【鈴木雅光の投信Now】こんな時だからこそ狼狽売りをしないこと
- 2016/6/28 10:37
- 株式投資News
Brexitの影響で、国内外の株式市場、為替市場は大きく揺れています。特に海外の株式市場に投資している投資信託は、基準価額が大きく下落しているので、それを保有している受益者の中には、一旦、解約して損失を確定するべきか、そのまま保有し続けるべきかで悩んでいる方も多いと思います。
基本に立ち返って考えれば、投資信託は長期の資産形成を行うための投資ツールなので、今回のようなショックで基準価額が急落したからといって、解約する必要はないでしょう。そのまま保有し続ける。出来ることなら、基準価額が安くなったところで買い増すくらいのスタンスで良いと思います。
実際、過去において幾度となくマーケットが大きく混乱したことがありました。1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア通貨危機とヘッジファンド危機、2000年のITバブル崩壊、2001年の同時多発テロ、2007年のサブプライムショック、2008年のリーマンショック、2010年の欧州債務危機、などが代表的なところでしょうか。
ただ、いずれの危機も、その時は「とんでもないことになった。資本主義は終わりだ」などと言われながらも、その都度、危機を乗り越えて今に至っています。経済は案外としぶといものなのです。それは、経済が人々の生活そのものであり、何が起こったとしても、人間は生きていかなければならないからです。今は、Brexitで混乱しているマーケットも、いつかはこの問題を乗り越え、再び回復すると思われます。
なので、成長期待のあるマーケットに投資しているのであれば、このタイミングで狼狽売りをする必要は、どこにもありません。これは個別株でも、投資信託でも同じです。世界経済がこの困難を乗り越え、さらに成長していくというシナリオを前提にするならば、たとえば世界中の株式市場に分散投資する投資信託や、先進国株式市場に分散投資したのと同じ投資効果が期待できる、MSCIコクサイというインデックスに連動するETFなどは、絶好の投資対象になるでしょう。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)