、ショッピング、アンケートなどのアクションに応じて、現金・電子マネー・ビットコイン等との交換が可能なポイントが貯まる無料会員サービスを提供している。HRメディア事業の「モッピージョブ」は、アルバイト求人広告サイトである。成功報酬型などの広告収入が収益柱である。
■自社運営メディア利用価値最大化を目指す
自社運営メディアの利用価値を最大化することを目指し、M&A・アライアンスも積極活用してユーザー数拡大や掲載広告数増加を推進している。ポイントメディア事業の強化、自社運営メディアのポイントとビットコインのビジネスシナジーの強化などを推進するとともに、中期的にはウェアラブルメディア(ウェアラブル広告)としてのスマートウォッチ向けアプリサービスの提供、スマートフォン端末と自社ポイントメディアを活用したO2Oビジネス分野への進出などにより、事業収入の多様化を図る方針を打ち出している。
15年4月オープンキューブから「お財布.com」譲り受け、15年5月ビットコイン販売・買取・決済サービスのbitFlyerと業務提携、15年8月ビットコインサービス「coincheck」提供のレジュプレスと資本業務提携、15年9月ブロックチェーン技術を基に非中央集権型クラウドコンピューティングシステム「orb」を開発するOrbに出資(当社含む5社)、15年12月一般社団法人FinTech協会に入会、15年12月ビットコインサービス「ビットバンクウォレット」「ビットバンクトレード」のビットバンクに追加出資および業務提携した。
16年5月決済連動マーケティングCLO(Card Linked Offer)アプリ「CRECO」のアイ・ティ・リアライズと資本業務提携、16年6月東京大学発ベンチャー企業のジャノムとビットコインに関するアプリケーションの共同開発で業務提携、O2O・関連サービスの共同開発でゆめみと資本業務提携(持分法適用関連会社化)した。
また6月14日にはウェアラブルサービスとして、Android Wear搭載スマートウォッチ向け「浮世絵時計・富嶽三十六景・」ウォッチフェイスの配信を開始した。
■四半期ベースで増収基調
15年12月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期6億71百万円、第2四半期7億95百万円、第3四半期8億50百万円、第4四半期8億49百万円、営業利益は第1四半期1億05百万円、第2四半期1億23百万円、第3四半期1億59百万円、第4四半期76百万円だった。四半期ベースで増収基調である。
また15年12月期の売上総利益率は36.6%で同2.0ポイント低下、販管費比率は21.9%で同3.1ポイント低下、ROEは15.2%で同16.2ポイント低下、自己資本比率は57.2%で同8.3ポイント上昇した。
■16年12月期第1四半期は大幅増収増益
今期(16年12月期)第1四半期(1~3月)の非連結業績は、売上高が前年同期比比34.5%増の9億03百万円、営業利益が同54.4%増の1億63百万円、経常利益が同52.5%増の1億60百万円、純利益が同62.7%増の99百万円だった。販管費増加を増収効果で吸収した。前四半期(15年12月期第4四半期)との比較でも増収・増益だった。
友達紹介など効率的なプロモーションやM&Aを含めた積極投資の効果でポイントメディア会員数が増加した。16年3月末のポイントサイト登録会員数は15年3月末比92万人増加の278万人となった。また営業活動強化の効果でHRメディア「モッピージョブ」の求人広告掲載件数は15年3月末比約2倍の約6.8万件に増加した。
売上総利益は同26.0%増加したが、売上総利益率は37.2%で同2.5イント低下した。販管費は同7.4%増加したが、販管費比率は19.1%で同4.8ポイント低下した。16年3月末時点の従業員数は75名(うち正社員58名)となった。15年4月に「お財布.com」を譲り受けたこともあり、前年同期比24名増加した。正社員の5割がエンジニア職である。
■16年12月期通期も増収増益予想
今期(16年12月期)通期の非連結業績予想(2月12日公表)は売上高が前期(15年12月期)比15.3%増の36億52百万円、営業利益が同11.8%増の5億20百万円、経常利益が同10.6%増の5億07百万円、そして純利益が同20.1%増の3億23百万円としている。ポイントメディア登録会員数やHRメディア「モッピージョブ」求人広告掲載件数が伸長(16年末までに大手メディア並みの10万件の目標に対して5月13日時点で7.2万件)して増収増益予想である。配当は無配継続としている。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.7%、営業利益が31.4%、経常利益が31.6%、純利益が30.7%と利益進捗率が高水準である。四半期ベースで増収基調であることも考慮すれば通期会社予想に増額余地があるだろう。
■株価は上場来高値圏から反落したが、市場が落ち着けば出直り
株価の動きを見ると、仮想通貨関連などを材料視して1500円近辺でのモミ合いから上放れ、6月6日の上場来高値2849円まで急伸した。その後は過熱感を強めて利益確定売りが優勢になり、6月24日には地合い悪化も影響して1524円まで下押す場面があった。
6月24日の終値1660円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS36円65銭で算出)は45倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS215円90銭で算出)は7.7倍近辺である。時価総額は約154億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下ヒゲをつけて下げ渋る動きだ。仮想通貨・フィンテック・O2O関連などのテーマ性も注目され、市場が落ち着けば出直り展開だろう。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)